
この女子大学生は共通テストの当日までやり取りをしていましたが、直前に相手と連絡が取れなくなり、試験問題に解答することはなかったということです。
警視庁は、外部に流出した画像などからカメラが付いた端末で試験問題が会場で撮影され外部に送られたとみて偽計業務妨害の疑いで捜査を始め、関係する人物の特定などを進めています。
共通テスト対策の授業をしてほしいという内容でしたが、それに先立って今月15日か16日の午前中から午後4時までの時間帯に体験授業をしてほしいと依頼してきたということです。 依頼があったのは現代文、古文、漢文、世界史、英語、化学、それに数学で、メッセージでは「各1時間ずつお願いしたいのですが、時間が長くかかるとおもうので、できれば15日、16日に分けて行いたいです」と書かれていました。 さらに「実は前にお世話になった先生があまり良くなくて先に先生にテストという形で問題を解いていただいて大丈夫そうでしたら次回から指導をお願いしたいと考えています」とも書かれていたということです。 依頼を受けた大学生は、世界史を除く科目について体験授業を行うことを了承しました。 すると、この人物からは「でしたら、古文漢文と英語を15日、数学と化学を16日にお願いしたいです」「テストと言ったんですけど、1時間以内に収まるようでしたらネットなどで調べてもらったり電卓をつかっていただいて大丈夫です!できれば可能な限り完璧に近づけてもらえると嬉しいです!」と返信があったということです。 この時、大学生は依頼の内容が共通テストの実際の日程や科目と重なっていることに気づきましたが、当時はカンニングについては想像もしていなかったといいます。 その後は、サイトではなく別のアプリで直接やりとりするようになったという2人。当日の今月15日もメッセージでやり取りし、午後1時には古文と漢文の問題が送られてくることになっていました。 しかし、午後1時前になって相手から突然「国語はキャンセルし、英語のみお願いしたい」という内容の連絡があり、その後、音信不通になったということです。 対応がおかしいと感じた大学生は相手のアカウントをブロックしたうえで、サイトの運営会社に通報しました。 その翌日の16日、運営会社からは「通報を受けた生徒は極めて悪質な行為であると判断したため、強制退会とさせていただきました」と報告を受けたということです。 そして26日、ニュースを見てやり取りしていたのが同じ人物ではないかと気づいたということで、大学生は「当時は予備校の模擬テストか何かだと思っていて、まさか実際の会場で試験問題を撮影できるとは考えてもみませんでした。音信不通にならなければ自分もカンニングに加担してしまっていたかもしれないと思うと怖いです。今回のようなことが発覚して驚くとともに、まじめに勉強している受験生のことを思うとやりきれません」と話していました。
大学入試センターは「現在、警察に相談しながら事実確認を進めている。今週末には共通テストの追試験と再試験が行われるが、これまでどおり不正行為が起きないよう厳正に試験を実施したい」とコメントしています。
不正行為としては、カンニングや、試験終了前の問題冊子の持ち出しに加え、携帯電話やスマートフォン、それに身につけられる「ウエアラブル端末」といった電子機器の使用などを挙げ、事前に配る「受験上の注意」の冊子や、当日の会場でも重ねて周知しています。 携帯電話やウエアラブル端末などは、かばんにしまわず身につけたり、手に持っていたりするだけでも不正行為となることがあるとしていて、ことしの共通テストでも解答を検索しようとスマートフォンを太ももの間に挟んでいた受験生が不正行為で無効となっています。
サイトを運営する都内の会社によりますと、大学入学共通テストの初日にあたる今月15日に、登録している複数の大学生から「共通テストのカンニングに関わったかもしれない」という連絡があったということです。 運営会社が確認したところ、大学生がやり取りしていたのは、いずれも去年12月に女子高校生としてサイトに登録された人物のアカウントでした。 この人物からサイトを通じて「1月15日に体験レッスンを受けたい。家庭教師と無料通話サービスでやり取りしたい」という内容の依頼があり、これを見た学生が個別に連絡を取ったということです。 そして今月15日になってこの人物からそれぞれ問題を受け取ったということで、学生は「依頼に応じ、解答を送ってしまった」と話しているということです。 サイトの運営会社は「サイトは家庭教師と生徒をつなぐサービスであり、仲介したあとの具体的なやり取りについては把握していない。カンニング行為が事実だとすれば誠に遺憾だ」と話していました。
この男子学生はスケジュールが合わず、実際に解答をすることはなかったということで「もし解答していたら、カンニング行為、不正行為に加担していたことになり恐ろしいです。自分の実力ではなく他人を利用するのはひきょうだし、まじめにやっている人がかわいそうだと思います」と話していました。
このうち工学部の男子学生は「『体験授業をしてほしい』といった依頼はよく来ますが、『問題を解いてほしい』というケースは周りでも聞いたことがなく、不審に思わなかったのだろうかと感じました。ただ、家庭教師は収入がいいので、依頼に飛びついてしまう気持ちも分かります」と話していました。 また薬学部の男子学生は「今回は『試しに解いてほしい』などと家庭教師としての実力を試すような依頼のしかただったと聞いていますが、そう言われると家庭教師の側としては解答せざるをえないと思います。カンニングかどうかはこちらでは見破れないので、サイトの運営会社などで対策をとってほしいです」と話していました。
このうち受験生の19歳の男性は「不正によって1人の受験生だけが得をするのはよくないと思うので、しっかり取り締まってほしいです。実力がある人が合格できるようにしてほしい」と話していました。 また別の受験生の男子高校生は「ずるいと思いました。『この大学に行かなきゃいけない』という考えがあったのかもしれませんが、公平性を考えると不正は絶対にだめだと思います」と話していました。
2011年2月には京都大学、早稲田大学、同志社大学、それに立教大学の入学試験の問題の一部が試験中にインターネットの質問サイトに投稿され、解答を依頼する書き込みに対して返事が寄せられていたことが明らかになりました。 警察は翌月、このうち京都大学の入学試験について、問題の一部を投稿し入試に関わる大学の業務を妨害したとして、仙台市の当時19歳の男子予備校生を偽計業務妨害の疑いで逮捕しました。 調べに対し「試験会場の自分の席から携帯電話で問題を投稿した。合格したかった」などと話していたということです。 予備校生はその後、家庭裁判所に送られましたが、裁判所は「深く反省している」などとして処分しないことを決めました。 また、2013年1月には長崎市にある大学の会場で行われた大学入試センター試験で、受験生が試験中に「地理歴史」と「公民」の問題冊子を持ち出し、予備校の関係者に渡していたことが明らかになりました。 当時、受験生は「問題を持ち出すことが不正だとは思っていなかった」、予備校の関係者は「問題の分析をしたかった」と話していたということですが、受験生はその後、受験資格を取り消されています。
“高2の女子生徒”名乗る人物とのやり取り 詳細は
大学入試センター「警察に相談しながら事実確認」
共通テスト 不正行為への対応は
問題受け取りは「家庭教師紹介サイト」登録の大学生
依頼された学生「もし解答なら不正に加担 恐ろしい」
紹介サイト登録の大学生からは対策求める声
受験生“不正 取り締まってほしい”
試験中の問題外部流出 過去にも