日本新聞: 【詳しい経緯は】自宅療養中の妊婦自宅で出産新生児死亡

【詳くわしい経緯けいいは】自宅じたく療養りょうよう中ちゅうの妊婦にんぷ自宅じたくで出産しゅっさん新生児しんせいじ死亡しぼう

Aug 19, 2021 20:08

Furigana

新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんし、千葉ちば県けんで自宅じたく療養りょうよう中ちゅうの妊婦にんぷが入院にゅういん調整ちょうせいが行おこなわれたものの受け入うけいれ先さきが見みつからず、そのまま自宅じたくで出産しゅっさんし、赤あかちゃんが亡なくなったことが分わかりました。

感染かんせん確認かくにんの3日にち後ごに保健所ほけんじょが聞きき取とりを行おこない妊婦にんぷだと分わかったことや、その後そのご、優先ゆうせん度どの高たかい患者かんじゃとして受け入うけいれ先さきを探さがしたものの見みつからなかったことなど、詳くわしい経緯けいいが明あきらかになってきました。

この問題もんだいで柏かしわ市し保健所ほけんじょは19日にち午後ごご、記者きしゃ会見かいけんを開ひらき詳くわしい経緯けいいを説明せつめいしました。

それによりますと今月こんげつ11日にち、松戸まつど市しで1人にん暮くらしの妊娠にんしん8か月かげつの30代だいの妊婦にんぷが感染かんせんしていることが分わかりました。

この時ときは軽症けいしょうの診断しんだんで、保健所ほけんじょへの届け出とどけでには「妊婦にんぷ」という情報じょうほうはなく、その3日にち後ごの14日にち、保健所ほけんじょが健康けんこう観察かんさつとして聞きき取とりを行おこない「妊婦にんぷ」だと分わかったということです。

女性じょせいは「息苦いきぐるしい、呼吸こきゅうが苦くるしい」とも話はなし、血液けつえき中ちゅうの酸素さんその数値すうちも91％に低下ていかしていたということです。

このため「中等ちゅうとう症しょう」の状態じょうたいで、優先ゆうせん度どが高たかい患者かんじゃと判断はんだんされ、翌よく15日にちから2日間にちかん、保健所ほけんじょが県けんに入院にゅういん調整ちょうせいを依頼いらいしましたが、対応たいおうできる医療いりょう機関きかんは見みつからず自宅じたくで療養りょうようを続つづけることになったということです。

そして17日にちの朝あさ、保健所ほけんじょが再ふたたび電話でんわをかけた際さい、女性じょせいが「腹部ふくぶに張はりがあり、出血しゅっけつがある」と話はなしたため、かかりつけの産婦人科さんふじんかや保健所ほけんじょ、県けんの調整ちょうせい本部ほんぶなどで複数ふくすうの医療いりょう機関きかんにあたりましたが受け入うけいれ先さきが見みつからず、午後ごご4時じ20分ふんごろ患者かんじゃから保健所ほけんじょに「腹部ふくぶに痛いたみがあり、再度さいど出血しゅっけつがあった。陣痛じんつうではないか」と連絡れんらくがあったということです。

その後そのごも、県けんや保健所ほけんじょなどが探さがしましたが見みつからず、1時間じかん後ごの午後ごご5時じ20分ふん、自宅じたくで男おとこの赤あかちゃんを出産しゅっさんしました。

早産そうざんのため緊急きんきゅうの処置しょちが必要ひつようで、女性じょせいはみずから救急きゅうきゅう要請ようせいを行おこない、赤あかちゃんは病院びょういんに救急きゅうきゅう搬送はんそうされましたが、亡なくなったということです。

女性じょせいは現在げんざい、中等ちゅうとう症しょうと診断しんだんされ入院にゅういんしているということです。

保健所ほけんじょ「コロナ患者かんじゃ受け入うけいれ困難こんなん妊婦にんぷ対応たいおう医療いりょう機関きかんにかぎり」

柏かしわ市し保健所ほけんじょは「コロナ患者かんじゃの受け入うけいれが難むずかしい状況じょうきょうなうえ、妊婦にんぷにも対応たいおうできる医療いりょう機関きかんにはかぎりがあり、不幸ふこうな事態じたいになった」としてさらに詳くわしい経緯けいいを調しらべるとともに、県けんに対にたいし妊婦にんぷの受け入うけいれ態勢たいせいの強化きょうかに向むけた支援しえんなどを求もとめていく考かんがえを示しめしました。

県けんや保健所ほけんじょ計けい10か所かしょに打診だしんも受け入うけいれ先さき見みつからず

千葉ちば県けんや柏かしわ市し保健所ほけんじょが明あきらかにしたところによると、これまでに分わかっている範囲はんいで、県けんの調整ちょうせい本部ほんぶなどでは8か所かしょの医療いりょう機関きかんに打診だしんしましたが調整ちょうせいがつかず、保健所ほけんじょも少すくなくとも2か所かしょに依頼いらいしましたが、対応たいおうできるところは見みつからなかったということです。

専門せんもん家か「妊婦にんぷは優先ゆうせん的てきに搬送はんそうする必要ひつようがある」

日本にっぽん産婦人科さんふじんか医い会かい常務じょうむ理事りじで、日本にっぽん医科いか大学だいがくの中井なかい章人あきひと教授きょうじゅは「出産しゅっさんに関連かんれんして緊急きんきゅう度どが高たかい妊婦にんぷについては都道とどう府県ふけんの産科さんか施設しせつが連携れんけいして受け入うけいれ先さきを決きめる搬送はんそう体制たいせいが確立かくりつされているが、新型しんがたコロナに感染かんせんした妊婦にんぷについては、感染かんせん対策たいさくの課題かだいがあり、受け入うけいれ先さきが限かぎられているのが現状げんじょうだ。今回こんかいのようなケースは全国ぜんこくどこでも起おこり得えるもので全国ぜんこく的てきに感染かんせんした妊婦にんぷの搬送はんそう体制たいせいの強化きょうかが求もとめられる。また、出産しゅっさんに関連かんれんした症状しょうじょうではなくても妊婦にんぷは特とくに妊娠にんしん後期こうきに新型しんがたコロナに感染かんせんすると重症じゅうしょう化かしやすいとされている。救急きゅうきゅう搬送はんそう体制たいせいがひっ迫ひっぱくする中なかではあるが、妊婦にんぷは優先ゆうせん的てきに搬送はんそうする必要ひつようがあるのではないか」と話はなしていました。

熊谷くまがい知事ちじ「産科さんかの医療いりょう機関きかんなどと連携れんけいサポート検討けんとう」

熊谷くまがい知事ちじは定例ていれい会見かいけんで「妊婦にんぷの方ほうも含ふくめて感染かんせん者しゃがなかなか入院にゅういんできない状況じょうきょうは重おもく受け止うけとめている。産科さんかの医療いりょう機関きかんなどと連携れんけいを行おこない、どのようなサポートができるか検討けんとうしていく」と述のべ、検証けんしょうを行おこなう考かんがえを示しめしました。

産婦人科さんふじんか医いらのグループ事前じぜんの受け入うけいれ先さき決定けっていなど確認かくにん

新型しんがたコロナに感染かんせんした妊婦にんぷの出産しゅっさんは、感染かんせん対策たいさくで手術しゅじゅつ時間じかんを短縮たんしゅくするため帝王ていおう切開せっかいを行おこなう準備じゅんびが必要ひつようだったり、生うまれた赤あかちゃんをすぐに隔離かくりすることが必要ひつようだったりして、対応たいおうできる病院びょういんが限かぎられていて、入院にゅういん調整ちょうせいに時間じかんがかかるケースがみられています。

こうしたことから、千葉ちば県内けんないの産婦人科さんふじんか医いらのグループは緊急きんきゅうのオンライン会議かいぎを開ひらき、感染かんせんした妊婦にんぷの急きゅうな出産しゅっさんに備そなえ、事前じぜんに受け入うけいれ先さきを決きめておくことなどを確認かくにんしました。