日本新聞: 中国で電力の供給制限広がる景気も減速傾向現状や見通しは

中国ちゅうごくで電力でんりょくの供給きょうきゅう制限せいげん広ひろがる景気けいきも減速げんそく傾向けいこう現状げんじょうや見通みとおしは

Oct 2, 2021 19:10 6

Furigana

中国ちゅうごくでは9月つきから幅広はばひろい地域ちいきで電力でんりょくの供給きょうきゅう制限せいげんが広ひろがり、地元じもとメディアは広東かんとん省しょうや江蘇ちぁんす-省しょう、浙江せっこう省しょう、遼寧りょうねい省しょうなど、20余あまりの省しょうなどに影響えいきょうが出でていると伝つたえています。

一部いちぶの地域ちいきでは住宅じゅうたく地ちで停電ていでんが起おきたほか、製造せいぞう業ぎょうが集積しゅうせきする広東かんとん省しょうなどでは企業きぎょうの工場こうじょうの操業そうぎょう停止ていしも相次あいつぎました。

電力でんりょく不足ふそくの背景はいけいは地域ちいきによっても異ことなりますが、火力かりょく発電はつでん所しょで使つかわれる石炭せきたんなどの価格かかくが国際こくさい的てきに高騰こうとうしているため、電力でんりょく会社かいしゃが発電はつでん所しょの稼働かどう率りつを落おとしていることや、二に酸化さんか炭素たんその排出はいしゅつ量りょう削減さくげんのため環境かんきょう規制きせいが強化きょうかされていることなどがあるとされています。

中国ちゅうごく政府せいふは、2060年ねんまでに二に酸化さんか炭素たんその排出はいしゅつ量りょうの実質じっしつゼロを目指めざすとしていて、習近平ちから国家こっか主席しゅせきは、ことし4月つき「中国ちゅうごくは石炭せきたん火力かりょく発電はつでんを厳きびしく制限せいげんしていく。2025年ねんまでに石炭せきたんの消費しょうひの伸のびを抑え込おさえこみ、2030年ねんまでに徐々じょじょに減へらしていく」と述のべています。

こうした中なか、政府せいふはことし8月つき中旬ちゅうじゅん、エネルギー消費しょうひ量りょうの削減さくげん目標もくひょうについてことし上半期かみはんきの達成たっせい状況じょうきょうを各省かくしょうに通知つうちしていて、この達成たっせい状況じょうきょうが悪わるかった省しょうなどが環境かんきょう規制きせいを強つよめているとみられています。

一方いっぽう、電力でんりょく不足ふそくの広ひろがりを受うけて政府せいふは、9月つき29日にち「電力でんりょく需給じゅきゅうの厳きびしい状態じょうたいに対応たいおうするため調整ちょうせいを強化きょうかする」と発表はっぴょうし、石炭せきたんの生産せいさんや輸入ゆにゅうを増ふやすとともに、地方ちほう政府せいふに対にたいしてエネルギー消費しょうひ計画けいかくを合理ごうり的てきなものにするよう指導しどうする方針ほうしんを示しめしました。

中国ちゅうごく商務省しょうむしょうは9月つき30日にちの会見かいけんで「企業きぎょうが直面ちょくめんする可能かのう性せいのある困難こんなんや問題もんだいを調整ちょうせいし、解決かいけつするために迅速じんそくに支援しえんする」としています。

電力でんりょく不足ふそくも影響えいきょうする形かたちで中国ちゅうごくの景気けいきは減速げんそく傾向けいこうを強つよめていて、9月つきの製造せいぞう業ぎょうの景況けいきょう感かんを示しめす指数しすうは景気けいき判断はんだんのよしあしを判断はんだんする節目ふしめとなる「50」を1年ねん7か月かげつぶりに下回したまわりました。

不動産ふどうさん大手おおての恒つね大だいグループの経営けいえい問題もんだいをきっかけに不動産ふどうさん市場しじょうを取り巻とりまく状況じょうきょうも不透明ふとうめいさを増ましていて、中国ちゅうごく経済けいざいへの悪影響あくえいきょうを抑おさえるために当局とうきょくがこれらの問題もんだいにどう対処たいしょするのか、世界せかいの市場しじょう関係かんけい者しゃらの目めが注そそがれています。

専門せんもん家か “早はやい段階だんかいで電力でんりょく供給きょうきゅうの確保かくほ優先ゆうせんに変かわる見通みとおし”

中国ちゅうごく経済けいざいに詳くわしい大和やまと総研そうけんの齋藤さいとう尚登なおと主席しゅせき研究けんきゅう員いんは、中国ちゅうごく各地かくちの電力でんりょく不足ふそくについて「石炭せきたん価格かかくの高騰こうとうの影響えいきょうに加くわえ、環境かんきょう対策たいさくが強化きょうかされ目標もくひょう達成たっせいのために石炭せきたん火力かりょく発電はつでんを抑制よくせいする地方ちほうが続出ぞくしゅつしている。いま習近平ちから国家こっか主席しゅせきの一いち強きょう体制たいせいのもと中央ちゅうおう政府せいふが求もとめる政策せいさくが効ききすぎるという問題もんだいが起おきており、今回こんかいもそういう側面そくめんがある」と指摘してきしています。

そして「停電ていでんが起おきれば工場こうじょうを止とめなければならず中国ちゅうごく経済けいざい全体ぜんたいに対にたいしても当然とうぜんマイナスの影響えいきょうがあるとみている。ただ、いくら環境かんきょう対策たいさくでも市民しみんの生活せいかつや経済けいざいに打撃だげきを与あたえてしまっては元もとも子こもないので、早はやい段階だんかいで電力でんりょく供給きょうきゅうの確保かくほを優先ゆうせんするように政策せいさくが変かわると思おもう」として早期そうきに影響えいきょうを抑おさえる対策たいさくがとられるとの見通みとおしを示しめしました。

一方いっぽう、不動産ふどうさん大手おおて恒つね大だいグループの経営けいえい問題もんだいを含ふくめた中国ちゅうごく経済けいざいの状況じょうきょうについて、齋藤さいとう氏しは「景気けいきの減速げんそく要因よういんが増ふえているのが現状げんじょうだ。緩ゆるやかな景気けいき減速げんそくであれば来年らいねんも5％台だいの成長せいちょうになるとみられるが、最悪さいあくの想定そうていで来年らいねんの成長せいちょう率りつが4％台だいあるいは3％台だいになった場合ばあい、明あきらかに失速しっそくと言いえる状況じょうきょうで、中国ちゅうごく経済けいざいにとっては非常ひじょうに大おおきな打撃だげきだ。日本にっぽんと中国ちゅうごくの経済けいざいは非常ひじょうに密接みっせつで、中国ちゅうごくの経済けいざい成長せいちょう率りつが大おおきく下さがれば日本にっぽん経済けいざいへの影響えいきょうは大おおきいと見みておくべきだ」と述のべました。

そのうえで今後こんごの焦点しょうてんについて「いちばん大おおきいのは不動産ふどうさん市場しじょうの安定あんてい化かだ。今後こんご、第だい2、第だい3の『恒つね大だい』が出現しゅつげんする可能かのう性せいは高たかい。会社かいしゃが経営けいえい破綻はたんしても事業じぎょうを別べつの会社かいしゃが引き継ひきつぎ、それによって物件ぶっけんが完成かんせいして引き渡ひきわたされれば悪影響あくえいきょうが小ちいさく収おさまるためここが大おおきなポイントだ。中国ちゅうごく政府せいふとしても事業じぎょう継続けいぞくに対にたいするサポートはしっかりやるのではないか」という見方みかたを示しめしました。

中国ちゅうごくの日本にっぽん企業きぎょうにも影響えいきょう

中国ちゅうごくで発生はっせいしている電力でんりょく不足ふそくによって広東かんとん省しょうの広州こうしゅうに製造せいぞう拠点きょてんを置おく日本にっぽん企業きぎょうの工場こうじょうにも影響えいきょうが出でています。

このうち、自動車じどうしゃのブレーキを現地げんちの工場こうじょうで製造せいぞうしている曙ブレーキあけぼのぶれ-きは、地元じもと政府せいふからの要請ようせいで、9月つき22日にちから27日にちにかけて工場こうじょうの操業そうぎょう時間じかんを変更へんこうしました。

ふだんは午前ごぜん8時じから午後ごご11時じまで操業そうぎょうしていますが、午後ごご11時じから午前ごぜん8時じまでと夜間やかんの操業そうぎょうに変更へんこうしたということです。

今いまのところ生産せいさんへの大おおきな影響えいきょうはなく、ほぼ計画けいかくどおりに製造せいぞうできているとしています。

また、自動車じどうしゃ用ようのランプを製造せいぞうしているスタンレー電気すたんれ-でんきも、広州こうしゅうと天津てんしんにある工場こうじょうで操業そうぎょう時間じかんを変更へんこうするなどの対応たいおうを取とったということです。

このほか、金属きんぞく加工かこう機械きかいやプラスチック製品せいひんを製造せいぞうする日本にっぽん企業きぎょうにも電力でんりょくの供給きょうきゅう制限せいげんにより工場こうじょうの操業そうぎょうに影響えいきょうが出でているということです。

中国ちゅうごくでは1日にちから建国けんこく記念きねん日びにあたる国くに慶けい節ぶしの大型おおがた連休れんきゅうに入はいっていますが、日本にっぽん企業きぎょうの関係かんけい者しゃは「連休れんきゅう後ごに再ふたたび電力でんりょくの供給きょうきゅうを制限せいげんされるおそれもあるので、今後こんごも不安ふあんだ」と話はなしています。