日本新闻: 子どもの性被害を防ぐ教材国が初めて作成【詳しく】

性せい被害ひがいを防ふせぐための教育きょういくを幼おさないころから始はじめようと、国くには幼児ようじから大学生だいがくせいまで発達はったつ段階だんかいに応おうじた教材きょうざいを初はじめて作成さくせいし、指導しどうの手引てびきと合あわせて、16日にち公表こうひょうしました。

新あらたな教材きょうざいは、子こどもの性せい被害ひがいが増加ぞうかする中なか、文部もんぶ科学かがく省しょうと内閣ないかく府ふが専門せんもん家かとともに、性せい被害ひがいを防ふせぐ教育きょういくや啓発けいはつのため、幼児ようじ期きから大学生だいがくせいまで発達はったつ段階だんかいに応おうじて6種類しゅるい作成さくせいしました。

性せい暴力ぼうりょくの被害ひがい者しゃや加害かがい者しゃ、傍観ぼうかん者しゃにならないための内容ないようが記しるされ、幼児ようじ期きや小しょう学校がっこうの低てい学年がくねん・中学年ちゅうがくねん向むけには、水着みずぎで隠かくれる部分ぶぶんは自分じぶんだけの大切たいせつなところで、見みせたり触さわらせたりしてはいけないことなどをイラストで説明せつめいしています。

また、中学生ちゅうがくせいや高校生こうこうせい向むけには性せい暴力ぼうりょくの例れいとして、SNSで裸はだかの写真しゃしんを送おくらせることや、意思いしに反はんした性行為せいこういなど交際こうさい相手あいてからの暴力ぼうりょく、いわゆる「デートDV」を説明せつめいしたうえで、「被害ひがい者しゃは決けっして悪わるくない」として、大人おとなや専門せんもん機関きかんに相談そうだんするよう呼よびかけています。

また、大学生だいがくせいなどには、アルコールやレイプドラッグを使用しようした性せい暴力ぼうりょくについて説明せつめいしています。

教員きょういん向むけの指導しどうの手引てびきも作成さくせいされ、教おしえる際さいには被害ひがいにあった子こどもがいることを想定そうていし表現ひょうげんに気きをつけることや、被害ひがいの相談そうだんを受うけた際さいの具体ぐたい的てきな対応たいおう方法ほうほうなどが記しるされています。

文部もんぶ科学かがく省しょうは「教材きょうざいはすべてホームページからダウンロードできるので、保育ほいく所しょや教育きょういく機関きかんで積極せっきょく的てきに活用かつようしてほしい」としています。

【詳くわしく】教材きょうざいの内容ないようは

今回こんかい、公表こうひょうされた教材きょうざいは子こどもの発達はったつ段階だんかいに応おうじて幼児ようじ期き、小学校しょうがっこうの低てい学年がくねん・中学ちゅうがく年ねん、小学校しょうがっこうの高学年こうがくねん、中学校ちゅうがっこう、高校こうこうそれに大学だいがくや一般いっぱんなどの6つに分わけられています。

幼児ようじ期き・小学校しょうがっこう低てい学年がくねん・中学ちゅうがく年ねん

自分じぶんの体からだもほかの人ひとの体からだも大切たいせつだとしたうえで、水着みずぎで隠かくれる体からだの部分ぶぶんは自分じぶんだけの大切たいせつなところで、ほかの人ひとが勝手かってに見みたり触さわったりしてはいけないことや、口くちや顔かおも大切たいせつだということ、触さわられて嫌いやだと思おもったら、「いやだ」と言いって逃にげ、安心あんしんできる大人おとなに話はなすように伝つたえています。

小学校しょうがっこう高だか学年がくねん

ほかの人ひととの体からだや心こころの距離きょり感かんについて触ふれ、自分じぶんの体からだや気持きもちは自分じぶんのものなので、ほかの人ひととの距離きょりやどんな考え方かんがえかたをするかは自分じぶんで決きめていいと示しめしています。

また、SNSを通をつうじて知り合しりあった人ひとは本当ほんとうに信頼しんらいできる人ひとか問といかけたうえで、同おなじ年としだと思い込おもいこみ、実際じっさいに会あってみたら全まったく違ちがい、車くるまに連れ込つれこまれそうになった例れいをイラストで伝つたえ、注意ちゅういを呼よびかけています。

中学校ちゅうがっこう・高校こうこう

体からだを触さわることだけが性せい暴力ぼうりょくではないとしたうえで、SNSで下着したぎ姿すがたや裸はだかの写真しゃしんを送おくらせることや、意思いしに反はんした性行為せいこういなどの交際こうさい相手あいてからの暴力ぼうりょく、いわゆる「デートDV」も挙あげています。

加くわえて、性別せいべつに関かかわらず被害ひがいにあうことも伝つたえています。

そして、性せい暴力ぼうりょくでは被害ひがい者しゃが自分じぶんにも落ち度おちどがあったのではないかと思おもい、誰だれにも相談そうだんできないことがあることから、被害ひがいにあってしまった場合ばあいも「あなたは決けっして悪わるくありません」と伝つたえ、ひとりで抱え込かかえこまないよう呼よびかけています。

大学だいがく

アルコールやレイプドラッグを使つかった性せい暴力ぼうりょくがあると注意ちゅうい喚起かんきしたうえで、実際じっさいの被害ひがいのデータや身近みぢかで起おきている例れいを示しめし、大学だいがくのサークルの飲のみ会かいの場ばや指導しどう教官きょうかんからの被害ひがい、就職しゅうしょくを希望きぼうする企業きぎょうの社員しゃいんからの被害ひがいのほか、男性だんせいどうしで飲酒いんしゅしていた際さいの被害ひがいなどを挙あげて、性せい暴力ぼうりょくを受うけた際さいの相談そうだん窓口まどぐちを紹介しょうかいしています。

すべての教材きょうざいは、指導しどうの手引てびきと合あわせて文部もんぶ科学かがく省しょうのホームページからダウンロードすることができます。

専門せんもん家か「今いままで欠落けつらくしていた部分ぶぶんで大変たいへん大おおきな１いち歩ほ」

性せい暴力ぼうりょく対策たいさくに詳くわしく、幼児ようじ向むけに性せい教育きょういくのための絵本えほんも出版しゅっぱんしている慶應義塾けいおうぎじゅく大学だいがくの小笠原おがさわら和美かずみ教授きょうじゅは、今回こんかいの新あたらしい教材きょうざいについて「日本にっぽんの性せい教育きょういくは海外かいがいと比くらべてもかなり抑制よくせい的てきで、文部もんぶ科学かがく省しょうの学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうでも性せい暴力ぼうりょくや性せい犯罪はんざいの予防よぼうに関にかんする項目こうもくはなかった。今いままで欠落けつらくしていた部分ぶぶんであり大変たいへん大おおきな１いち歩ほだ」と評価ひょうかしました。

そのうえで、特とくに幼児ようじから教おしえる必要ひつよう性せいとして「幼児ようじは、自分じぶんが何なにをされているのかわからないために被害ひがいに気きづけない。加害かがい者しゃはだいたい年上としうえなので、言いわれたことを当たり前あたりまえと思おもってしまったり、秘密ひみつにするように言いわれたりして、被害ひがいが長期ちょうき化かしてしまう。まずは自分じぶんの体からだの守まもるべき大事だいじなところを教おしえ、勝手かってに見みたり触さわったりしようとする人ひとがいれば、嫌いやだと抵抗ていこうしていいんだと教おしえる。保護ほご者しゃから伝つたえるのがよいが、すべての家庭かていでできるわけではないので、すべての子こどもが通かよう小学校しょうがっこうのなるべく早はやい時期じきにこうした教育きょういくが重要じゅうようだ」と話はなしています。

そのうえで「教材きょうざいを示しめすだけではなく広ひろがるようフォローが必要ひつようで、研修けんしゅうを行おこなったり先進せんしん的てきな取り組とりくみを共有きょうゆうしたりして、先生せんせいたち自身じしんも学まなんでいくことで効果こうか的てきな授業じゅぎょうが行おこなうことができる」として、教員きょういんへの支援しえんも必要ひつようになると指摘してきしています。

萩生田はぎうだ文部もんぶ科学かがく相しょう「性せい暴力ぼうりょくの防止ぼうしにつなげていきたい」

萩生田はぎうだ文部もんぶ科学かがく大臣だいじんは、閣議かくぎのあとの記者きしゃ会見かいけんで「性せい暴力ぼうりょく、性せい犯罪はんざいは、被害ひがい者しゃの尊厳そんげんを著いちじるしく踏ふみにじる行為こういで、心身しんしんに長期ちょうきにわたり重大じゅうだいな悪影響あくえいきょうを及およぼすものだ。性せい暴力ぼうりょくの根絶こんぜつに向むけ、性せい暴力ぼうりょくの加害かがい者しゃにも被害ひがい者しゃにも、傍観ぼうかん者しゃにもならないための教育きょういくや啓発けいはつに関にかんする取り組とりくみを強化きょうかしていく必要ひつようがある。全国ぜんこくの学校がっこうや大学だいがく等とうでこれらを活用かつよういただき、性せい暴力ぼうりょくの防止ぼうしにつなげていきたい」と述のべました。