格安航空ライアンエアCEO、マスク氏との論争を好機と捉え販売促進を強調
アイルランドの格安航空会社ライアンエアの最高経営責任者(CEO)であるマイケル・オライリー氏は、米国の実業家イーロン・マスク氏との公の場での論争が、航空券の販売増加につながっているとして、これを歓迎する姿勢を明らかにした。
21日にダブリンで開催された記者会見において、オライリー氏は「予約にとって非常に良い効果があった」と述べ、同社が「Big Idiot Seat Sale(大ばか者シート・セール)」と銘打ったキャンペーンを展開していることを強調した。その上で、「ライアンエアの予約を増やすためには、このようなPRをめぐる論争は大いに歓迎すべきだ」と語り、マスク氏にたいして無料航空券を提供する意向も示した。
両者の対立の発端は、オライリー氏が14日、マスク氏が率いる米宇宙企業スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」について、機体の空気抵抗が増加し燃料費が上昇する懸念から、ライアンエアの機材には搭載しない方針を表明したことにある。それにたいし、マスク氏は同日、X(旧ツイッター)上でオライリー氏が「誤った情報」を得ていると指摘し、「燃料消費量の違いを正確に測定することすらできないのではないか」と投稿した。さらに、マスク氏はオライリー氏を「完全なばか」や「愚か者」などと呼び、非難を強めた。
これにたいし、率直な発言で知られるオライリー氏は16日、アイルランドのラジオ局のインタビューで反論し、「イーロン・マスクには全く注意を払わない。彼はばかだ。大金持ちであるにもかかわらず、それでもばかだ」「イーロン・マスクが航空機や空気抵抗について知っていることは皆無だ」と語った。
また、オライリー氏は21日、マスク氏の発言に関して「侮辱されたとは感じていない」と述べ、「10代の子どもを持つ親であれば誰でも分かるように、家庭内では日常的にばかや間抜けなどと言われるものだ。
外に出なくても侮辱されることはある」とユーモアを交えて語った。
さらに、ライアンエアがスターリンクのインターネットサービスを導入しない理由について、オライリー氏は詳細に説明した。近年、他の航空会社ではスターリンクの導入が進んでいるが、オライリー氏によれば「非常に優れたシステムではあるものの、機体への搭載には多大なコストが伴う」と指摘した。同社が保有する643機すべてに2本のアンテナを設置する必要があり、その設置費用や空気抵抗による燃料費増加を含めると、年間2億~2億5000万ドル(約310億~約400億円)のコストが発生するという。
加えて、乗客からサービス利用料を徴収することでこれらのコストを回収することは現実的ではないとし、スターリンク側は乗客の約90%がインターネット利用に料金を支払う意向があるとしているものの、ライアンエア独自の調査では実際に支払うのは10%未満にとどまると明らかにした。