Actualités japonaises: 南海トラフ巨大地震もう1つの新想定 “半割れ” 甚大な被害に

南海なんかいトラフ巨大きょだい地震じしんの国くにの新あらたな被害ひがい想定そうていではマグニチュード9クラス以外いがいのケースも算出さんしゅつされました。想定そうてい震源しんげん域いきの東側ひがしがわや西側にしがわの片方かたほうで起おきるいわゆる「半はん割われ」です。過去かこには、時間じかん差さで相次あいついで起おきています。

想定そうていでは、東側ひがしがわだけで死者ししゃが7万まん人にん余あまり、西側にしがわだけで死者ししゃが10万まん人にん余あまりと甚大じんだいな被害ひがいが示しめされていますが、最初さいしょの地震じしんのあとに避難ひなんなどの対策たいさくが行おこなわれれば、時間じかん差さで巨大きょだい地震じしんが起おきた場合ばあい、被害ひがいを大幅おおはばに減へらせるという試算しさんも示しめされました。

地震じしんの正確せいかくな予測よそくが難むずかしい現状げんじょうの中なか、具体ぐたい的てきな対策たいさくに移うつせるかが課題かだいとなります。

“半はん割われ” 2地震じしんの死者ししゃは

南海なんかいトラフ巨大きょだい地震じしんにはさまざまな発生はっせいパターンがある中なか、この想定そうていでは和歌山わかやま県けんの潮岬しおのみさきの沖合おきあいを境さかいに東側ひがしがわと西側にしがわで震源しんげん域いきを分わけ、それぞれにとって最悪さいあくの被害ひがいを試算しさんしました。

その結果けっか、冬ふゆの深夜しんやで津波つなみからの避難ひなんが遅おくれた場合ばあいの死者ししゃは

▼東側ひがしがわが7万まん3000人にんで、主おもな内訳うちわけは

▽津波つなみによるものが2万まん9000人にん、

▽建物たてもの倒壊とうかいによるものが3万まん8000人にん、

▽地震じしん火災かさいによるものが4900人にんとなっています。

▼西側にしがわでは10万まん3000人にんで、主おもな内訳うちわけは

▽津波つなみによるものが6万まん6000人にん、

▽建物たてもの倒壊とうかいによるものが3万まん3000人にん、

▽地震じしん火災かさいによるものが4000人にんとなっています。

また、風かぜの強つよい冬ふゆの夕方ゆうがたに地震じしんが起おきた場合ばあい、全壊ぜんかい・焼失しょうしつする建物たてものは

▼東側ひがしがわだけで123万まん8000棟むね、

▼西側にしがわだけで96万まん8000棟むねとなりました。

地震じしんが相次あいつぐことによる影響えいきょうや重複じゅうふくは考慮こうりょされていませんが、単純たんじゅんに合計ごうけいすると

▼死者ししゃは17万まん6000人にん、

▼建物たてものの全壊ぜんかい・焼失しょうしつは220万まん6000棟むねとなり、

マグニチュード9クラスの「全ぜん割われ」と比くらべると少すくないものの、甚大じんだいな被害ひがいが見込みこまれています。

一方いっぽう、最初さいしょの巨大きょだい地震じしん＝“先発せんぱつ地震じしん”で大おおきな被害ひがいが出でて救出きゅうしゅつや復旧ふっきゅう活動かつどうをしている間まに、別べつの地域ちいきで次つぎの巨大きょだい地震じしん＝“後発こうはつ地震じしん”が起おきた場合ばあい、救助きゅうじょや医療いりょう支援しえんが行き届いきとどかず死者ししゃが増ふえるおそれもあるとして、対策たいさくの推進すいしんが必要ひつようだとしています。

“時間じかん差さ発生はっせい” 臨時りんじ情報じょうほうの効果こうかも試算しさん

「半はん割われ」で警戒けいかいすべき点てんは、巨大きょだい地震じしんが南海なんかいトラフの東側ひがしがわと西側にしがわで、時間じかん差さで発生はっせいすることです。

国くには、マグニチュード8以上いじょうの巨大きょだい地震じしんが起おきた場合ばあい、南海なんかいトラフ地震じしん臨時りんじ情報じょうほう「巨大きょだい地震じしん警戒けいかい」を発表はっぴょうし、後発こうはつ地震じしんに備そなえて、津波つなみからの避難ひなんが明あきらかに間に合まにあわない地域ちいきの住民じゅうみんには1週間しゅうかんの事前じぜん避難ひなんが呼よびかけられます。

今回こんかいの想定そうていではこうした対策たいさくの効果こうかを示しめすための試算しさんも行おこなわれました。

事前じぜん避難ひなんで被害ひがい大幅おおはば減げんの試算しさんも

東側ひがしがわで巨大きょだい地震じしんが起おきたあと、紀伊きい半島はんとうから九州きゅうしゅうにかけて30分ふん以内いないに浸水しんすいが30センチになると想定そうていされる地域ちいきから全員ぜんいんが事前じぜん避難ひなんをし、その間そのかんに巨大きょだい地震じしんが起おきた場合ばあい、津波つなみによる死者ししゃは700人にんまで減へらすことができるとされました。

また、西側にしがわで巨大きょだい地震じしんが起おきたあと、同様どうように東海とうかいから近畿きんきで事前じぜん避難ひなんが行おこなわれ、その間そのかんに巨大きょだい地震じしんが起おきた場合ばあいは10人にんまで減へらすことができるとされました。

過去かこには32時間じかん後ごや2年ねん後ごも

こうした結果けっかを踏ふまえ、国くにの作業さぎょう部会ぶかいは事前じぜん避難ひなんなどが適切てきせつにできるよう取り組とりくみを進すすめる必要ひつようがあるとしています。

しかし、過去かこには

▽江戸えど時代じだいの1854年ねんに「安政あんせい東海とうかい地震じしん」と「安政あんせい南海なんかい地震じしん」が32時間じかん後ごに起おきている一方いっぽう、

▽「昭和しょうわ東ひがし南海なんかい地震じしん」と「昭和しょうわ南海なんかい地震じしん」はそれぞれ1944年ねんと46年ねんと、2年ねんの時間じかん差さがあります。

現在げんざいの地震じしん学がくではいつ、どのような規模きぼで地震じしんが起おきるかを正確せいかくに予測よそくすることはできないことに注意ちゅういが必要ひつようです。

事前じぜん避難ひなんはしないものの、地震じしん発生はっせい後ご、すぐに避難ひなんする人ひとが多おおい場合ばあい、津波つなみによる死者ししゃは西側にしがわが後発こうはつ地震じしんの場合ばあいは1万まん3000人にん、東側ひがしがわが後発こうはつ地震じしんの場合ばあいは7900人にんと単独たんどくで起おきるケースよりは大幅おおはばに少すくなくなっています。

2度どの揺ゆれで建物たてものに被害ひがい拡大かくだいも

一方いっぽう、最初さいしょの地震じしんによる建物たてもの被害ひがいの復旧ふっきゅうが次つぎの地震じしんまでに間に合まにあわないと、被害ひがいが拡大かくだいするおそれがあります。

先発せんぱつ地震じしんの被害ひがいのあと建物たてものの補修ほしゅうなどが終おわらないうちに次つぎの地震じしんが起おきた場合ばあい、揺ゆれで全壊ぜんかいする建物たてものは東側ひがしがわと西側にしがわ、それぞれ単独たんどくで地震じしんが発生はっせいしたときよりもおよそ3万まん棟むね増ふえると試算しさんされました。

すべての建物たてもので耐震たいしん基準きじゅんを満みたすように復旧ふっきゅうなどができれば揺ゆれで全壊ぜんかいする建物たてものは8割わり前後ぜんご、減へると推計すいけいされました。

専門せんもん家か「1つの基準きじゅんとしてつきあうといい」

今回こんかいの「半はん割われ」の被害ひがい想定そうていをどう受け止うけとめ、どう活用かつようすべきか。

地域ちいき防災ぼうさいに詳くわしい九州きゅうしゅう大学だいがくの杉山すぎやま高志たかし准じゅん教授きょうじゅに話はなしを聞ききました。

Q。

「半はん割われ」の被害ひがい想定そうていが初はじめて公表こうひょうされたことについて、どう評価ひょうかしているか。

まずは現実げんじつの社会しゃかいにより即そくした防災ぼうさい対策たいさくを考かんがえる上うえで大事だいじな情報じょうほうになると思おもいます。

最大さいだいクラスのようなあまりにも高たかく、早はやい津波つなみ想定そうていだと、「もはやなすすべがないのではないか」と思おもう方々かたがたもいるかもしれません。

しかし、例たとえば南海なんかいトラフ地震じしん臨時りんじ情報じょうほう「巨大きょだい地震じしん警戒けいかい」で事前じぜん避難ひなんすることで命いのちを守まもることもできる、あるいは、別べつの手段しゅだんがありえるんだと思おもうことで、諦あきらめの感情かんじょうなどを乗り越のりこえる一助いちじょにもなると考かんがえています。

Q。

今回こんかいの想定そうていでは臨時りんじ情報じょうほうの「巨大きょだい地震じしん警戒けいかい」による減げん災わざわい効果こうかも試算しさんされましたが、どう受け止うけとめているか。

去年きょねん8月つきに「巨大きょだい地震じしん注意ちゅうい」が発表はっぴょうされたとき、効果こうかはいかがなものだったのか、という声こえが多数たすうありました。

半はん割われ想定そうていが示しめされたという点てんでは、臨時りんじ情報じょうほうにうまく対応たいおうしていく必要ひつよう性せいを社会しゃかいで十分じゅうぶん共有きょうゆうする、その根拠こんきょになるという点てんで、うまく使つかう手立てだてがあると思おもいます。

Q。

ただ、「半はん割われ」が起おきたあとにもう一方いっぽうの震源しんげん域いきがいつずれ動うごくかはわかりません。今回こんかいの想定そうていはどう活用かつようするのが望のぞましいか。

あくまで、被害ひがい想定そうていはいくつもの“IF（もしも）”が重かさなってできた数字すうじです。

少すこしでも条件じょうけんが違ちがえば、この数かずは大おおきく変かわってしまいます。

半はん割われが起おきたとしても、後発こうはつ地震じしんがいつ起おきるかわからないですし、そもそも今回こんかい示しめされた領域りょういきとは微妙びみょうに違ちがう領域りょういきが半はん割われになる可能かのう性せいもあります。

ゆえに、今回こんかいの想定そうていは1つの基準きじゅんとしてつきあうといいと思おもいます。

数字すうじの大小だいしょうに一喜一憂いっきいちゆうするのは本質ほんしつではなく、大おおきな傾向けいこうとして捉とらえ、社会しゃかいがどう対策たいさくしてくのかを考かんがえることが重要じゅうようだと言いえます。

《臨時りんじ情報じょうほう「巨大きょだい地震じしん注意ちゅうい」から教訓きょうくんも》

■徳島とくしま臨時りんじ情報じょうほう発表はっぴょう時じの対応たいおう計画けいかくを策定さくてい

「半はん割われ」に備そなえ、南海なんかいトラフ地震じしん臨時りんじ情報じょうほうが発表はっぴょうされた場合ばあいの対応たいおう計画けいかくを新あらたに定さだめた自治体じちたいもあります。

徳島とくしま市しは2024年ねん8月つき、初はじめて臨時りんじ情報じょうほうの「巨大きょだい地震じしん注意ちゅうい」が出だされた際さい、「阿波あわおどり」の期間きかんと重かさなり、大勢たいせいの観光かんこう客きゃくへの避難ひなんルートの周知しゅうちなど、手探てさぐりで対応たいおうにあたりました。

その経験けいけんを踏ふまえ、臨時りんじ情報じょうほうが出だされた場合ばあいにあらかじめ、とるべき対応たいおうをまとめた対応たいおう計画けいかくをつくり、4月つき1日にちに公表こうひょうしました。

なかでも重点じゅうてんを置おいたのは、「巨大きょだい地震じしん警戒けいかい」が発表はっぴょうされた場合ばあいの対応たいおうです。

この中なかでは、後発こうはつの巨大きょだい地震じしんに備そなえて

▽市立しりつの幼稚園ようちえんと小中こなか学校がっこう・高校こうこうは1週間しゅうかんの休校きゅうこう・休園きゅうえんとするほか

▽市しが主催しゅさいする行事ぎょうじは中止ちゅうしか延期えんきするとしています。

「阿波あわおどり」は、安全あんぜんを確保かくほできないとして実行じっこう委員いいん会かいに中止ちゅうしを要請ようせいすることをあらかじめ決きめました。

さらに後発こうはつ地震じしんによる津波つなみへの避難ひなんに不安ふあんを抱かかえる高齢こうれい者しゃや障害しょうがい者しゃなどが避難ひなんできるよう市内しないの全域ぜんいきに「自主じしゅ避難ひなん所しょ」23か所かしょを開設かいせつすることも定さだめています。

市しは、ことし2月つき、この対応たいおう計画けいかくの内容ないようを盛り込もりこみ、巨大きょだい地震じしん警戒けいかいが発表はっぴょうされたことを想定そうていして職員しょくいんの対応たいおうを確認かくにんする訓練くんれんも実施じっし。

あらかじめ方針ほうしんを明確めいかくにし、市民しみんにも共有きょうゆうしておくことで迅速じんそくな対応たいおうにつなげ、住民じゅうみんの安全あんぜん確保かくほにつなげたいと考かんがえています。

徳島とくしま市し井い水すい貴之たかゆき危機きき事象じしょう対策たいさく指導しどう監

「巨大きょだい地震じしん注意ちゅういの発表はっぴょうを経験けいけんしていざ、臨時りんじ情報じょうほうが出でた時ときに対応たいおうを考かんがえる暇ひまはないと強つよく感かんじ、あらかじめ対応たいおうを決きめておく必要ひつよう性せいを感かんじた。

住民じゅうみんに対にたいしとるべき行動こうどうをできるだけわかりやすく、周知しゅうちしていくことが大事だいじだ」

■高知こうち黒潮くろしお町まち「避難ひなん所しょの環境かんきょう向上こうじょうに」

去年きょねん8月つきに発表はっぴょうされた南海なんかいトラフ地震じしん臨時りんじ情報じょうほうの「巨大きょだい地震じしん注意ちゅうい」の避難ひなんの教訓きょうくんを踏ふまえて準備じゅんびを進すすめようという自治体じちたいもあります。

高知こうち県けん黒潮くろしお町まちは去年きょねん8月つきに南海なんかいトラフ地震じしん臨時りんじ情報じょうほう「巨大きょだい地震じしん注意ちゅうい」が発表はっぴょうされた際さい、国くにとして事前じぜん避難ひなんは求もとめていませんでしたが、高齢こうれい者しゃ等とう避難ひなんの情報じょうほうを出だして、避難ひなんを呼よびかけました。

町まちが開設かいせつした避難ひなん所しょに身みを寄よせる住民じゅうみんもいましたが、慣なれない環境かんきょうでの生活せいかつに疲つかれ、途中とちゅうで避難ひなんをやめる人ひとが相次あいつぎました。

黒潮くろしお町まち情報じょうほう防災ぼうさい課か村越むらこし淳あつし課長かちょう

「やはり初はじめて対応たいおうしたため私わたしたちも戸惑とまどいがあった。

避難ひなん所しょの環境かんきょうがまだまだ十分じゅうぶんではなく、環境かんきょうを整ととのえていかなければならないと考かんがえている」

もし東側ひがしがわで「半はん割われ」が起おきた場合ばあい、高知こうち県けん沿岸えんがんではまず先発せんぱつ地震じしんの津波つなみからの避難ひなんが行おこなわれたあと、「巨大きょだい地震じしん警戒けいかい」が発表はっぴょうされ、対象たいしょう地域ちいきは避難ひなんを続つづけることになることが想定そうていされます。