アメリカ民主党みんしゅとう全国ぜんこく党とう大会たいかい 20日にち開幕かいまく ハリス氏しの下したで結束けっそく強固きょうこに

アメリカの大統領だいとうりょう選挙せんきょは再選さいせんを目指めざしていたバイデン大統領だいとうりょうが7月つきになって撤退てったいを表明ひょうめいし、副ふく大統領だいとうりょうのハリス氏しが8月つき、党とうの大統領だいとうりょう候補こうほに指名しめいされるという異例いれいの展開てんかいとなっています。

こうした中なか、与党よとう・民主党みんしゅとうは19日にち午後ごご、日本にっぽん時間じかんの20日にち午前ごぜんから、4日間にちかんの日程にっていで中西部ちゅうせいぶイリノイ州しゅうシカゴで全国ぜんこく党とう大会たいかいを開ひらきます。

党とう大会たいかいの初日しょにちには、事実じじつ上じょうの公約こうやくとなる党とうの政策せいさく綱領こうりょうを採択さいたくする見通みとおしです。

党とう大会たいかいでは、バイデン大統領だいとうりょうのほか、オバマ元もと大統領だいとうりょうやクリントン元もと大統領だいとうりょうらが演説えんぜつする予定よていで、党とうを挙あげてハリス氏しを支ささえる姿勢しせいをアピールすることにしています。

そして、最終さいしゅう日びには民主党みんしゅとうの大統領だいとうりょう候補こうほとしてハリス氏しが演説えんぜつし、決意けついを訴うったえることにしています。

バイデン大統領だいとうりょうの撤退てったいで急きゅうきょ候補こうほ者しゃがハリス氏しに交代こうたいした民主党みんしゅとうとしては、この党とう大会たいかいをハリス氏しの下したでの結束けっそくを強固きょうこにする機会きかいとし、2か月かげつ半はん後ごに迫せまった投票とうひょう日びに向むけて、共和党きょうわとうの候補こうほ者しゃのトランプ前ぜん大統領だいとうりょうに対抗たいこうしていく機運きうんを盛り上もりあげたい考かんがえです。

カマラ・ハリス氏しとは

カマラ・ハリス氏しは59歳さい。

父親ちちおやはジャマイカ出身しゅっしん、母親ははおやはインド出身しゅっしんで、移民いみんの2世せいとして西部せいぶ・カリフォルニア州しゅうで生うまれました。

カリフォルニア州しゅうで検察官けんさつかんとしてキャリアを重かさね、2011年ねんには州しゅうの司法しほう長官ちょうかんに就任しゅうにんしました。

2017年ねんに上院じょういん議員ぎいんとなり、2020年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょでは議員ぎいん1期き目めながら民主みんしゅ党とうの候補こうほ者しゃ指名しめい争あらそいに挑戦ちょうせんしました。

支持しじが広ひろがらず、撤退てったいしましたが、その後そのご、党とうの候補こうほ者しゃ選えらびを勝ち抜かちぬいたバイデン氏しによって副ふく大統領だいとうりょう候補こうほに選えらばれました。

そして、女性じょせいとして、また、黒人こくじんとしても、アジア系けいとしても、アメリカ史上しじょう初はじめての副ふく大統領だいとうりょうとなり、多様たよう性せいを重視じゅうしするバイデン政権せいけんの象徴しょうちょうとなりました。

副ふく大統領だいとうりょうとしては、連邦れんぽう最高さいこう裁判所さいばんしょがおととし、人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつは憲法けんぽうで認みとめられた権利けんりだとしたおよそ50年ねん前まえの司法しほう判断はんだんを覆くつがえしたことをめぐり、全米ぜんべい各地かくちで中絶ちゅうぜつの権利けんりの擁護ようごを訴うったえました。

一方いっぽう、移民いみん対策たいさくを任まかされたにもかかわらず、就任しゅうにんから5か月かげつ余あまり、メキシコ国境こっきょうの現場げんばに足あしを運はこばず、共和党きょうわとうから批判ひはんされるなど、目立めだった実績じっせきはないとの厳きびしい評価ひょうかもあります。

そうした中なか、7月つき、バイデン大統領だいとうりょうが自身じしんの選挙せんきょ戦せんからの撤退てったいと、後継こうけいの民主党みんしゅとうの大統領だいとうりょう候補こうほとしてハリス氏しを支持しじすることを表明ひょうめいしました。

ハリス氏しは、8月つき行おこなわれた民主党みんしゅとうの代だい議員ぎいんによるオンラインの投票とうひょうを経へて、正式せいしきに党とうの大統領だいとうりょう候補こうほに指名しめいされました。

女性じょせいがアメリカの主要しゅような政党せいとうの大統領だいとうりょう候補こうほに指名しめいされたのは8年ねん前まえ、2016年ねんの民主党みんしゅとうのクリントン元もと国務こくむ長官ちょうかんに次ついで2人にん目めで、当選とうせんすれば史上しじょう初はじめてとなります。

専門せんもん家か ハリス氏しの強つよみと課題かだいについて

アメリカの政治せいじや選挙せんきょに詳くわしいジョージ・ワシントン大学だいがくのトッド・ベルト教授きょうじゅはハリス氏しが支持しじを広ひろげていることについて「民主党みんしゅとう支持しじ層そうはバイデン大統領だいとうりょうをめぐって士気しきが下さがっていたため、トランプ氏しを倒たおすためであればバイデン氏し以外いがいなら誰だれにでも機会きかいを与あたえたいと考かんがえていたのが実情じつじょうだ。そのことが大変たいへんな盛り上もりあがりと支持しじ率りつの上昇じょうしょうをもたらした」と指摘してきしました。

そして「現在げんざいのハリス氏しの勢いきおいは、長ながくは続つづかない一時いちじ的てきなものだと言いう人ひともいる。ハリス氏しがこれを短期たんき的てきなもので終おわらせず、長期ちょうき間かんにわたって持続じぞくする勢いきおいへと変かえていけるかが問とわれている」と述のべました。

そのための鍵かぎについてベルト教授きょうじゅは「ハリス氏しは、トランプ氏し以外いがいの選択肢せんたくしというだけでなく、実際じっさいに国くにを統治とうちでき、将来しょうらいに向むけたアイデアを持もち、トランプ氏しやバイデン氏しとは異ことなる国くにづくりができるのだと示しめす必要ひつようがある。さらにハリス氏しは、バイデン政権せいけんの不人気ふにんきな部分ぶぶんと自身じしんを切り離きりはなす必要ひつようもある」と述のべ、バイデン政権せいけんへの批判ひはんもあるインフレや移民いみん政策せいさくなどで具体ぐたい策さくを示しめし、国民こくみんを引き付ひきつけることができるかが問とわれることになると指摘してきしました。

そのうえで「ハリス氏しは若者わかものや有色ゆうしょく人種じんしゅのあいだで支持しじを広ひろげており、これを継続けいぞくしていく必要ひつようがある。一方いっぽうで、共和党きょうわとう側がわからは、ハリス氏しが今いまの地位ちいを得えたのは多様たよう性せい、公平こうへい性せい、包括ほうかつ性せいを重視じゅうしする政策せいさくのおかげであり、実際じっさいにはその地位ちいに値あたいしないと批判ひはんされている。このためハリス氏しは自分じぶんはなぜ今いまの地位ちいに就つくに値あたいし、それを生いかして彼女かのじょのような人ひとたちをどう助たすけていくのかを説明せつめいする必要ひつようがある」と指摘してきしました。

また、ベルト教授きょうじゅは、民主党みんしゅとう大会たいかいで採択さいたくされる党とうの政策せいさく綱領こうりょうについて「有権者ゆうけんしゃに、党とうのよって立たつものを説明せつめいするものであり、極きわめて重要じゅうようだ。ハリス氏しはこれまで一いち度ども記者きしゃ会見かいけんを行おこなわず、重要じゅうような争点そうてんでの自分じぶんの立たち位置いちを示しめしていないことを批判ひはんされてきた」と指摘してきしました。

そして、ベルト教授きょうじゅは、外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょう分野ぶんやではバイデン政権せいけんのイスラエル寄よりの政策せいさくに対にたいし若者わかものを中心ちゅうしんに反発はんぱつが広ひろがる中なか、中東ちゅうとう政策せいさくが焦点しょうてんの1つになると指摘してきしたうえで「イスラエルへの武器ぶきの供給きょうきゅうを停止ていしするのか、それともさらなる支援しえんを提供ていきょうするのか、ハリス氏しからより明確めいかくな考かんがえを聞きく必要ひつようがある」と述のべました。

ティム・ウォルズ氏しとは

ティム・ウォルズ氏しは中西部ちゅうせいぶネブラスカ州しゅう出身しゅっしんの60歳さい。

州兵しゅうへいを24年間ねんかん務つとめたほか、高校こうこうで社会しゃかい科かの教師きょうしをしていました。

2007年ねんから中西部ちゅうせいぶミネソタ州しゅう選出せんしゅつの下院かいん議員ぎいんを6期き12年ねんにわたり務つとめました。

その後そのご、2019年ねんにミネソタ州しゅう知事ちじに就任しゅうにんして現在げんざい、2期き目めです。

州しゅう知事ちじとしては、公立こうりつ学校がっこうの給食きゅうしょくの無料むりょう化か、中間ちゅうかん層そうに対にたいする減税げんぜい、労働ろうどう者しゃの有給ゆうきゅう休暇きゅうかの拡充かくじゅうなどの政策せいさくを推し進おしすすめたほか、人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつの規制きせい強化きょうかに反対はんたいの立場たちばを掲かかげています。

高校こうこうの教師きょうし時代じだいは、アメリカンフットボールのコーチも務つとめ、州しゅう大会たいかいでチームを優勝ゆうしょうに導みちびいたとしています。

また、自身じしんのSNSには、銃じゅうを持もって狩かりをしている様子ようすをとらえた写真しゃしんや「私わたしはハンターで、銃じゅうの所持しょじ者しゃだ」というコメントを投稿とうこうする一方いっぽう、銃じゅう規制きせいの強化きょうかには賛成さんせいの立場たちばを示しめしています。

ウォルズ氏しは、中国ちゅうごくの高校こうこうで教師きょうしとして1年間ねんかん働はたらくプログラムに参加さんかした経験けいけんがあり、共和党きょうわとうの一部いちぶからは中国ちゅうごくとの距離きょりが近ちかいとの指摘してきも出でています。

大統領だいとうりょうを目指めざすハリス氏しが女性じょせい、黒人こくじん、そしてアジア系けいであるのに対にたいし、ウォルズ氏しは白人はくじんの男性だんせいで、下院かいん議員ぎいんや州しゅう知事ちじとして政治せいじ経験けいけんも豊富ほうふであることから、白人はくじん労働ろうどう者しゃ層そうへの浸透しんとうなどハリス氏しを補完ほかんする役割やくわりが期待きたいされています。

民主党みんしゅとう 全国ぜんこく党とう大会たいかい 日程にっていは

民主党みんしゅとうの全国ぜんこく党とう大会たいかいは全米ぜんべい各州かくしゅうなどの代表だいひょうの代だい議員ぎいんが中西部ちゅうせいぶ・イリノイ州しゅうシカゴに集あつまり、8月つき19日にちから22日にちまでの4日間にちかんの日程にっていで開ひらかれます。

民主党みんしゅとう全国ぜんこく委員いいん会かいによりますと大会たいかい期間きかん中ちゅう、シカゴには代だい議員ぎいんや報道ほうどう関係かんけい者しゃなど、およそ5万まん人にんが集あつまる見通みとおしだということです。

党とう大会たいかいでは、代だい議員ぎいんによるオンラインの投票とうひょうですでに大統領だいとうりょう候補こうほに指名しめいされているハリス副ふく大統領だいとうりょうと副ふく大統領だいとうりょう候補こうほのミネソタ州しゅうのウォルズ知事ちじのほか、7月つきに選挙せんきょ戦せんからの撤退てったいを表明ひょうめいしたバイデン大統領だいとうりょうが演説えんぜつします。

また、オバマ元もと大統領だいとうりょうやクリントン元もと大統領だいとうりょう、それに2016年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょで主要しゅよう政党せいとうでは史上しじょう初はじめて女性じょせいの大統領だいとうりょう候補こうほとして戦たたかったものの、共和党きょうわとうのトランプ氏しに敗やぶれたヒラリー・クリントン元もと国務こくむ長官ちょうかんも会場かいじょうで演説えんぜつする予定よていです。

バイデン氏しの撤退てったい以降いこう、全米ぜんべいを対象たいしょうにした各種かくしゅ世論せろん調査ちょうさの平均へいきんでは、ハリス氏しが支持しじを伸のばしていて、民主党みんしゅとうとしては党とう大会たいかいで結束けっそくをアピールし、選挙せんきょ戦せんの弾はずみにしたい考かんがえです。

さらに党とう大会たいかいでは、事実じじつ上じょうの公約こうやくとなる党とうの政策せいさく綱領こうりょうの採択さいたくも行おこなわれる見通みとおしです。

党とうの候補こうほ者しゃがハリス氏しに代かわったことで政策せいさく綱領こうりょうの内容ないようが注目ちゅうもくされてきましたが、アメリカの主要しゅようメディアは18日にち夜よる、バイデン氏しの撤退てったい表明ひょうめい前まえの7月つきに党とうの委員いいん会かいがまとめた案あんがそのまま採決さいけつにかけられる見通みとおしになったと伝つたえました。

党とう全国ぜんこく委員いいん会かい 委員いいん長ちょう「勢いきおいをさらに大おおきく」

民主党みんしゅとうの全国ぜんこく党とう大会たいかいの開幕かいまくを前まえに、党とう全国ぜんこく委員いいん会かいのハリソン委員いいん長ちょうが18日にち、NHKの取材しゅざいに応おうじました。

この中なかでハリソン委員いいん長ちょうは、今回こんかいの党とう大会たいかいについて「政治せいじ的てき立場たちばや出身しゅっしん地ちなどで、多様たよう性せいのある民主みんしゅ党員とういんを一堂いちどうに集あつめ、団結だんけつするためのイベントだ」と述のべて、大統領だいとうりょう選挙せんきょに向むけて結束けっそくを確認かくにんする場ばにしたいという認識にんしきを示しめしました。

そして、自身じしんがこれまでハリス副ふく大統領だいとうりょうの選挙せんきょ集会しゅうかいに参加さんかした経験けいけんを振り返ふりかえり「エネルギーが突き抜つきぬけており、ものすごい熱気ねっきだ。あのような光景こうけいはこれまで見みたことがない。勢いきおいはすでにわれわれの側がわにあり、この大会たいかいをきっかけにさらに大おおきくなることを願ねがう」と述のべて、大会たいかいを通をつうじて勢いきおいを加速かそくさせたいという考かんがえを示しめしました。

またハリソン委員いいん長ちょうは、事実じじつ上じょうの公約こうやくとなる党とうの政策せいさく綱領こうりょうは、大会たいかい初日しょにちの19日にちに採択さいたくされるという見通みとおしを示しめしました。

会場かいじょう周辺しゅうへんでは大だい規模きぼなデモ

民主党みんしゅとう大会たいかいの会場かいじょう周辺しゅうへんでは、イスラエルへの軍事ぐんじ支援しえんを続つづけるバイデン政権せいけんに反発はんぱつし、パレスチナへの支援しえんを訴うったえる大だい規模きぼなデモが呼よびかけられています。

主催しゅさい団体だんたいによりますと、移民いみん、黒人こくじん、性的せいてきマイノリティーの権利けんりや環境かんきょう保護ほごなどを訴うったえるおよそ270の団体だんたいが参加さんかし、数すう万まん人にんが集あつまる見込みこみだということです。

広報こうほうを担当たんとうするファヤーニ・ミジャナさんはNHKのインタビューに対にたいし「この国くにのほとんどの人々ひとびとは良心りょうしんがあり、この長ながい戦争せんそうの終結しゅうけつを望のぞんでいる」と述のべ、デモはあくまで平和へいわ的てきに行おこなうと強調きょうちょうするとともに、バイデン政権せいけんに中東ちゅうとう政策せいさくを改あらためるよう圧力あつりょくを強つよめたいとの考かんがえを示しめしました。

世論せろん調査ちょうさでは支持しじ率りつはきっ抗きっこう

政治せいじ情報じょうほうサイト「リアル・クリア・ポリティクス」によりますと、全米ぜんべいを対象たいしょうにした各種かくしゅ世論せろん調査ちょうさの平均へいきんでは、8月つき18日にち時点じてんで、ハリス副ふく大統領だいとうりょうを支持しじするとした人ひとは48.1％、トランプ前ぜん大統領だいとうりょうを支持しじするとした人ひとは46.7％と支持しじ率りつはきっ抗きっこうしています。

バイデン大統領だいとうりょうが選挙せんきょ戦せんからの撤退てったいを表明ひょうめいする直前ちょくぜんの7月つき20日にち時点じてんでは、トランプ氏しを支持しじするとした人ひとが47.8％、バイデン氏しを支持しじするとした人ひとが44.8％で、トランプ氏しが3ポイントリードしていました。

一方いっぽう、大統領だいとうりょう選挙せんきょの結果けっかを左右さゆうするとされる7つの激戦げきせん州しゅうの支持しじ率りつの平均へいきん値ちは8月つき18日にちの時点じてんでは、アリゾナ州しゅう、ネバダ州しゅう、ペンシルベニア州しゅう、ノースカロライナ州しゅう、ジョージア州しゅうの5つの州しゅうでトランプ氏しが上回うわまわっています。

一方いっぽう、ウィスコンシン州しゅうとミシガン州しゅうではハリス氏しが上回うわまわっています。

7つの州しゅうでのそれぞれの支持しじ率りつのポイントの差さは最もっとも離はなれているミシガン州しゅうでも2.0ポイントで、競り合せりあいとなっています。