NPO法人「若者メンタルサポート協会」では、ボランティアスタッフ40人余りが、24時間365日の態勢で、全国の10代からSNSで寄せられる相談に対応しています。
相談は、以前は1か月当たり2万件ほどでしたが、感染拡大以降は増え続け、去年12月には4万件を超えました。
理事長の岡田沙織さんは、感染拡大の長期化で内容に変化が見られると分析していて、▽去年の今頃は初めての緊急事態宣言で激変する暮らしに戸惑う声が多かった一方、最近では先が見えないことへの不安や疲れ、家庭環境のさらなる悪化に関する相談が目立つといいます。
岡田さんは、「コロナ禍で親のストレスがたまって爆発し、そのひずみが子どもたちに向かっている。居場所やよりどころを奪われ、自己肯定感を回復するきっかけさえ見つからない。『私さえいなくなればいい』と思い詰めてしまう子どもが多いと感じる」と危機感を語ります。
NPOでは直接会って相談に応じる活動も行っています。
5月、岡田さんが日頃はSNSで相談を寄せている高校3年生の女子生徒に会いにいくと、生徒は去年、高校がオンライン授業になった際、母親から家事のすべてを強いられるようになり、うまくできないと、どなられる毎日だったと明かしました。
女子生徒はその後、心身に不調をきたし精神科に通院するようになりましたが、派遣社員の仕事を辞めた母親から「あんたのせいで辞めた」と責められたり、離婚した父親のもとに行くよう言われたりしたといいます。
女子生徒は「お母さんの口調や態度がどんどん強くなっていて、しんどいです。『緊急事態宣言』『延長』とニュースで聞くたびに『殺す気か』と思います。どうして私、生きているんだろう。自分には存在価値がなく、生きていた証を全部消したいと思うときがあります」と話すと、岡田さんは「あなたは何も悪くないよ」と寄り添っていました。
週に3日、夜2時間オンライン上に専門のスタッフが常駐し、参加した子どもたちが互いに顔を見ながら会話ができる場で、毎回「きょうのグッド」と題して、その日あったよいことを一人一人共有してもらうのが特徴です。 ある10代の女の子は、「いとこが遊びに来たので、からあげを作ったが失敗してしまった。でも、おいしいと言って完食してくれた。一人でしょんぼり食べるよりうれしかった」と話しました。 このほか「朝早く起きられた」とか、「新しいピアスを付けた」など、日常のささやかな出来事を伝え合い、全員で拍手をしながら「すごいね」「よかったね」と受け止めていました。 初めて参加した10代の女の子が「きょうが誕生日」と明かすと、みんなで歌って祝う場面もみられました。 岡田さんは、「つらい気持ちの子たちが、少しでもその日にあった『よかったこと』に目を向けられるようにして、ポジティブな気持ちを引き出していきたい。何を言っても否定されず、受け止めてもらえる体験が、子どもたちに何より必要だと感じます」と話していました。
1人で苦しまず、ぜひ話をしてみてください。 ▽「24時間子供SOSダイヤル」 0120-078-310 https://www.mext.go.jp/ijime/detail/dial.htm ▽「子どもの人権110番」 0120-007-110 http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html ▽「チャイルドライン」 0120-99-7777 https://childline.or.jp/ ▽「いのちの電話の相談」 0120-783-556 https://www.inochinodenwa.org/ ▽一般社団法人日本臨床心理士会、 一般社団法人日本公認心理師協会「新型コロナこころの健康相談電話」050-3628-5672
相談先