この中で斉藤市長は、10年前の平成23年に市が危険性を認識し、県と対応を相談したうえで盛り土を造成した会社側に安全対策を実施するよう命じる文書を作成したものの、発出を見送っていたことを明らかにしました。
その理由については、それまで防災工事の要請に応じてこなかった業者が工事を一部進めるなどし、盛り土の地盤の安定化が図られたなどとして「一定の安全性が担保されたと判断した」と述べたうえで、当時の判断については「正しかったと思っている」と述べました。
一方、今回の土石流の被害については「重く受け止めている」と述べましたが、市の責任については現在も続いている市の調査や第三者としての県の調査に委ねる考えを示し、明言を避けました。
瀬下さんは「調査結果は非常に公明正大と言えるものが出てきた。今回の資料を見るかぎり、明らかな過失があったと言える。行政に重大な過失があったと言わざるをえない」と述べました。 そのうえで「なぜ放置されていたのか、適切だったのかという点は行政で明らかにしてほしい。もみ消さずに事実を出してもらい、適切な対応だったのか防ぐことができたのかどうか、つまびらかにしてほしい」と訴えていました。 また、加藤博太郎弁護士は「防ぐことができた人災であったことが明らかになった。行政に対しては直ちに法的責任の追及は考えておらず、被災者に真摯(しんし)に向き合ってもらって真相解明を自発的に行ってほしい」と述べました。 遺族や被災者、合わせて70人は土石流の被害について、盛り土を造成した不動産会社の代表や今の土地所有者などに対して、先月、静岡地方裁判所沼津支部に32億円余りの賠償を求める訴えを起こしています。
遺族が会見「行政に重大な過失」
静岡県 難波副知事 “命令出すべきだったと思う 検証が必要”
土地所有者側「誠に遺憾」