香港ほんこん人権じんけん法ほう成立せいりつ 中国ちゅうごくは報復ほうふく措置そち示唆しさ 米べい中ちゅう対立たいりつの深ふかまり不可避ふかひか

成立せいりつした法律ほうりつは、香港ほんこんでの人権じんけん抑圧よくあつに関かかわった中国ちゅうごくの当局とうきょく者しゃへの制裁せいさいを可能かのうにし、香港ほんこんに高度こうどな自治じちを認みとめた一いち国こく二に制度せいどが中国ちゅうごく政府せいふによって損そこなわれていないか、アメリカ政府せいふに検証けんしょうを求もとめる内容ないようです。

トランプ大統領だいとうりょうは署名しょめいにあたって声明せいめいを出だし、「習近平ちから国家こっか主席しゅせきと香港ほんこんの人々ひとびとへの敬意けいいをこめて署名しょめいした」としたうえで、「中国ちゅうごくや香港ほんこんの指導しどう者しゃたちが立場たちばの違ちがいを友好ゆうこう的てきに乗り越のりこえ、長期ちょうき的てきな平和へいわと繁栄はんえいにつなげられるよう願ねがっている」としています。

これに対にたいし、中国ちゅうごく外務省がいむしょうの楽らく玉だま成なる次官じかんは28日にち、北京ぺきんに駐在ちゅうざいするアメリカのブランスタド大使たいしを呼び出よびだし、「中国ちゅうごくの内政ないせいに著いちじるしく干渉かんしょうするものだ」と述のべ、強つよく抗議こうぎしました。

そのうえで楽らく次官じかんはアメリカに対にたいし、法律ほうりつを実行じっこうに移うつさないよう強つよく促うながすと述のべたうえで、「アメリカの誤あやまった措置そちに対にたいし中国ちゅうごくは必かならず報復ほうふくし、一切いっさいの悪わるい結果けっかはアメリカが負おうことになる」と述のべ、報復ほうふく措置そちを辞じさない考かんがえを伝つたえ、アメリカ側がわを強つよくけん制けんせいしました。

また、中国ちゅうごく外務省がいむしょうの耿爽報道ほうどう官かんは28日にちの記者きしゃ会見かいけんで「米べい中ちゅう関係かんけいと両国りょうこくの重要じゅうような協力きょうりょくに影響えいきょうを及およぼさないために、アメリカには法律ほうりつを実行じっこうに移うつさないよう強つよく促うながす」と述のべたうえで、中国ちゅうごくとして報復ほうふく措置そちを辞じさない考かんがえを示しめしました。

ただ、具体ぐたい的てきにどのような報復ほうふく措置そちをとるのか問とわれても「引き続ひきつづき、関心かんしんを持もって見みていてほしい」と述のべるにとどまりました。

今回こんかいの法律ほうりつの成立せいりつで米べい中ちゅうの対立たいりつが深ふかまることは避さけられない情勢じょうせいで、今後こんご、両国りょうこくの貿易ぼうえき交渉こうしょうに影響えいきょうが出でることも予想よそうされます。

香港ほんこん人権じんけん法ほうとは

「香港ほんこん人権じんけん・民主みんしゅ主義しゅぎ法ほう」は香港ほんこん返還へんかんに先立さきだつ1992年ねんに成立せいりつした「香港ほんこん政策せいさく法ほう」を修正しゅうせいし、新あらたな規定きていを加くわえたものです。

従来じゅうらいの「香港ほんこん政策せいさく法ほう」では香港ほんこんに対にたいし、関税かんぜいやビザの発給はっきゅうなどで中国ちゅうごく本土ほんどとは異ことなる優遇ゆうぐう措置そちを認みとめる一方いっぽう、アメリカ大統領だいとうりょうが香港ほんこんの自治じちが不十分ふじゅうぶんと認みとめれば、これらの措置そちを停止ていしできると規定きていしていました。

今回こんかいの法律ほうりつではこれに加くわえて、新あらたにアメリカ政府せいふに対にたいし一いち国こく二に制度せいどに基もとづく香港ほんこんの高度こうどの自治じちが中国ちゅうごく政府せいふによって損そこなわれていないか検証けんしょうし、毎年まいとし議会ぎかいに報告ほうこくするよう義務ぎむづけています。

これにより、アメリカ政府せいふとして一いち国こく二に制度せいどが形骸けいがい化かしていると判断はんだんした場合ばあい、香港ほんこんに対にたいする優遇ゆうぐう措置そちの停止ていしにつながる可能かのう性せいがあります。

また今回こんかいの法律ほうりつでは、アメリカ政府せいふに香港ほんこんの人権じんけん状況じょうきょうについても毎年まいとし報告ほうこくを義務ぎむづけ、人権じんけん抑圧よくあつが認みとめられた場合ばあいは制裁せいさいを可能かのうにする条項じょうこうも新あらたに設もうけられました。

具体ぐたい的てきには、香港ほんこんの市民しみんを中国ちゅうごく本土ほんどに移送いそうして恣意しい的てき（しいてき）に拘束こうそくするといった抑圧よくあつがあった場合ばあいに、これに関かかわった中国ちゅうごくの当局とうきょく者しゃなどにビザの取り消とりけしや資産しさん凍結とうけつといった制裁せいさいを科かすとしています。

トランプ大統領だいとうりょうは今回こんかい、この「香港ほんこん人権じんけん・民主みんしゅ主義しゅぎ法ほう」に加くわえ、アメリカ企業きぎょうに対にたいし、香港ほんこんへの催涙さいるいガスなどの装備そうび品ひんの輸出ゆしゅつを禁きんじる法律ほうりつにも署名しょめいしました。

輸出ゆしゅつが禁きんじられる装備そうび品ひんには、抗議こうぎ活動かつどうの取締とりしまりに使つかわれる催涙さいるいガスや催涙さいるいスプレー、ゴム弾だん、放水ほうすい銃じゅう、手錠てじょう、スタンガンなどが含ふくまれ、法律ほうりつの施行しこう30日にち後ごから大統領だいとうりょうに輸出ゆしゅつ許可きょかを出だすことを禁きんじるとしています。

法律ほうりつ成立せいりつの経緯けいいと背景はいけい

香港ほんこんで条例じょうれいの改正かいせい案あんをめぐる大だい規模きぼなデモが起おきたことし６月ろくがつ、アメリカの共和きょうわ、民主みんしゅ両りょう党とうの対たい中ちゅう強硬きょうこう派はの議員ぎいんは、香港ほんこんでの人権じんけんの尊重そんちょうと民主みんしゅ主義しゅぎの確立かくりつを支援しえんする法案ほうあんを上下じょうげ両院りょういんに提出ていしゅつしました。

アメリカと中国ちゅうごくが安全あんぜん保障ほしょうや貿易ぼうえき交渉こうしょうで激はげしく対立たいりつするなか、アメリカ議会ぎかいでは中国ちゅうごくの人権じんけん状況じょうきょうに対にたいしても厳きびしい見方みかたが広ひろがっていました。

ことし９月くがつには香港ほんこんで抗議こうぎ活動かつどうを続つづける民主みんしゅ派はのメンバーが議会ぎかいの公聴こうちょう会かいに出席しゅっせきし、「歴史れきし家かが振り返ふりかえった時とき、アメリカ議会ぎかいが香港ほんこんと人権じんけんと民主みんしゅ主義しゅぎを守まもったと評価ひょうかされるようになってほしい」と述のべて、法案ほうあんの可決かけつを訴うったえました。

そして11月つき19日にち、議会ぎかい上院じょういんは全会ぜんかい一致いっちで法案ほうあんを可決かけつ、下院かいんも翌よく20日にちに賛成さんせい417、反対はんたい１いちで可決かけつし、法律ほうりつの成立せいりつに必要ひつようなトランプ大統領だいとうりょうの署名しょめいに向むけてホワイトハウスに送おくられました。

また、上下じょうげ両院りょういんは香港ほんこんでのデモ隊たいと警察けいさつの激はげしい衝突しょうとつを受うけて、デモ隊たいに向むけて使用しようされる催涙さいるいガスやゴム弾だんなどを香港ほんこんの警察けいさつに輸出ゆしゅつすることを禁止きんしする法案ほうあんも全会ぜんかい一致いっちで可決かけつしました。

これに対にたいして中国ちゅうごく政府せいふは激はげしく反発はんぱつし、報復ほうふく措置そちを取とる構かまえを見みせて法律ほうりつを成立せいりつさせないようアメリカ側がわに訴うったえました。

アメリカと中国ちゅうごくの貿易ぼうえき交渉こうしょうが第だい１いち段階だんかいの協定きょうていの合意ごういに向むけて大詰おおづめを迎むかえるなか、トランプ大統領だいとうりょうは22日にち、「香港ほんこんを支持しじしなければならないが、友人ゆうじんである習近平ちから国家こっか主席しゅせきも支持しじしている」と述のべて署名しょめいを明言めいげんしませんでしたが、アメリカの複数ふくすうのメディアは署名しょめいに踏み切ふみきる見通みとおしを伝つたえていました。

米べい中ちゅう貿易ぼうえき交渉こうしょうへの影響えいきょうも

トランプ大統領だいとうりょうによる今回こんかいの法案ほうあんへの署名しょめいで、中国ちゅうごくとの貿易ぼうえき交渉こうしょうの行方ゆくえにも影響えいきょうが出でるのではないかという見方みかたが出でています。

米べい中ちゅう両国りょうこくは先月せんげつの閣僚かくりょう級きゅうの協議きょうぎで第だい１いち段階だんかいの合意ごういに向むけて歩み寄あゆみよりを見みせたことから、世界せかい経済けいざいを揺ゆさぶってきた米べい中ちゅうの貿易ぼうえき摩擦まさつが緩和かんわに向むかうのではないかという期待きたいが株式かぶしき市場しじょうなどに広ひろがりました。

ただ協議きょうぎでは、互たがいの輸入ゆにゅう品ひんに上乗うわのせしてきた関税かんぜいの一部いちぶ撤廃てっぱいなどをめぐって隔へだたりが残のこる中なか、今回こんかい、香港ほんこん問題もんだいをめぐり、トランプ大統領だいとうりょうが中国ちゅうごくの主張しゅちょうをはねのけたことで、貿易ぼうえき交渉こうしょうの行方ゆくえに影響えいきょうが出でるのではないかという見方みかたが出でています。

今後こんごの焦点しょうてんは、アメリカ政府せいふが第だい１いち段階だんかいの合意ごういに達たっすれば発動はつどうを見送みおくるとしている、来月らいげつ15日にちに計画けいかくする中国ちゅうごくからの輸入ゆにゅう品ひんに対にたいする新あらたな関税かんぜい上乗うわのせの発動はつどうです。

この措置そちが発動はつどうされれば、対象たいしょうの品目ひんもくが中国ちゅうごくで生産せいさんされるスマートフォンやパソコンなど1600億おくドル分ぶんに広ひろがり、中国ちゅうごくからのほぼすべての輸入ゆにゅう品ひんに高たかい関税かんぜいが上乗うわのせされることになります。

そうなれば中国ちゅうごくはもちろん、これらの製品せいひんが広ひろく普及ふきゅうするアメリカ経済けいざいにも打撃だげきを与あたえる可能かのう性せいがあるだけに、発動はつどうの期限きげんがおよそ２に週間しゅうかんに迫せまる中なか、双方そうほうの出方でかたが注目ちゅうもくされます。

トランプ大統領だいとうりょうに感謝かんしゃの意いを表あらわす集会しゅうかい

香港ほんこんでは、政府せいふへの抗議こうぎが続つづく中なか、アメリカのトランプ大統領だいとうりょうの署名しょめいによって香港ほんこん人権じんけん法ほうが成立せいりつしたことを歓迎かんげいする声こえが広ひろがっていて、28日にち夜よる、これに感謝かんしゃの意いを表あらわす大だい規模きぼな集会しゅうかいが開ひらかれました。

香港ほんこんでは、今月こんげつ24日にちに行おこなわれた区く議会ぎかい議員ぎいん選挙せんきょで、政府せいふに批判ひはん的てきな立場たちばの民主みんしゅ派はが圧勝あっしょうしましたが、政府せいふトップの林はやし鄭てい月つき娥行政ぎょうせい長官ちょうかんは、行政ぎょうせい長官ちょうかんの直接ちょくせつ選挙せんきょの導入どうにゅうなど市民しみんのさらなる要求ようきゅうに応おうじる考かんがえを示しめしていません。

政府せいふの対応たいおうを受うけて、各地かくちでは、選挙せんきょのあとも散発さんぱつ的てきに抗議こうぎ活動かつどうが続つづいていて、28日にちも昼ひるすぎ、金融きんゆう機関きかんなどが集あつまる中心ちゅうしん部ぶで、数すう百ひゃく人にんの市民しみんが集あつまり、「自由じゆうのために戦たたかおう」などと声こえを上あげました。

また、香港ほんこん島とうの海うみに近ちかい広場ひろばでは、28日にち夜よる、アメリカで、トランプ大統領だいとうりょうの署名しょめいによって香港ほんこん人権じんけん法ほうが成立せいりつしたことに感謝かんしゃの意いを表あらわす集会しゅうかいが開ひらかれました。

会場かいじょうは、数すう千せん人にんの市民しみんで埋うめ尽つくされ、参加さんか者しゃは、アメリカの国旗こっきを掲かかげたり、アメリカの国歌こっかを合唱がっしょうしたりして喜よろこびをあらわにしました。

香港ほんこんでは、今後こんごも政府せいふに対にたいする抗議こうぎ活動かつどうが呼よびかけられていて、抗議こうぎ活動かつどうに参加さんかする市民しみんからは、政府せいふが要求ようきゅうを受け入うけいれるまで活動かつどうを続つづけていくという声こえが多おおく聞きかれました。

”雨傘あまがさ運動うんどう”のリーダー「同おなじ動うごき 各国かっこくに広ひろがって」

香港ほんこん人権じんけん法ほうが成立せいりつしたことを受うけて、香港ほんこんで５ご年ねん前まえ、民主みんしゅ的てきな選挙せんきょを求もとめる抗議こうぎ活動かつどう「雨傘あまがさ運動うんどう」を主導しゅどうした黄き之の鋒ほこさき氏しは28日にち、記者きしゃ会見かいけんし、「今後こんご、こうした動うごきがアメリカだけでなく、イギリスやイタリア、ドイツなど各国かっこくに広ひろがってほしい」などと述のべ、アメリカの香港ほんこんへの支援しえんの動うごきは香港ほんこん政府せいふの後うしろ盾たてとなっている中国ちゅうごくに対にたいするけん制けんせいになるという考かんがえを示しめしました。