日本新聞: 世界に衝撃「ChatGPT」開発企業のCEO 独占インタビュー

人間にんげんのように自然しぜんな受け答うけこたえができる高度こうどな性能せいのうを備そなえ、世界せかいで急速きゅうそくに利用りようが広ひろがる対話たいわ式しきAI「ChatGPT」。開発かいはつしたアメリカのベンチャー企業きぎょうのCEO・サム・アルトマン氏し（37）が来日らいにちし、NHKの単独たんどくインタビューに応おうじました。

この中なかで、アルトマン氏しは「想像そうぞうできない方法ほうほうで私わたしたちの生活せいかつを向上こうじょうさせるものだ」と述のべた上うえで、「リスクを軽減けいげんするための規制きせいが必要ひつようで政府せいふと話し合はなしあうことが重要じゅうようだ」という認識にんしきを示しめしました。

「日本にっぽんを主要しゅような市場しじょうの1つにしたい」

アメリカのベンチャー企業きぎょう「オープンAI」のCEO、サム・アルトマン氏しは、「ChatGPT」を去年きょねん11月つきに公開こうかいした後のちの初はじめての訪問ほうもん国こくとして日本にっぽんを訪おとずれ、10日にちNHKの単独たんどくインタビューに応おうじました。

アルトマン氏しは『ChatGPT』が社会しゃかいに与あたえる影響えいきょうについて、「新あたらしいテクノロジーが登場とうじょうすると、今日きょうでは想像そうぞうできない方法ほうほうで、私わたしたちすべての生活せいかつの質しつを向上こうじょうさせることができる。このテクノロジーがすべての製品せいひんやサービスに組み込くみこまれることで、人類じんるいの創造そうぞう的てきな発信はっしんは何なん倍ばいにもなると思おもう」と述のべました。

その上うえで、日本にっぽんについては「AI革命かくめい全体ぜんたいを推進すいしんする中心ちゅうしんになり得える国くにの1つで、人々ひとびとが創造そうぞう性せいを持もって『ChatGPT』を使つかっていることは素晴すばらしいと思おもう。日本にっぽんのすぐれたエンジニアや研究けんきゅう者しゃと協力きょうりょくし、日本にっぽんを主要しゅような市場しじょうの1つにしたい」と述のべました。

「（岸田きしだ首相しゅしょうと）テクノロジーの可能かのう性せいを話し合はなしあった」

10日にち午前ごぜんの岸田きしだ総理そうり大臣だいじんとの面会めんかいについては、「日本にっぽんでの活用かつよう法ほうや将来しょうらいの可能かのう性せい、マイナス面めんを軽減けいげんする方法ほうほうなど、このテクノロジーの可能かのう性せいについて私わたしたちがどう見みているかを話し合はなしあった」と述のべました。

AIの進化しんかが人類じんるいの危機ききを招まねくのではないかという懸念けねんについては「AIは、SFの世界せかいでは人類じんるいを奴隷どれいにする殺人さつじんロボットのように何なん十じゅう年ねんも描えがかれている。しかし、私わたしたちは人間にんげんがルールを設もうけ、止とめられるように作つくっている」と述のべました。

その上うえで、「ほとんどのテクノロジーは、計はかり知しれないメリットとデメリットの双方そうほうがある。産業さんぎょう革命かくめいが起おきた時代じだいにも、同おなじようなことが言いわれていた。AIは私わたしたちの創造そうぞう性せいを高たかめるもので、とって代かわるものではない」と指摘してきしました。

「ChatGPTは教室きょうしつで禁止きんしすべきではない」

「ChatGPT」が雇用こようや教育きょういくに悪あく影響えいきょうを与あたえるのではないかという懸念けねんが出でていることについては、「これまでも技術ぎじゅつ革新かくしんによっていくつかの仕事しごとは無なくなり、いくつかは変化へんかしたり新あらたに生うまれたりしてきた。しかし、企業きぎょうが新あらたなアイディアを生み出うみだす能力のうりょくは想像そうぞうを超こえていて、今回こんかいもこれまでと同おなじようなことが間違まちがいなく起おこると信しんじている」と述のべました。

その上うえで、「『ChatGPT』は教育きょういくを破壊はかいするという指摘してきもあるが、教室きょうしつで禁止きんしすべきではないと思おもう。子こどもも大人おとなも新あたらしいツールを使用しようすれば、新あたらしい方法ほうほうで学まなぶことができる。電卓でんたくが登場とうじょうした時ときのようにその使い道つかいみちを考かんがえるべきだ」と述のべました。

「AIに一定いっていの規制きせいは必要ひつよう」

イタリアの当局とうきょくが膨大ぼうだいな個人こじんデータの収集しゅうしゅうなどが個人こじん情報じょうほうの保護ほごに関にかんする法律ほうりつに違反いはんしている疑うたがいがあるとして、一時いちじ、使用しようを禁止きんしするなど「ChatGPT」を規制きせいする動うごきが出でていることについては、「リスクを軽減けいげんするために、AIに一定いっていの規制きせいは必要ひつようで、政府せいふと話し合はなしあうことは非常ひじょうに重要じゅうようだと思おもう。私わたしたちはアメリカ政府せいふとも協力きょうりょくしてきたし、イタリア政府せいふとも問題もんだいが解決かいけつできることを望のぞんでいる」と述のべ、AIのテクノロジーは、発展はってんするほど規制きせいが必要ひつようになるという認識にんしきを示しめしました。

アルトマンCEOの経歴けいれき

サム・アルトマン氏しは37歳さい。シカゴ出身しゅっしんでミズーリ州しゅうのセントルイスで育そだち、スタンフォード大学だいがくでコンピューターサイエンスを学まなんだ後のち、2005年ねんに19歳さいで、スマートフォン向むけ位置いち情報じょうほうサービスアプリの開発かいはつ会社かいしゃの共同きょうどう創業そうぎょう者しゃとなりました。

その後そのご、投資とうし会社かいしゃの代表だいひょうを務つとめた後のち、起業きぎょう家かで電気でんき自動車じどうしゃメーカー、テスラのCEOも務つとめるイーロン・マスク氏しらとともに、2015年ねんにサンフランシスコで「オープンAI」を設立せつりつしました。

マスク氏しは現在げんざいは「オープンAI」の経営けいえいから退しりぞいています。アルトマン氏しはこのほか、寿命じゅみょうを10年ねん延のばすアンチエイジングや核かく融合ゆうごう関連かんれんのベンチャー企業きぎょうにも多額たがくの資金しきんを投資とうししています。

「ChatGPT」懸念けねんする声こえも

「ChatGPT」は、国内こくないでも急速きゅうそくに利用りようが広ひろがり、社会しゃかいや企業きぎょう活動かつどうを大おおきく変革へんかくする可能かのう性せいがある技術ぎじゅつとして期待きたいされる一方いっぽう、教育きょういくや雇用こようなどへの影響えいきょうを懸念けねんする声こえも出でています。

「ChatGPT」は質問しつもんするだけで、自然しぜんで説得せっとく力りょくのある読書どくしょ感想かんそう文ぶんやリポートが簡単かんたんに作成さくせいできるため、学習がくしゅうへの影響えいきょうを懸念けねんする声こえがある一方いっぽう、学習がくしゅうにうまく生いかすべきだという意見いけんもあり、文部もんぶ科学かがく省しょうは国内外こくないがいの事例じれいを集あつめた上うえで、チャットGPTをはじめとするAIの学校がっこう現場げんばでの取り扱とりあつかいを示しめす資料しりょうを、なるべく早はやい段階だんかいで作成さくせいする方針ほうしんです。

東京とうきょう大学だいがくの見解けんかい

東京とうきょう大学だいがくは今月こんげつ3日にち、大学だいがくのホームページでChatGPTなどに対にたいする見解けんかいを公表こうひょうしました。

この中なかで「パソコンやインターネット、スマートフォンの登場とうじょう時じと同等どうとう、あるいはそれ以上いじょうの社会しゃかい的てきな影響えいきょうがあると思おもう」と評価ひょうかした上うえで「現在げんざいの社会しゃかいは法律ほうりつや制度せいど面めんにおいても、今回こんかいのようなAIの登場とうじょうが織り込おりこまれていない。下手へたをすると失業しつぎょう者しゃの増大ぞうだい、産業さんぎょう構造こうぞうの変化へんかなど様々さまざまな悪あく影響えいきょうが生しょうじる可能かのう性せいがある」と指摘してきしています。

その上うえで、「人類じんるいはこの数すうか月かげつでもうすでにルビコン川がわを渡わたってしまったのかもしれない」として、AI開発かいはつが後戻あともどりできない一線いっせんを越こえた可能かのう性せいがあるという認識にんしきを示しめした上うえで、「有害ゆうがいな存在そんざいとして利用りようを禁止きんしするだけでは問題もんだいは解決かいけつしない。むしろ、どのようにしたら問題もんだいを生しょうじないようにできるのか、その方向ほうこう性せいを見出みいだすべく行動こうどうすることが重要じゅうようだ」と指摘してきしています。

ChatGPTをめぐっては先月せんげつ、イタリアの当局とうきょくが膨大ぼうだいな個人こじんデータの収集しゅうしゅうが法律ほうりつに違反いはんしている疑うたがいがあるとして、一時いちじ的てきに使用しようを禁止きんしするなど規制きせいする動うごきが出でていて、今月こんげつ29日にちから群馬ぐんま県けんで開ひらかれるG7デジタル・技術ぎじゅつ相しょう会合かいごうでもAI技術ぎじゅつにどう対応たいおうしていくかが議題ぎだいとなる見通みとおしです。