新型コロナウイルスの
影響で
映画界がさまざまな
制約を
受けているなか、
是枝裕和監督が
自身が
携わっている
東京国際映画祭について
取材に
応じ、「
何が
本質なのか
考えるいい
きっかけに
なる」
などとコロナ
禍の
映画祭に対する思いを
語りました。
先月31
日に
開幕した
アジア最大規模の
映画祭「
東京国際映画祭」は、ことしは
新型コロナウイルスの
影響で
規模が
大幅に
縮小され、オープニング
セレモニーで
恒例のレッド
カーペットを
取りやめた
ほか、
最優秀賞などを
決める『コンペティション
部門』を
開催せず、9
日の
最終日には「
観客賞」だけを
発表します。
大きく様変わりした映画祭について、NHKの取材に応じた是枝裕和監督は「コンペに意味がないというわけではないが、映画祭が本来持っている豊かさはもう少し違うところにある。ことしはコンペがないわけだから、もう一度ゼロベースで考えて、何が失われて、逆に何が映画祭の本質かを考えるいいきっかけになると思う」と述べました。
そして、映画祭が目指すべき姿について「よい映画祭では、作り手も育つ、映画を批評する書き手も育つ。いろんなものを育て、発見し、発掘していく。歴史的に視野が広い感じがする」としたうえで、「経済的な効果や国の利益につながらないと意味がないと言われる傾向があるが、映画祭はそういうものではない。国を超えて映画という豊かな文化のために何ができるかを考える特別な場所であることを、まずは共有しないと」と指摘しました。
一方、今回の映画祭では、日本とアジアの映画監督や俳優が8日間にわたってオンラインで対談する「アジア交流ラウンジ」という新たなイベントが是枝監督の発案で実現し、俳優の橋本愛さんなどが交代で参加して互いの作品について感じたことや映画の未来などについて意見を交わしています。
これについて是枝監督は「立食ですしでもつまみながら、そこでの出会いが新しい映画づくりにつながるような場所を作るつもりだった。今回はオンラインだったので、来年以降、どう継続して発展していけるかを考えることが大事だ」と話していました。
是枝監督は、ことし予定していた撮影がすべてなくなってしまったということで「撮影の現場では、労務時間や食事の管理を含めてお金がかかることを無理やり圧縮していたことに思い至った。製作を再開したときに、たぶん今までどおりにはいかないことを理解しなくてはいけない。コロナ禍でよかったとは言わないが、コロナを経て改善点が見つかった」と今後の映画づくりについて前向きに語っていました。