【着目点1】
「(ロシアによるウクライナ侵攻後の)北京パラリンピックの前に発表されたIOCの勧告は、基本的にIOCの理事会のみで決定したものだったが、今回はIOCの関係者、アスリート代表のグローバル・ネットワーク、国際競技大会、国内オリンピック委員会の代表者という、多くの人たちとの意見交換を踏まえたものである」
【着目点2】
「IOCは、去年2月からロシアとベラルーシの国旗の掲揚や国歌の斉唱などはしないと言っていたが、さらに厳しい条件をつけながら、ロシアとベラルーシの選手の参加の道を開いていきたいという意思がうかがえる」
【着目点3】
「選手の参加の可否を国が決定してはならないということが強調されていて、スポーツ界の政治的中立をなんとかつくっていきたいという意思表明が見られる。この3つが非常に特徴的で、これまでと少し違うところだと読み取っている」
來田教授 「ウクライナ情勢を見ても、なかなか感情的に『みんなでやりましょうよ』とならない中で、発表されただけに、批判を受けざるをえないだろうとは思う。感情の問題と、国際政治の影響を受けないようにするということが、ものすごく複雑に絡み合ってしまっている事態で、だからこそ、原理・原則みたいなものをつくっていかないといけない」
休戦決議は、旧ユーゴスラビア内戦の激化を受けて、1993年、翌年のリレハンメルオリンピックに向けて国連総会で採択されて以来、オリンピックの前年に採択されています。 2008年の北京オリンピックでは、開会式当日にロシアが旧ソビエトのグルジア、現在のジョージアへの武力介入に踏み切りました。
そして、去年。北京オリンピックのあと、パラリンピックまでの間に、ウクライナへの軍事侵攻を始めました。
繰り返される休戦決議違反。 來田教授は、国際政治の問題から選手たちを守るためのルールづくりが必要だと指摘しています。
「戦争は国がやってしまうことで、選手個人がやるわけではないが、休戦決議の違反があった場合に何かしらの制裁を科すかどうかの議論は全く行われていない。こんな事態になる前にやっておいたほうがよかった」 「決議違反が続けば続くほど実効性は薄らぐので、これに対する何かしらのルール・原則は設けざるをえない事態になってきている」 「(軍事侵攻は)ロシアという国がやっていることなので、ロシアの選手そのものに責任があると直接的に言うことは難しいと思う。選手が責任を負わされないようにしなければならない」
來田教授 「おそらく競技団体によって参加を認めるところとそうではないところで、多少、温度差が出てくる可能性はあると思う。それと同時に、ロシアとベラルーシの選手が出場することを受け入れられない選手、あるいは国内オリンピック委員会によるボイコットの表明も出てくる可能性はあると思う。だからできるだけ早い段階で、今の戦争が一刻も早く終わって、パリ大会がもう一度、平和をつくり直そうという形で開けることを願うしかない。一刻も早くそうなってほしい」
ウクライナの反発について
ロシア 繰り返す“オリンピック休戦決議”違反
来年のパリ大会は