長崎県の諫
早湾干拓事業で
堤防の
排水門を
開門するかどうかをめぐって
行われている、
地元の
漁業者や
国などの
和解協議で、
国は
和解に
向けて、
開門はしない
代わりに
漁場の
環境を
改善するための
総額100億円の
基金を
新たに
設ける
考えを
明らかにしました。諫
早湾の
干拓地を
造成している
堤防をめぐっては、
漁場の
環境を
改善するとして
排水門の
開門を
求める
漁業者たちと、
営農の
妨げになるとして
反対する
干拓地の
農業者たち、それに
国の
3者が
裁判で
争っていて
現在、
長崎地方裁判所で
和解協議を
行っています。
この和解協議を進めるため、国は開門はしない代わりに有明海の漁場の環境改善に活用できる基金を新たに設ける方針を示し、調整してきましたが、30日、基金の具体案を裁判所などに伝えました。
それによりますと、基金は総額で100億円とし、アサリやタイラギなどの貝の養殖施設の整備や貝を保護するため有害な生物の駆除、水産物のブランド化に向けた商品開発、それに海底にうねを作って潮の流れを変えるなどの大規模な事業の調査に幅広く充てることができるとしています。
ただ、漁業者側には開門を求める意見が根強く、今回、国が示した基金によって協議が進展するかどうかは不透明です。
農林水産省は「基金は、現在考えられる最大限の規模で、今後、丁寧に説明して関係者から理解を得たい」としています。
佐賀県知事 「開門調査は必要」
諫早湾の干拓事業をめぐり、地元の漁業者の多くが堤防の排水門を開けるよう求めている佐賀県の山口知事は「金額の問題ではないし、アメとムチを使い分ける形で漁業者を追い込んではいけないと思う」と述べました。
そのうえで、山口知事は、6年前に福岡高等裁判所が環境への影響を調べるため排水門を開門するよう国に命じた判決が確定していることを踏まえ、「今回、国が開門しないことを前提に基金案を示していることには違和感がある。開門調査は必要だ」と述べました。
開門を求めている熊本県漁業協同組合連合会の上田浩次代表理事会長は「関係する漁協と協議しながら対応していきたい」とするコメントを発表しました。
長崎県「基金案で有明海の真の再生期待」
長崎県は「基金案には、長崎県が要望している項目がおおむね盛り込まれたと考えている。県としては、開門しないことを前提とした基金案によって、有明海の真の再生が図られることを期待しており、国には和解が合意に至るよう努力していただきたい」とコメントしています。