初出場の舞台で日本の最初のメダル
渡名喜選手にとって夢だったオリンピックが明確な目標に変わったのは前回、2016年のリオデジャネイロ大会。
同学年の近藤亜美選手が銅メダルを獲得した時でした。
練習で組んでいた同い年の選手の大舞台での活躍を目にして、「私も」と思ったのがきっかけでした。
ライバルに勝ってオリンピックに出場するためには何が必要なのか。
考え抜いた結果、「1つ1つの大会で安定して勝つこと」をテーマに掲げました。
これまで試合のたびにけがをしたことが多かったため、他種目のトップ選手が通うトレーニング施設と契約。
体幹を中心にしたメニューに本格的に取り組むことで、けがをしにくい体を手に入れ、大会ごとに技術面の見直しに時間を割けるようになりました。
東京大会への代表選考が始まった2017年から世界選手権では3大会連続で決勝に進み、安定した戦いで代表争いを大きくリードしました。
しかし、オリンピックでの頂点を目指すにあたって立ちはだかる存在となったのは、ウクライナのダリア・ビロディド選手でした。
2018年から2年続けて世界選手権の決勝で敗れました。
身長1メートル48センチとこの階級でも小柄な渡名喜選手が20センチ以上背の高いライバルに勝つための最大の課題は組み手で、相手に持たせる前に自分主導でいかに先に持って組み勝つかが求められました。
身長が高い選手を狙って、階級が4つか5つ上の選手とも稽古を積んできました。
ことし1月の国際大会では4連敗中だったビロディド選手に初めて勝利し、上背のある相手や、腕力がある海外の選手に対し一定の自信をつかんでオリンピック本番を迎えました。
日本柔道のトップバッターとして勢いをつける役割が求められた競技初日。
渡名喜選手は「先陣という意味では私がいいスタートを切りたい。でも私の試合なのでマイペースに自分のやるべきことをやっていきたい」と臨みました。
ことばどおりに初戦の2回戦から危なげない試合運びで勝ち上がった渡名喜選手。
そして「世界一、オリンピックの金メダルにあたっては、絶対倒さないといけない相手」という最大のライバル、ビロディド選手を準決勝で打ち破りました。
ところが決勝で惜しくも敗戦。
金メダルが目標だった渡名喜選手にとっては悔いの残る銀メダルとはいえ、今大会、日本にとって最初のメダルをもたらしました。