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近年、絵本の読み聞かせが子どものコミュニケーション能力や情緒の安定に資するだけでなく、言語能力にとどまらず、問題解決能力や運動能力など多岐にわたる発達領域に対しても肯定的な影響を及ぼすことが、科学的に明らかになりつつある。
東北大学大学院医学系研究科小児病態学分野の中村春彦医師らの研究グループは、幼児期における読み聞かせの頻度と発達との関連性を検証した。
その結果、特に3歳時点で読み聞かせの頻度が高い児童は、五つの基本的発達領域全般において発達が良好であることが確認されたのである。
ここでいう五つの発達領域とは、コミュニケーション能力、粗大運動(跳躍や走行などの大きな動き)、微細運動(手指を用いた繊細な動作)、問題解決能力(玩具の使い方を考えるなど)、および個人-社会性(対人関係や生活習慣)を指す。
本研究では、環境省が実施する「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に参加した約10万人のうち、必要な情報が揃っていた3万6866組の親子データを解析対象とした。
その分析によれば、1歳時点で発達の遅れが見られた児童であっても、読み聞かせの頻度が高い場合、3歳時点で発達の改善が認められたという。
さらに、読み聞かせの頻度を「週5回以上」「週1~4回」「ほとんどない」の三群に分類して比較したところ、コミュニケーション能力においては「ほとんどない」群と「週1~4回」群の間に統計的に有意な差が認められ、また「週1~4回」群と「週5回以上」群の間にも有意な差が存在した。
加えて、粗大運動・微細運動・問題解決能力についても、「ほとんどない」群と「週5回以上」群の間で有意な差が観察された。
一方、個人-社会性に関しては明確な有意差は見られなかったものの、読み聞かせを実施する群と「ほとんどない」群の間には一定の差が認められた。
また、読み聞かせを積極的に行う家庭では、親子ともにスクリーンタイムが短い傾向が見受けられた。
これは、読み聞かせを通じて親子が触れ合う時間が増加するため、テレビやスマートフォンを見る時間が相対的に減少するということに他ならない。
なお、本研究は既存データの解析により読み聞かせの頻度と子どもの発達との相関関係を示したものであり、因果関係を直接証明したわけではない。
また、どのような本が最も効果的であるかなど、詳細な調査は行われていない。
しかしながら、絵本の読み聞かせを通じて親子で楽しい時間を共有することが、子どもの発達に良い影響を及ぼす可能性が示唆されている点は見逃せない。
このような結果を踏まえると、子どもが「読んでほしい」とせがむ時期には、できる限り多く読み聞かせを行い、親子の貴重な時間を大切にすることが望ましいと言えるだろう。
幼児期のこうした経験は、将来にわたり子どもの発達に寄与するものと考えられる。