JLPT N2 – Reading Exercise 93
昔は「倹約」という言葉は美徳とされていた。無駄遣いをせず、必要なものだけを買い、物を大切に使うことが当たり前だった。しかし、最近では「倹約家はケチだ」と見なされることもある。たとえば、友人と食事に行っても水しか頼まない、セール品ばかり選ぶ、という行動が「付き合いが悪い」「ケチだ」と言われてしまうのだ。
このような評価の変化も、時代の流れによるものだろう。今は物があふれ、必要以上に我慢する必要がなくなった。むしろ、周囲と楽しく過ごすことや、気持ちよくお金を使うことが「大人のマナー」とされる場面も増えている。だからといって、昔の「倹約」の価値が完全に消えたわけではない。ただ、社会が変われば、言葉の持つニュアンスや評価も変わるのだ。
言葉や価値観は時代とともに移り変わる。今の常識が、未来には非常識になるかもしれない。私たちは、その時代の背景や社会の空気を理解しながら、言葉を使い分ける必要がある。そうしなければ、思わぬ誤解を招くこともあるだろう。
(注1)倹約(けんやく):無駄をせず、お金や物を大切に使うこと
(注2)ケチ:必要以上にお金や物を使わない人を否定的に言う言葉
(注3)美徳(びとく):よい行い、ほめられるべき性質