アメリカのブリンケン国務長官は6日、ウクライナの首都キーウを訪れ、ゼレンスキー大統領やクレバ外相らと会談し、ウクライナ軍が反転攻勢を続ける中、最新の戦況などについて意見を交わしました。
一連の会談後に行われた記者会見でブリンケン長官は軍事や人道支援などで新たに10億ドル以上、日本円で1400億円を超える支援を提供することを明らかにしました。
この中には1億7500万ドル、日本円で250億円相当の軍事支援が含まれていて、▽戦車などの装甲を貫く破壊力がある劣化ウラン弾や▽高機動ロケット砲システム=ハイマースに使われるロケット弾などを供与するとしています。
ブリンケン長官は「現在も続いている反転攻勢は、ここ数週間で進展が見られる。今回の新たな支援は、それを維持し、さらなる勢いをつけるのに役立つだろう」と述べた上で、今後もウクライナへの支援を続けていくアメリカの立場を改めて強調しました。
米戦略広報調整官「劣化ウラン弾は装甲した標的に対し効果的」
今回、アメリカが供与を発表した劣化ウラン弾は、天然ウランを濃縮する際にできる劣化ウランを使った兵器で、破壊力がある一方、さく裂した際に飛び散る放射性物質が人体に悪影響を及ぼす可能性があるとの指摘もあります。
ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は6日、記者会見で「劣化ウラン弾は装甲した標的に対して効果的であり、ウクライナが反転攻勢でできる限り有利になるようにしたいと考えている」と述べました。
そのうえで「アメリカのCDC=疾病対策センターによる研究を含め、放射能による危険はないとの科学的な裏付けがあり、さらにはロシアも含めて多くの国の軍が使用している」と述べて供与に問題はないと強調しました。
ウクライナに対してはイギリス政府が劣化ウラン弾を提供しています。