東京 渋谷区の東京体育館で行われている卓球、シングルスの全日本選手権は大会5日目の25日、準々決勝が行われました。
女子では、同い年の24歳で、小さいときから切磋琢磨し、「みうみま」の愛称で注目されてきた伊藤選手と平野選手が対戦しました。
伊藤選手は第1ゲームを8対11で落としましたが、第2ゲームと第3ゲームは持ち味の強烈なスマッシュを随所で決めて連取しました。
しかし、第4ゲームと第5ゲームはミスが続いて2ゲーム連続で落とし、あとがなくなった第6ゲームも、終盤までリードを許す展開で8対10と、平野選手にマッチポイントを握られました。
それでも強烈なスマッシュや巧みなサーブなど、得意の攻撃の形で4連続ポイントを奪って逆転し、12対10で取って、勝負は最終の第7ゲームにもつれました。
伊藤選手はこのゲームも流れを渡さず、11対6で奪ってゲームカウント4対3で競り勝ち、26日の準決勝に進みました。
平野選手はバックハンドで厳しいコースを突くなどして伊藤選手のミスを誘い、勝利まであと1ゲームとし、第6ゲームもマッチポイントを握りましたが、あと1ポイントが奪えず、ベスト8で敗退しました。
伊藤「思い切っていくしかないと思っていた」
準決勝進出を決めた伊藤美誠選手はマッチポイントを握られた場面について「最後は楽しく終わりたかったので、思い切っていくしかないと思っていた。それがはまって、自分に流れが来てくれた」と笑顔で振り返りました。
そして、準決勝に向けて「世界ランキングを争っているような強い選手に勝てたので、うれしい状態であすを迎えられる。完全なチャレンジャーとして臨みたい」と意気込みを話していました。
平野「最後の1点を取りきる力がなかった」
敗れた平野美宇選手は「最後の1点を取りきる力がなかった。自分の戦術が分かりやすく、待たれてしまった。トップ選手と戦うときは先を読んでいかないと勝ちきれないと思った。頭を使っているつもりだったが、まだまだ足りないところが多かった」と反省を口にしていました。
急成長の大藤沙月が初の準決勝進出
去年、国際大会で優勝するなど急成長を遂げている20歳の大藤沙月選手は、磨いてきた攻撃的なスタイルで準々決勝を4対1で勝利し、初めての準決勝進出を決めました。
福井県出身の大藤選手は、去年の全日本選手権での敗戦をきっかけに“守り”重視だったプレースタイルを、自分から“攻める”攻撃的な卓球に変えました。
その成果は着実に現れ、去年は国際大会で優勝するなど、世界の舞台で結果を残し、世界ランキングは100位台から5位の早田ひな選手、6位の張本美和選手に次ぐ、日本選手3番手の7位まで上がりました。
大藤選手は25日の準々決勝で実業団チームに所属する井絢乃選手と対戦し、2ゲームを先取すると第3ゲームはデュースにもつれましたが、ここでも“攻め”のスタイルを貫き、強烈なフォアハンドなどでポイントし、14対12で奪いました。
第4ゲームは落としましたが、第5ゲームもデュースの末に12対10で取って、ゲームカウント4対1で勝ち、初めての準決勝進出を決めました。
大藤選手は「自分を信じて攻める気持ちを忘れずに戦えたので、そこはすごく成長したと思う」と試合を振り返りました。
そして、26日の準決勝に向けて「攻めの卓球にしてからは自信を持ってプレーできているので、トップ選手にも勝っていけるという気持ちになれている。優勝を目指して一戦一戦自分のプレーができるように頑張りたい」と意気込みを話していました。
女子ではこのほか
▽3連覇を目指す早田選手が4対1
▽初優勝を目指す16歳の張本選手が4対2でそれぞれ勝って、準決勝に進みました。
早田ひな「1試合ずつ自分の感覚が戻ってきている」
準決勝進出を決めた早田ひな選手は、去年のパリオリンピックで左手首を痛めたことを踏まえ「こんなにコンスタントに試合をこなすのが復帰してから初めてなので、未知の世界に入っているが、1試合ずつ自分の感覚が戻ってきている。サーブやレシーブがコントロールできない時もあったが、きょうは最初からできた」と手応えを口にしました。
そのうえで準決勝に向けて「あすはきょうと違った感覚で試合をすると思う。あすの自分に任せて、思う存分、ケアをして臨みたい」と意気込みを話しました。
女子は世界ランキングの上位4人がベスト4に勝ち進み、26日の準決勝は
▽早田選手と大藤選手
▽伊藤選手と張本選手が対戦し
勝った選手が午後、決勝で対戦します。
また、男子では2連覇を目指す張本智和選手が、4対0のストレートで勝って準決勝進出を決めました。
NHKは26日の準決勝と決勝を中継でお伝えします。
張本智和「2連覇の可能性は高いと思う」
危なげない戦いで準決勝に進んだ張本智和選手は「去年もことしも準々決勝は自分の実力の70%から80%くらいで戦ったが、去年よりも力がついているのは確かだ。練習から調子をキープできているので、2連覇の可能性は高いと思う」と自信を示しました。
また、妹の美和選手がジュニア女子で3連覇し、女子シングルスでも準決勝進出を決めたことについて「負けられない戦いに勝つという力を身につけているところは成長だと思うし、彼女の強みだと思う。あすは自分より強い選手に向かって行く立場だと思うので、準優勝だった去年のリベンジを果たしてほしい」とエールを送りました。
そのうえで「『きょうだい優勝』というのはおのおのがタイトルを取った先にある。自分も妹もプレーに集中するのは変わらない」と気を引き締めていました。