日本新聞: 聴覚障害女児事故死で「逸失利益」算定めぐりきょう高裁判決

聴覚ちょうかく障害しょうがい女児じょじ事故死じこしで「逸失いっしつ利益りえき」算定さんていめぐりきょう高裁こうさい判決はんけつ

Jan 20, 2025 06:01 1

Furigana

7年ねん前まえに聴覚ちょうかく障害しょうがいのある女の子おんなのこが交通こうつう事故じこで死亡しぼうしたことをめぐり、将来しょうらい得えられるはずだった収入しゅうにゅうをどう算定さんていするかが争あらそわれている裁判さいばんの2審しんの判決はんけつが、20日にちに大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょで言い渡いいわたされます。遺族いぞく側がわは、健常けんじょう者しゃと同おなじ基準きじゅんでの算定さんていを求もとめているのに対にたいし、1審しんは労働ろうどう者しゃ全体ぜんたいの平均へいきん賃金ちんぎんの85％が妥当だとうだとしていて、高裁こうさいの判断はんだんが注目ちゅうもくされます。

2018年ねん2月つき、大阪おおさか生野いくの区くでショベルカーが歩道ほどうに突っ込つっこむ事故じこが起おき、近ちかくの聴覚ちょうかく支援しえん学校がっこうに通かよっていた井出いで安あん優香ゆかさん（当時とうじ11）が亡なくなりました。

遺族いぞくは、運転うんてん手しゅと勤務きんむ先さきの会社かいしゃに損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめる訴うったえを起おこし、裁判さいばんでは、安あん優香ゆかさんが将来しょうらい、得えられるはずだった収入しゅうにゅうにあたる「逸失いっしつ利益りえき」をどう算定さんていするかが争あらそわれています。

遺族いぞく側がわは、健常けんじょう者しゃと同おなじ基準きじゅんでの算定さんていを求もとめているのに対にたいし、1審しんの大阪おおさか地方ちほう裁判所さいばんしょは2023年ねん、「安あん優香ゆかさんは学習がくしゅう意欲いよくがあり、将来しょうらいさまざまな就労しゅうろう可能かのう性せいがあったが、聴覚ちょうかく障害しょうがいが労働ろうどう能力のうりょくを制限せいげんしうる事実じじつは否定ひていできない」として、労働ろうどう者しゃ全体ぜんたいの平均へいきん賃金ちんぎんの85％をもとにするのが妥当だとうだと判断はんだんしました。

そのうえで、賠償ばいしょう額がくとして3700万まん円えん余あまりの支払しはらいを運転うんてん手しゅ側がわに命めいじました。

遺族いぞく側がわが控訴こうそし、「障害しょうがいの有無うむによって収入しゅうにゅうに差さをつけるのは差別さべつ的てきだ」と主張しゅちょうしたのに対にたいし、運転うんてん手しゅ側がわは控訴こうそを退しりぞけるよう求もとめました。

判決はんけつは、20日にち午後ごご2時じから大阪おおさか高裁こうさいで言い渡いいわたされる予定よていで、聴覚ちょうかく障害しょうがいがある子こどもの将来しょうらいの可能かのう性せいをどう判断はんだんするか注目ちゅうもくされます。

遺族いぞく差別さべつのない公正こうせいな判決はんけつ求もとめ署名しょめい提出ていしゅつ

井出いで安あん優香ゆかさんは、生うまれた時ときから聴覚ちょうかく障害しょうがいがあり、事故じこにあったのは、聴覚ちょうかく支援しえん学校がっこうからの下校げこう途中とちゅうでした。

安あん優香ゆかさんは、学校がっこうの宿題しゅくだいなどに加くわえ、毎日まいにち欠かかさず自主じしゅ的てきに勉強べんきょうしていて、亡なくなる前日ぜんじつも、算数さんすうのプリントに取り組とりくんでいました。

知しらない人ひととも積極せっきょく的てきに交流こうりゅうを図はかるなど、明あかるく社交しゃこう的てきな性格せいかくで、手話しゅわだけでなく、補聴器ほちょうきを使つかって会話かいわによるコミュニケーションもできていたということです。

判決はんけつを前まえにした1月つき14日にち、安あん優香ゆかさんの両親りょうしんは、大阪おおさか聴力ちょうりょく障害しょうがい者しゃ協会きょうかいとともに、差別さべつのない公正こうせいな判決はんけつを求もとめて、全国ぜんこくから集あつまったおよそ1万まん8000人にん分ぶんの署名しょめいを大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょに提出ていしゅつしました。

大阪おおさか高裁こうさいに提出ていしゅつした署名しょめいの数かずは、これまでに合あわせて2万まん8000人にん分ぶんを超こえています。

父親ちちおやの努つとむさんは「娘むすめには全まったく落ち度おちどはありませんでした。それなのに、娘むすめの将来しょうらいを否定ひていするようなことを言いわれ、娘むすめを亡なくしたうえに、さらに傷きずつけられる二に次じ被害ひがいを受うけてきました。私わたしは逸失いっしつ利益りえきが100％と判断はんだんされるのが当然とうぜんだと思おもっています」と話はなしていました。

また、母親ははおやのさつ美よしさんは「障害しょうがいがあってもなくても、わずか11歳さいの子こどもの将来しょうらいの可能かのう性せいは同おなじだと思おもいます。娘むすめのそれまでの努力どりょくを見みて、将来しょうらいを信しんじていたし、楽たのしみでした。それを奪うばっておいて、障害しょうがい者しゃだから逸失いっしつ利益りえきが100％認みとめられないという主張しゅちょうはおかしいと思おもいます」と話はなしていました。