生態せいたいけい多様たようせい意義いぎ

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N1 Oct 28, 2025 03:10 187
Furigana Traduction
Journal japonais
英国えいこく科学誌かがくし『ネイチャー』の最新号さいしんごう掲載けいさいされた論文ろんぶんによれば、カエルの種多様性しゅたようせい寄生虫きせいちゅう感染率かんせんりつとのあいだには密接みっせつ関係かんけいがあるという。実験じっけん結果けっか、カエルの総数そうすうおなじでも、特定とくてい一種いっしゅのみが生息せいそくする環境かんきょうより、複数種ふくすうしゅ共存きょうぞんしている環境かんきょうのほうが、特定とくていしゅ寄生虫きせいちゅう感染かんせんして発病はつびょうする割合わりあいあきらかに低下ていかした。すなわち、多様性たようせいたかいほど感染かんせんリスクが抑制よくせいされるという結論けつろんにほかならない。もししゅ存在そんざいすることによってみずからの感染かんせん確率かくりつがるのであれば、各種かくしゅたがいを競争きょうそうによって排除はいじょしてしまうよりも、共存きょうぞんえらばざるをないということになる。場合ばあいによっては、自分じぶん利用りようする資源しげん一部いちぶ他種たしゅゆずってでも、それを存続そんぞくさせるほうが長期的ちょうきてきには有利ゆうりになる可能性かのうせいさえある。アリの社会しゃかいられる種内しゅない協力きょうりょく同様どうように、複数ふくすうしゅ一定いっていのコストを負担ふたんしながら共存きょうぞんうことによって、それぞれが利益りえきている――まさにしゅえた協力関係きょうりょくかんけいぶにふさわしい現象げんしょうちがいない。この現象げんしょう一層いっそう興味深きょうみぶかいのは、それがカエルの生存せいぞんおびやかしかねない寄生虫きせいちゅうという存在そんざいふかむすびついているてんである。寄生虫きせいちゅうがわかられば、感受性かんじゅせいたか単一種たんいっしゅのみがいる環境かんきょうでは、感染かんせん対象たいしょうかぎられないため、短期的たんきてきには増殖率ぞうしょくりつ飛躍的ひやくてきたかまるであろう。しかし、もし宿主しゅくしゅとなるカエルをすべて感染かんせん殺害さつがいしてしまえば、やがて寄生きせいする相手あいてそのものをうしない、みずからの存続そんぞくあやうくせざるをない。したがって、多様たようなカエルの存在そんざいは、寄生虫きせいちゅうにとっても不利ふりどころか、むしろ長期的ちょうきてき生存せいぞん可能かのうにする自己調整的じこちょうせいてきメカニズムとして機能きのうしているとかんがえられる。多様性たようせいとは、たんしゅかず問題もんだいにとどまらず、生態系せいたいけい全体ぜんたい相互依存そうごいぞんとおして均衡きんこうたもつための知恵ちえにほかならないのである。
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