7月に長女の高校でクラスターが発生しその後、1週間のうちに家族全員が次々と感染したといいます。
経過はこうでした。
・7月23日 長女 のどに違和感
・7月24日 長女 37度5分の熱
・7月26日 長男 鼻水が出始める
・7月27日 長男 全身の関節に強い痛み 38度7分の熱
長女 感染確認
・7月28日 女性と夫 せきや熱の症状が出始める
・7月30日 女性と夫と長男 感染判明
女性
「長女がはじめに体がかなりつらいと訴えたと思ったら、その後あっという間に家族全員に広がった感じでした。長男は『体が痛い、頭がおかしくなる』と言い、泣き叫び方が尋常ではありませんでした。私も夫も乾いたせきが出たと思ったら熱が出てきて、みんな急激に具合が悪くなっていきました」
女性 「子どもたちに食事を運ぶときにはマスクを二重にしたり、お風呂も、感染した長女に最後に入ってもらったりと、できる限りの対策をしました。 家庭内の感染は気をつければ防げると思っていたんですが、1週間にバタバタと4人に症状が出てしまいました。長女の隔離を始める前にすでに長男が感染していたのかもしれず、対策が追いつかない、ものすごい感染力に驚きました。家庭内感染を防ぐのは本当に難しいと思います」
吐き気やけん怠感が強くなり布団から出られなくなったといいます。 熱も38度6分まで上がりました。 女性 「味覚や嗅覚に異変はなかったのですが、なぜか吐き気がひどく、何も食べられなくなりました。ずっと気持ちが悪い状態でした。トイレに駆け込んでえずくんですけれども、トイレに行くのさえもつらくて涙が出ました。けん怠感は、50年近く生きてきて初めて経験するだるさで、こんなに動けないのかというくらい、起き上がるのもままならない状態でした。最初の2日くらいは休んでいる仕事のことなど考えていましたが、もうその倦怠感と吐き気とでそれどころじゃなくなり、全然何も考えられなくなってしまいました」
持病がない女性はふだん診てもらっているかかりつけ医がおらず、自宅から医師に相談することもできなかったといいます。 女性 「自宅療養中は保健所の職員と電話で話すことしかできず、職員も吐き気のことはよく分からないようでした。インターネットで検索しても吐き気の症状について詳しく書かれたものは見つからず、なにか違う病気なのかしら、なにか併発しちゃってるのかしらと思い、本当に病院に行きたかった、医師に診てもらいたかったです。家族はみんな徐々に回復しているのに自分だけがどんどん悪化していく。一生このままだったらどうしようと、先が見えないのがすごくつらかったです。母親としてずっと寝ているわけにもいかないという焦りもあり、不安でしかたありませんでした」
ホテルに到着して医師に症状を伝えたところ「消化器に不調を訴えるケースもある」と説明を受けようやく安心できたといいます。
「初めて医師に相談できて、同じ症状の人もいるという情報を聞き、ようやくほっとしました。そんなに特異な症状ではなかったんだという安心感でした。自宅療養中、どこにも頼れず悪化していくことがとてもつらかったので、自宅療養中の患者も医師に相談できる仕組みを早く整えてほしいと思います」
今回、「軽症でもこんなにつらいことを多くの人に知って欲しい」と自分の経験を話してくれました。 女性 「私も感染する前は『かかってもそんなにたいしたことないだろう』と、どこかで根拠なく思っていたところがあったのですが、軽症でも本当につらかった。高校生の娘もかなりきつかったそうで、二度とかかりたくないと言っていました。私と同じように『自分は感染しても軽く済む』と思っている人は考え直してほしい」 (2021年8月11日取材 社会部 記者 黒川あゆみ)
いろいろ対策行っても、家庭内感染は防げず
吐き気、けん怠感… トイレに行くのも涙
「症状検索しても出てこない」募る不安
自宅療養中は、どこにも頼れずつらかった
『感染しても軽く済む』と思っている人へ