真珠湾しんじゅわん攻撃こうげき78年ねん 知しられざる強制きょうせい収容しゅうよう所しょ ハワイ

ホノウリウリ収容しゅうよう所しょとは

太平洋たいへいよう戦争せんそう中ちゅう、オアフ島とうのホノウリウリという場所ばしょにあった強制きょうせい収容しゅうよう所しょです。ハワイにいた大勢たいせいの日系にっけいアメリカ人じんは、真珠湾しんじゅわん攻撃こうげきを境さかいに「敵性てきせい外国がいこく人じん」とみなされ、このうち、日系にっけい人じん社会しゃかいで指導しどう的てき立場たちばにあった人ひとなど、およそ400人にんがここに収容しゅうようされました。

収容しゅうようされた人ひとたちは、戦後せんご、釈放しゃくほうされたあとも、社会しゃかいからの差別さべつを恐おそれるなどして多おおくを語かたらず、収容しゅうよう所しょの存在そんざいは人々ひとびとの記憶きおくから長ながく消けし去さられていました。

しかし、今いまからおよそ20年ねん前まえ、日系にっけい人じんの人ひとたちがこの収容しゅうよう所しょがあった場所ばしょを突き止つきとめ、発掘はっくつ調査ちょうさを始はじめました。

浮かび上うかびあがった収容しゅうよう所しょの実像じつぞう

調査ちょうさ活動かつどうを中心ちゅうしんになって行いってきた日系にっけい３さん世せいのジェーン・クラハラさん（88）。

図書館としょかんの学芸がくげい員いんを退職たいしょくしたあと、収容しゅうよう所しょの存在そんざいを知しり、ボランティアで調査ちょうさに没頭ぼっとうしてきました。当時とうじを知しる人ひとが減へり、このままでは、収容しゅうよう所しょの存在そんざい自体じたいが忘れ去わすれさられてしまうと感かんじたからです。

真珠湾しんじゅわんから車くるまでおよそ30分ふん。クラハラさんたちが見みつけた収容しゅうよう所しょ跡あとは、いまは樹木じゅもくが生い茂おいしげる森もりの中なかにありました。

細ほそい道みちに沿そって、お城しろの石垣いしがきのような壁かべが続つづき、収容しゅうよう所しょの食堂しょくどうだった建物たてものの基礎きそ部分ぶぶんも残のこっていました。

クラハラさんの手元てもとには、収容しゅうよう所しょにいた人ひとたちの証言しょうげんの記録きろくが残のこっています。

（収容しゅうよう者しゃの証言しょうげん）

「収容しゅうようされて３さん日にち目め。食事しょくじはまだ支給しきゅうされない」

「40～50人にんの名前なまえが呼よばれてある場所ばしょに連つれて行いかれた。われわれはここで射殺しゃさつされるのか。これは死しの行進こうしんか。体からだが震ふるえた」

証言しょうげんからは、劣悪れつあくな環境かんきょうのもと、精神せいしん的てきにも過酷かこくな日々ひびを送おくった収容しゅうよう者しゃの実像じつぞうが浮かび上うかびあがりました。

負まけの歴史れきしを風化ふうかさせるな

クラハラさんたちの努力どりょくが実みのって、４よん年ねん前まえ、みずからもハワイ出身しゅっしんの、当時とうじのオバマ大統領だいとうりょうが収容しゅうよう所しょ跡あとを国くにの史跡しせきに指定してい。

国くにの財政ざいせい的てきな支援しえんも得えられるようになり、３さん年ねん前まえには資料しりょう館かんがオープンしました。

収容しゅうよう所内しょないで日系にっけい人じんたちが、気きを紛まぎらわそうと作つくった首飾くびかざりや、歯ブラシはぶらしの柄えから作つくった指輪ゆびわなども展示てんじされています。

今いまでは、多おおくの観光かんこう客きゃくが資料しりょう館かんに見学けんがくに訪おとずれるようになっています。

（観光かんこう客きゃくのアメリカ人じん男性だんせい）

「この国くにでどうしてこういうことが起おきたのか。ちょっと悲かなしくまた信しんじられないという気持きもちです」

（日本人にっぽんじん女性じょせい）

「アメリカ人じんのはずなのに、こういう風かぜに日系にっけい人じんとか日本にっぽんの血ちを引ひいているというだけで収容しゅうよう所しょに入いれられてしまい、すごく悲かなしかっただろうなと思おもいます」

クラハラさんたちの思おもいは、地元じもとの大学生だいがくせいたちにも引き継ひきつがれています。

４よん年ねん前まえからは、ハワイ大学はわいだいがくの考古こうこ学がく研究けんきゅう室しつが発掘はっくつ調査ちょうさに参加さんかするようになったのです。

（男子だんし大学生だいがくせい）

「歴史れきしを都合つごうよく書き換かきかえるようなことがあれば、国くには将来しょうらいの方向ほうこう性せいを誤あやまってしまう。僕ぼくたちはしっかりと過去かこと向き合むきあわないといけないと思おもいます」

負まけの歴史れきしを繰り返くりかえして欲ほしくないと考かんがえているクラハラさん。これからも活動かつどうを続つづけていく決意けついです。

（クラハラさん）

「歴史れきしは繰り返くりかえされる可能かのう性せいがあります。だからこそ、若わかい世代せだいには収容しゅうよう所しょの歴史れきしを知しってほしい。そうすることが、今いまの社会しゃかい問題もんだいに向き合むきあう上うえでも助たすけになるはずですし、再ふたたび誤あやまった道みちに進すすむのを防ふせいでくれるでしょう」