「
楽天市場」を
運営する
楽天が、
一定額以上の
商品を
購入した
利用者の
送料を
一律で
無料にすると
決めたことについて、
公正取引委員会が
優越的な
立場を
利用して
不当な
要求をした
独占禁止法違反の
疑いが
あるとして
立ち入り
検査に
乗り出したことが
関係者への
取材で
分かりました。
関係者によりますと、
立ち入り
検査を
受けたのは「
楽天市場」を
運営する
大手IT企業の「
楽天」です。
楽天は、これまで出店者に任せていた「楽天市場」の送料について、来月18日から、購入額が3980円以上であれば一部の地域などを除いて送料を一律で無料にするサービスを開始する方針を決めています。
これについて公正取引委員会が、優越的な立場を利用して一方的に規約を変更するなど出店者に不当な要求をした独占禁止法違反の疑いがあるとして、立ち入り検査に乗り出したことが関係者への取材で分かりました。
楽天市場の送料をめぐっては一部の出店者から「送料の負担が増え、経営が圧迫される」という不満の声が出ていて、先月、出店者らが加盟する団体が、公正取引委員会に調査を求めるおよそ4000筆の署名を提出していました。
公正取引委員会は関係者から事情を聴くなどして、楽天側の行為が独占禁止法違反にあたるかどうか調査を進めるものとみられます。
一方、楽天の三木谷浩史社長は先月、利用者の送料を無料にする取り組みについて、「何がなんでも成功させていきたい」と述べ、予定どおり来月から始める方針を示していて、楽天は今月、「法令上の問題はないものと考えていますが、公正取引委員会からの調査につきましては、全面的に協力してまいります」とするコメントを発表していました。
楽天「開始予定に変わりはありません」
公正取引委員会の立ち入り検査について楽天は、「立ち入り検査を受けたことは事実で、今後も調査に対して全面的に協力してまいります。送料見直しの施策については、現時点で来月18日に開始する予定に変わりはありません」としています。
楽天ユニオン代表「無料化前に解決を」
公正取引委員会に調査を求める署名を提出していた、出店者らが加盟する任意団体「楽天ユニオン」の勝又勇輝代表は「出店者側からすると、楽天のやり方はあまりに一方的で、立ち入り検査を受けたのは当然のことだと思っています。公正取引委員会には来月に送料無料化が始まり出店者や利用者に混乱が広がる前に、この問題を解決してほしいです」とコメントしています。
送料体系見直し 背景には
楽天が送料の体系を見直す方針を掲げたのは去年1月でした。インターネット通販の巨大なライバル、アマゾンの存在が背景にあります。
ネット通販の国内の利用者は、調査会社ニールセンの去年4月時点の調査ではアマゾンが5004万人、楽天が4804万人で、激しい競争を繰り広げています。
アマゾンは自社が販売する商品と、小売店が出品する商品を扱っていて、自社が販売する商品は2000円以上購入すると送料が無料になるほか、月額500円、年間プランで4900円を支払って有料会員になれば無料になります。
一方、「楽天市場」では現在商品の送料は出店者の判断に任せています。このため利用者が負担する場合や、店が決めた金額以上を購入すれば無料になる場合などがあり、店ごとに異なっています。
利用者に対する会社の調査で、「最終的な支払額が分かりづらい」とか、「送料が理由で購入を断念した」といった声が上がったということです。
このため楽天は送料が無料となる基準を統一し、分かりやすいサービスを目指すと説明しています。
これに対して、一部の出店者から「送料の負担が増え、経営が圧迫される」という不満の声が出て、先月出店者らが加盟する団体が公正取引委員会に調査を求める署名を提出しました。
送料体系の見直しが行われた場合、現在送料が無料となる基準を3980円より高く設定している出店者などにとっては、送料の負担が増える可能性があるからです。
これについて楽天は、出店者側の対応として、送料の負担も考慮に入れて商品の価格を調整することや、商品の価格を変えずに販売数を増やして利益を確保する方法などが考えられると説明していて、「具体的な判断は出店者に任せる」としています。
楽天の三木谷浩史社長は先月、送料体系の見直しについて、「何がなんでも成功させていきたい」と述べ、予定どおり、来月から始める方針を改めて示していました。