兵庫県川西市の無職、木村隆二被告(25)は、おととし4月、和歌山市の雑賀崎漁港で衆議院の補欠選挙の応援に訪れていた岸田前総理大臣の近くに手製の爆発物を投げ込んで爆発させ、警察官と聴衆の2人にけがをさせたなどとして、殺人未遂や爆発物取締罰則違反など5つの罪に問われています。
4日、和歌山地方裁判所で開かれた初公判で、木村被告は岸田前総理大臣などに対する殺人未遂ついて「殺意はありません」と述べ、争う姿勢を示しました。
被告の弁護士は「傷害罪にとどまる」と主張しました。
また、木村被告は火薬を製造したことは認めましたが、爆発物の製造については、「人の身体を害する目的はなかった」と否認しました。
検察は冒頭陳述で、「製造した爆発物で、人の身体を害する目的があることを立証する。人が死ぬ可能性があると認識していて、殺意はあった」と主張しました。
一方、被告の弁護士は、「当日、岸田前総理大臣が来ることを知らなかった。世間の注目を集める目的でその前日に爆発物を作った」などと述べました。
今後の裁判では逮捕後から取り調べで黙秘を続けてきた被告が、事件のいきさつについて法廷で何を語るのかや、動機が明らかになるのかが注目されます。
判決は今月19日に言い渡される予定です。
木村被告「間違っているところもあります」
木村被告は黒い上着を着て、しっかりした足取りで証言台の前に座り、検察官の起訴状の読み上げを落ち着いた様子で聞いていました。
裁判長から起訴された内容について問われると、10秒間ほど沈黙したあと、まっすぐ前を向き、「間違っているところもあります」と答えました。
このあと、起訴された5つの罪について、一つ一つ裁判長から問われ、はっきりとした口調で答えていました。
傍聴の倍率は約2.1倍
和歌山地方裁判所は、午前9時半から傍聴券の抽せんの受け付けを行い、裁判所の前には傍聴を希望する人が列を作りました。
裁判所によりますと、47席の傍聴席に対して希望したのは101人で、倍率はおよそ2.1倍だったということです。
和歌山市の70代の男性は「事件当時の現職の総理大臣への殺人未遂事件ということで興味があり、傍聴に来ました。黙秘をしていた被告の動機に一番関心があります」と話していました。
また、和歌山市の60代の男性は「被告が事件の動機をどう話すのか関心があり傍聴に来ました。驚かせるつもりだったのか、殺意があったのか、知りたいです」と話していました。