Japanese News: 「小学館」と「光文社」フリーランス新法違反で公取委が勧告

大手おおて出版しゅっぱん社しゃの「小学しょうがく館かん」と「光文社こうぶんしゃ」が、業務ぎょうむを委託いたくしていたフリーランスのライターなどに報酬ほうしゅうの額がくなどの取り引とりひき条件じょうけんを明示めいじしなかったとして、公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいは再発さいはつ防止ぼうしなどを求もとめる勧告かんこくを行おこないました。去年きょねん11月つきにフリーランスを保護ほごする法律ほうりつが施行しこうされてから勧告かんこくが出だされるのは初はじめてです。

フリーランスで働はたらく人ひとが安心あんしんして働はたらける環境かんきょうを作つくるため、去年きょねん11月つき、新あらたな法律ほうりつが施行しこうされ、業務ぎょうむを委託いたくした事業じぎょう者しゃに対にたいして書面しょめんなどで報酬ほうしゅう額がくや支払しはらい期日きじつといった取り引とりひき条件じょうけんを直ただちに明示めいじすることが義務ぎむづけられたほか、業務ぎょうむ委託いたくの期間きかんが1か月かげつ以上いじょうの場合ばあいは通常つうじょうよりも報酬ほうしゅうを著いちじるしく低ひくくする「買かいたたき」などの行為こういが禁止きんしされました。

公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいによりますと、「小学しょうがく館かん」は、去年きょねん12月つきの1か月かげつ間かん、月刊げっかん誌しや週刊しゅうかん誌しの原稿げんこうの作成さくせいや写真しゃしん撮影さつえいを委託いたくしているフリーランスのライターやカメラマンなど191の事業じぎょう者しゃに対にたいし、報酬ほうしゅうの額がくなどを書面しょめんやメールで明示めいじしませんでした。

また、「光文社こうぶんしゃ」もことし2月つきまでの4か月かげつ間かん、フリーランスの31の事業じぎょう者しゃに対にたいし、報酬ほうしゅうの額がくなどを明示めいじしなかったということです。

公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいは2社しゃが新あらたな法律ほうりつに違反いはんしたとして、再発さいはつ防止ぼうしや内部ないぶ調査ちょうさを求もとめる勧告かんこくを行おこないました。

法律ほうりつの施行しこう後ご、勧告かんこくが出だされるのは初はじめてです。

また、今回こんかい、支払しはらい期日きじつが定さだめられていなかったため原稿げんこうなどの成果せいか物ぶつを受け取うけとった日ひが期日きじつとなり、2社しゃとも期日きじつまでに報酬ほうしゅうを支払しはらわなかった違反いはんも認定にんていされました。

小学しょうがく館かん「全社ぜんしゃ一丸いちがんとなって法令ほうれい順守じゅんしゅを徹底てっていする」

「小学しょうがく館かん」は「勧告かんこくを重おもく受け止うけとめるとともに皆様みなさまにご迷惑めいわく、ご心配しんぱいをおかけする事態じたいとなりましたことを深ふかくおわび申し上もうしあげます。

今後こんごは、社内しゃないに特別とくべつ対策たいさく委員いいん会かいを設置せっちし、調査ちょうさを行おこない、対策たいさくを講こうじてまいります。同様どうようの問題もんだいが発生はっせいすることのないよう、勧告かんこくの内容ないようを役員やくいんや従業じゅうぎょう員いんに周知しゅうち徹底てっていします。また、あらためてすべての部署ぶしょを対象たいしょうにしたフリーランス法ほうに関にかんする研修けんしゅうの実施じっし、業務ぎょうむ委託いたくをする際さいの発注はっちゅう手順てじゅんの検証けんしょう、支払しはらい状況じょうきょうのモニタリング体制たいせいの強化きょうかなどを推進すいしんし、全社ぜんしゃ一丸いちがんとなって法令ほうれい順守じゅんしゅを徹底てっていしてまいります」とコメントしています。

光文社こうぶんしゃ「法令ほうれい順守じゅんしゅを徹底てっていする」

「光文社こうぶんしゃ」は16日にち、緊急きんきゅうの社内しゃない研修けんしゅうを実施じっししたとしたうえで「多大ただいなるご迷惑めいわく、ご心配しんぱいをおかけしましたことを深ふかくおわび申し上もうしあげます。

長年ながねんの商しょう慣習かんしゅうにおいて、電話でんわなどでの口頭こうとうによる発注はっちゅうや新法しんぽうが示しめす法令ほうれい期日きじつ内ないの支払しはらいにずれが生しょうじていました。取引とりひき条件じょうけんなどを明示めいじした共通きょうつう発注はっちゅう書しょによる業務ぎょうむ委託いたくの徹底てっていと、支払しはらい管理かんり体制たいせいの再さい構築こうちくに全社ぜんしゃをあげて取り組とりくみ、社内しゃない手続てつづきや業務ぎょうむ遂行すいこう状況じょうきょうをモニタリングして、法令ほうれい順守じゅんしゅを徹底てっていしてまいります」とコメントしています。

専門せんもん家か「業界ぎょうかい全体ぜんたいに適正てきせいなルール広ひろげて」

労働ろうどう法ほうが専門せんもんで、フリーランスの人ひとたちが直面ちょくめんする問題もんだいに詳くわしい早はや稲田いなだ大学だいがく法学部ほうがくぶの水町みずまち勇一郎ゆういちろう教授きょうじゅは「業界ぎょうかいの体質たいしつとして、大だい企業きぎょうであってもきちんと法令ほうれいにのっとった取り扱とりあつかいをしていないところもある。

そういう業界ぎょうかいの体質たいしつをただすというなかで、まず公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいが大だい企業きぎょうに勧告かんこくしたことは重要じゅうようなステップになると思おもう。今回こんかいの勧告かんこくは、フリーランスについての新あたらしい法律ほうりつを守まもらせるためにとても大切たいせつな第一歩だいいっぽだと思おもう」と指摘してきしていました。

その上うえで、「フリーランスの人ひとにとっては報酬ほうしゅうが支払しはらわれるとしても、その期日きじつがわからなかったり期日きじつが守まもられなかったりすることが大おおきな問題もんだいの一ひとつになっている。

企業きぎょうには、きちんと法令ほうれいを順守じゅんしゅしてフリーランスの人ひとが気持きもちよく働はたらき、取り引とりひきができる環境かんきょうを作つくっていくということがまず課かされていると思おもう。大だい企業きぎょうも含ふくめて力ちからの強つよいところからきちんとルールを守まもって、業界ぎょうかい全体ぜんたいに適正てきせいなルールを広ひろげていってもらうということが大切たいせつだ」と話はなしていました。

フリーランス新法しんぽうとは

去年きょねん11月つきに施行しこうされた法律ほうりつでは、フリーランスに業務ぎょうむを委託いたくした企業きぎょうなどの事業じぎょう者しゃに対にたいして、書面しょめんなどで報酬ほうしゅう額がくや支払しはらい期日きじつなどの取り引とりひき条件じょうけんを直ただちに明示めいじすることが義務ぎむづけられています。

その上うえで、発注はっちゅうした物品ぶっぴんを受け取うけとった日ひや発注はっちゅうした内容ないようの仕事しごとが終おわった日ひから60日にち以内いないのできるだけ早はやい日ひに、報酬ほうしゅうの支払しはらい期日きじつを定さだめて支払しはらわなくてはいけません。

なお、支払しはらい期日きじつを定さだめなかった場合ばあいは発注はっちゅうした物品ぶっぴんを受け取うけとった日ひや発注はっちゅうした内容ないようの仕事しごとを終おわった日ひが支払しはらい期日きじつとなります。

また、業務ぎょうむ委託いたくの期間きかんが1か月かげつ以上いじょうの場合ばあいは、通常つうじょうよりも報酬ほうしゅうを著いちじるしく低ひくくする「買かいたたき」や、あらかじめ定さだめた報酬ほうしゅうの減額げんがくなどを禁止きんししています。

業務ぎょうむ委託いたくの期間きかんが6か月かげつ以上いじょうの場合ばあいは、フリーランスからの申し出もうしでに応おうじて、育児いくじや介護かいごと業務ぎょうむを両立りょうりつできるよう配慮はいりょすることが義務ぎむづけられています。

そして、ハラスメントの相談そうだんや苦情くじょうに対応たいおうするための体制たいせいの整備せいびが義務ぎむづけられ、相談そうだんしたことを理由りゆうとした契約けいやくの解除かいじょなど不ふ利益りえきな取り扱とりあつかいを禁きんじています。

労基署ろうきしょに新あらたな相談そうだん窓口まどぐち

新あたらしい法律ほうりつの施行しこうにあわせて全国ぜんこくの労働ろうどう基準きじゅん監督かんとく署しょに新あらたな相談そうだん窓口まどぐちが設もうけられました。

相談そうだんの対象たいしょうは、フリーランスとして事業じぎょう者しゃと業務ぎょうむ委託いたくの契約けいやくを結むすんだものの、勤務きんむの時間じかんや場所ばしょ、仕事しごとの進め方すすめかたなどを具体ぐたい的てきに指示しじされ、実態じったいは雇用こようされた労働ろうどう者しゃと変かわらない働はたらき方かたをする人ひとです。