欧州を代表する航空機メーカーであるエアバス社は、太陽フレアをはじめとする強力な太陽嵐が発生した場合、A319、A320、A321を含むA320シリーズの一部機体において、操縦士が機体を制御できなくなる可能性があることを公式に認めた。その結果、世界中で運航されている単通路型旅客機として最も普及している同シリーズ約6000機が、早急な修理・改修を必要とする事態となっている。
エアバスによれば、A320シリーズで最近発生した事象の詳細な分析の結果、太陽からの強力な放射線が操縦系統に不可欠なデータを損傷し、システムの機能障害を引き起こすリスクが明らかになったという。実際、10月30日には米ジェットブルー航空1230便(A320型機)が、メキシコのカンクンから米国ニュージャージー州ニューアークに向けて飛行中、突如として高度を急降下させる事態が発生し、操縦士はフロリダ州タンパへの緊急着陸を余儀なくされた。この事故により、約15名が病院に搬送されている。
エアバスはこの異常事象を受けて調査を進め、11月28日付で世界各地の航空会社に対し、該当機体の修理が必要である旨を通達した。同社によれば、今回の問題はA320シリーズにおいて初めて確認されたものとされる。
A320シリーズは「フライ・バイ・ワイヤー」と呼ばれる高度な電子制御操縦システムを採用しており、操縦士の入力がコンピューターを介して翼面に伝達される仕組みになっている。しかしながら、このシステムが太陽嵐の影響を受けることが判明した以上、航空安全上の観点からも迅速な対応が求められている。
欧州連合(EU)の規定により、航空会社は修理を完了しない限り、該当機体を再び旅客運航に投入することができない。修理作業自体は大半の機体で2時間程度で完了する見通しだが、アメリカン航空は約340機にソフトウェアの改修が必要であり、28日から29日にかけて作業を集中的に実施し、欠航を最小限に抑えるべく尽力していると発表した。全機体の改修は30日までに完了する予定である。
また、デルタ航空ではA321neo型機のうち影響を受けるのは50機未満であり、29日午前までに作業を終える計画であるという。ユナイテッド航空も保有する6機が対象となっており、「数便に軽微な混乱が生じる」としている。
一方、主にA320およびA321を運航するジェットブルー航空は、修理対象機数を明らかにしていないものの、すでに改修作業を開始しているとCNNへの声明で述べている。
今回の事態は、太陽活動の変動が最先端の航空技術に対しても予期せぬ影響を及ぼし得ることを示しており、航空業界全体にとっても大きな教訓となる可能性が高い。