「貯蓄ちょちくから投資とうしへ」新しんNISAでどうなる？

2024年ねんには個人こじん投資とうし家か向むけの優遇ゆうぐう税制ぜいせいを拡充かくじゅうした新あたらしいNISA（以下いか、新しんNISA）が始はじまります。貯蓄ちょちくから投資とうしへのシフトは進すすむのでしょうか。

2024年ねんから「新しんNISA」へ

都内とないで開ひらかれた証券しょうけん業界ぎょうかいの関係かんけい者しゃなどによるトークイベントです。新しんNISAが2024年ねん1月つきから始はじまるのを前まえに投資とうしを身近みぢかに感かんじてもらおうと、日本にっぽん証券しょうけん業ぎょう協会きょうかいが開ひらきました。

イベントでは、証券しょうけん取引とりひき所しょや証券しょうけん業界ぎょうかいの関係かんけい者しゃやタレントの丸山まるやま礼あやさんが、安定あんていした資産しさん形成けいせいに向むけては「長期ちょうき・積み立つみたて・分散ぶんさん」の投資とうしがポイントだと解説かいせつしていました。

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんもビデオメッセージを寄よせ「多おおくの方々かたがたに新あたらしいNISAを活用かつようしてもらいライフプランを踏ふまえた資産しさん形成けいせい手段しゅだんとして役立やくだてていただきたい。家計かけいの資産しさん形成けいせいがさらなる投資とうしや消費しょうひにつながる成長せいちょうと分配ぶんぱいの好こう循環じゅんかんに向むけて取り組とりくんでいく」とあいさつしました。

新しんNISA 非ひ課税かぜい保有ほゆう限度げんど額がくは1800万まん円えんに

岸田きしだ政権せいけんが掲かかげる「資産しさん所得しょとく倍増ばいぞうプラン」の柱はしらとなる新しんNISA。

「NISA」は個人こじんの資産しさん運用うんようを後押あとおしするため、税制ぜいせいの優遇ゆうぐう制度せいどが設もうけられていることが特徴とくちょうで、購入こうにゅうした株式かぶしきや投資とうし信託しんたくなどの売却ばいきゃく益えきや配当はいとう金きんが一定いっていの範囲はんい内ないで非課税ひかぜいとなります。

2024年ねん1月つきからはこの「NISA」が拡充かくじゅうされます。

まず、長期ちょうきの積み立つみたてを目的もくてきに投資とうし信託しんたくだけを購入こうにゅう対象たいしょうとする「つみたて投資とうし枠わく」と、上場じょうじょう企業きぎょうの株式かぶしきなどを購入こうにゅうできる「成長せいちょう投資とうし枠わく」となり、どちらの制度せいども利用りようできるようになります。

その上うえで、制度せいどは恒久こうきゅう的てきなものとして、非課税ひかぜいで保有ほゆうできる期間きかんも無む期限きげんとなります。

年間ねんかんの投資とうしの上限じょうげん額がくは、「つみたて投資とうし枠わく」が120万まん円えん、「成長せいちょう投資とうし枠わく」は240万まん円えん、合計ごうけいで360万まん円えんです。

非ひ課税かぜいで保有ほゆうできる資産しさんの限度げんど額がくは、2つの枠わくの合計ごうけいで最大さいだい1800万まん円えんになります。

「貯蓄ちょちく」から「投資とうし」へ

政府せいふは、新しんNISAで貯蓄ちょちくを投資とうしに振り向ふりむけて個人こじんの資産しさん形成けいせいや経済けいざい成長せいちょうを後押あとおしする施策しさくを進すすめたいとしています。

しかし、日本にっぽんの個人こじん金融きんゆう資産しさんは一貫いっかんして現金げんきんと預金よきんの割合わりあいが高たかい状態じょうたいが続つづいています。

日銀にちぎんが3か月かげつごとに公表こうひょうする「資金しきん循環じゅんかん統計とうけい」によりますと、個人こじんが保有ほゆうする預金よきんや株式かぶしき、保険ほけんなどの金融きんゆう資産しさんは、2023年ねん6月末げつまつの時点じてんで2115兆ちょう円えんと、過去かこ最高さいこうを更新こうしんしました。

日本にっぽんの個人こじん金融きんゆう資産しさん全体ぜんたいに占しめる割合わりあいをみると、

▽「現金げんきん・預金よきん」は52.8％

▽「株式かぶしきなど」は12.7％

▽「投資とうし信託しんたく」は4.7％

などとなっています。

これに対にたいして

アメリカは2023年ねん3月末げつまつ時点じてんで

▽「現金げんきん・預金よきん」は12.6％

▽「株式かぶしきなど」は39.4％

▽「投信とうしん信託しんたく」は11.9％

ユーロ圏けんでは2023年ねん3月末げつまつ時点じてんで

▽「現金げんきん・預金よきん」は35.5％

▽「株式かぶしきなど」は21％

▽「投資とうし信託しんたく」は10.1％

などとなっています。

背景はいけいには「投資とうしに慎重しんちょうな日本人にっぽんじん」

背景はいけいとして、バブル崩壊ほうかい後ごに株価かぶかが大おおきく値下ねさがりし、証券しょうけん業界ぎょうかいで不祥事ふしょうじが相次あいついだことなどを背景はいけいに投資とうしに慎重しんちょうな人ひとが多おおいことが指摘してきされています。加くわえて、デフレが長期ちょうき化かし現金げんきんの実質じっしつ的てきな価値かちが上あがっていたことなどから、相対そうたい的てきにリスクの高たかい株式かぶしきなどへの投資とうしが敬遠けいえんされてきたのではないかという指摘してきもあります。

今後こんごの焦点しょうてんは、新しんNISAで個人こじんが保有ほゆうする巨額きょがくの現金げんきんや預金よきんがどう動うごくかです。

投資とうしの理解りかい進すすむか 金融きんゆう教育きょういくも強化きょうか

貯蓄ちょちくから投資とうしへのシフトを進すすめるには、幅広はばひろい世代せだいに投資とうしや資産しさん形成けいせいに関にかんする知識ちしきをどう身みにつけてもらうかも課題かだいとなります。

どこまでリスクをとって投資とうしできるか、その「許容きょよう度ど」を把握はあくし金融きんゆう商品しょうひんの仕組しくみやリスクについてもしっかり理解りかいしておくことが重要じゅうようです。

しかし、日本にっぽんでは欧米おうべいに比くらべて学校がっこうや職場しょくばなどで金融きんゆうに関にかんする教育きょういくが十分じゅうぶんに行おこなわれていないとも指摘してきされています。こうした中なか、2022年度ねんどから高校こうこうで金融きんゆう教育きょういくの授業じゅぎょうが必修ひっしゅうとなったほか、証券しょうけん会社かいしゃをはじめとする金融きんゆう機関きかんなどの間までも、各地かくちの学校がっこうなどで金融きんゆう教育きょういくを行おこなう取り組とりくみを強化きょうかしています。政府せいふは金融きんゆう教育きょういくを進すすめる中核ちゅうかく的てきな組織そしきとして「金融きんゆう経済けいざい教育きょういく推進すいしん機構きこう」を来年らいねん中ちゅうに設置せっちする方針ほうしんで、関連かんれんする法律ほうりつの改正かいせい案あんを次つぎの臨時りんじ国会こっかいで成立せいりつさせることを目指めざしています。