日本新聞: 千葉八街児童5人死傷事故現場に目立ったブレーキ痕なし

28日にち、千葉ちば県けん八街やまち市しで小学生しょうがくせいの列れつにトラックが突っ込つっこんで児童じどう5人にんが死傷ししょうした事故じこで、現場げんばには目立めだったブレーキ痕こんがなかったことが警察けいさつへの取材しゅざいで分わかりました。捜査そうさ関係かんけい者しゃによりますと、逮捕たいほされた運転うんてん手しゅは調しらべに対にたいし「帰かえる途中とちゅうに酒さけを飲のんだ」などと供述きょうじゅつしているということで、警察けいさつは事故じこに至いたる経緯けいいなどを詳くわしく調しらべています。

28日にち午後ごご3時半じはんごろ、千葉ちば県けん八街やまち市しで下校げこう途中とちゅうの小学生しょうがくせいの列れつにトラックが突っ込つっこんで、男の子おとこのこ4人にんと女の子おんなのこ1人にんの児童じどう5人にんがはねられました。

警察けいさつによりますと、この事故じこでいずれも八街やまち市しに住すむ小学生しょうがくせい、谷井たにい勇いさむ斗とさん（8）と川かわ染そめ凱仁ひとしさん（7）が死亡しぼうしたほか、8歳さいの女の子おんなのこが意識いしき不明ふめいの重体じゅうたいとなっていて、7歳さいと6歳さいの男の子おとこのこが大だいけがをしています。

警察けいさつは近ちかくに住すむトラック運転うんてん手しゅ、梅澤うめざわ洋ひろし容疑ようぎ者しゃ（60）を逮捕たいほし、過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょうなどの疑うたがいで調しらべていて、容疑ようぎを裏付うらづけるため29日にち午前ごぜん勤務きんむ先さきや自宅じたくを捜索そうさくしました。

梅澤うめざわ容疑ようぎ者しゃの呼気こきからは基準きじゅんを超こえるアルコールが検出けんしゅつされていて、捜査そうさ関係かんけい者しゃによりますと「帰かえる途中とちゅうに酒さけを飲のんだ」などと供述きょうじゅつしているということです。

また、これまでの調しらべに対にたいし「右側みぎがわから人ひとが出でてきたので、よけようと左ひだりに急きゅうハンドルを切きったところ電柱でんちゅうにぶつかり、そのまま子こどもたちの列れつに突っ込つっこんでしまった」などと供述きょうじゅつしているということですが、その後そのごの調しらべで現場げんばには目立めだったブレーキ痕こんがなかったことが警察けいさつへの取材しゅざいで分わかりました。

トラックは進行しんこう方向ほうこう左側ひだりがわの電柱でんちゅうに衝突しょうとつしたあと、その先さきにいた児童じどうの列れつに正面しょうめんから突っ込つっこみ、電柱でんちゅうから40メートルほど先さきで道路どうろ脇わきの畑はたけに突っ込つっこむようにして停止ていししたということです。

警察けいさつは事故じこに至いたる経緯けいいなどを詳くわしく調しらべています。

勤務きんむ先さきの親しん会社かいしゃ「直接ちょくせつ謝罪しゃざいしたい」

29日にち夕方ゆうがた、容疑ようぎ者しゃの勤務きんむ先さきの親しん会社かいしゃの太田おおた忠幸ただゆき安全あんぜん部長ぶちょうは、報道陣ほうどうじんの取材しゅざいに答こたえ「お亡なくなりになられた2名めいの方ほうのご冥福めいふくをお祈おいのりするとともに、負傷ふしょうされた3名めいの方ほうの1日にちも早はやい回復かいふくを願ねがっています。心こころよりおわび申し上もうしあげます」と改あらためて謝罪しゃざいしました。

そのうえで「ご家族かぞく、関係かんけい者しゃの方ほうにまずは直接ちょくせつお会あいして謝罪しゃざいを行おこない、誠意せいいを持もって対応たいおうしたい。小学校しょうがっこうにも同おなじく直接ちょくせつ伺うかがって謝罪しゃざいを行おこないたい」と述のべ、警察けいさつや学校がっこう側がわと連絡れんらくを取とりながら日程にっていの調整ちょうせいを進すすめていることを説明せつめいしました。

同おなじ小学校しょうがっこうの保護ほご者しゃ「危あぶないという認識にんしき持もっていた」

事故じこにあった子こどもたちと同おなじ小学校しょうがっこうに4年生ねんせいと6年生ねんせいの娘むすめ2人にんが通かよっている40代だいの女性じょせいは、事故じこ現場げんばを訪おとずれて献花けんかし「信号しんごうが無ないのでスピードを出だして運転うんてんする人ひとも多おおく、いつか事故じこが起おきるのではないか、危あぶないという認識にんしきはみんな持もっていました。子こどもたちが安全あんぜんに歩あるけるような歩道ほどうを作つくってもらいたいです」と話はなしていました。

別べつの児童じどうの保護ほご者しゃ「子こどもたちをケアしたい」

小学しょうがく3年生ねんせいの長男ちょうなんが、事故じこにあった子こどもたちと同おなじ小学校しょうがっこうに通かよう29歳さいの女性じょせいは「子こどもたちはふだん、ルールを守まもって1列れつに並ならんで登とう下校げこうしていたのに、なんで犠牲ぎせいにならないといけないのかが分わかりません。息子むすこに事故じこがあったことを説明せつめいしてあげると『大丈夫だいじょうぶかな、助たすかるかな』と泣なきながら心配しんぱいしていました。けがをした子こは何なんとか助たすかってほしいし、ほかの子こどもたちも怖こわい思おもいをして傷きずついていると思おもうので、しっかりケアしてあげたい」と話はなしてました。

近所きんじょの男性だんせい「ふだんは1列れつに登とう下校げこうしていた」

事故じこ現場げんばのすぐ近ちかくにある畑はたけを借かりている60代だいの男性だんせいは「事故じこにあった子こどもたちの様子ようすをふだんから見みていたが、上級じょうきゅう生せいが下級生かきゅうせいの面倒めんどうを見みながら交通こうつうルールを守まもって1列れつに登とう下校げこうしていた。道みちが狭せまくて歩道ほどうを作つくるのも難むずかしいと思おもうので登とう下校げこう中ちゅうは交通こうつう規制きせいを設もうけるなどの対策たいさくをとってほしい」と話はなしていました。

加藤かとう官房かんぼう長官ちょうかん「通学つうがく路ろの危険きけんか所しょ改あらためて検証けんしょう」

加藤かとう官房かんぼう長官ちょうかんは午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで「大変たいへん痛いたましい事故じこで、お亡なくなりになったお2人にんのご冥福めいふくと、負傷ふしょうされた児童じどうの1日にちも早はやいご回復かいふくをお祈おいのりしたい」と述のべました。

そのうえで「学校がっこう、警察けいさつ、道路どうろ管理かんり者しゃなどが合同ごうどうで小学校しょうがっこうの通学つうがく路ろの危険きけんか所しょを点検てんけんする体制たいせいを構築こうちくし、持続じぞく的てきに対策たいさくを行おこなうよう求もとめているが、改あらためて検証けんしょうすることが重要じゅうようだと考かんがえており、早急そうきゅうな対応たいおうを行おこないたい」と述のべました。

また、加藤かとう官房かんぼう長官ちょうかんは「児童じどうの歩行ほこう中ちゅうの死亡しぼう、重傷じゅうしょう交通こうつう事故じこのおよそ3分ぶんの1が登とう下校げこう中ちゅうに発生はっせいしているというデータもあり、特とくに登とう下校げこう時間じかん帯たいに運転うんてんするドライバーには、通学つうがくや帰宅きたくする子こどもたちの安全あんぜん確保かくほに配慮はいりょした運転うんてんをお願おねがいしたい」と述のべました。

千葉ちば県けん熊谷くまがい知事ちじ “早急そうきゅうに通学つうがく路ろの緊急きんきゅう一斉いっせい点検てんけんを”

事故じこについて、熊谷くまがい知事ちじは29日にちに記者きしゃ団だんの取材しゅざいに応おうじ「亡なくなられた2人にんの児童じどうのご冥福めいふくを心こころからお祈おいのりするとともに、今いまも入院にゅういんしている3人にんの児童じどうの回復かいふくを心こころから願ねがっています」と述のべました。

そして、事故じこの再発さいはつ防止ぼうしについて、県内けんないの通学つうがく路ろの緊急きんきゅう一斉いっせい点検てんけんを早急そうきゅうに行おこなう考かんがえを示しめしました。

また、現場げんばの市道しどうの安全あんぜん対策たいさくについて「通学つうがく路ろは、かなり広ひろ範囲はんいになるため、それぞれの自治体じちたいで安全あんぜん対策たいさくを行おこなうには国くにの財政ざいせい措置そちが極きわめて重要じゅうようだが、運転うんてんする側がわの基礎きそ的てきなマナーの徹底てっていも重要じゅうようで、両方りょうほうの観点かんてんから対策たいさくを重かさねていくことが大事だいじだ」と述のべました。

小学校しょうがっこうPTA 10年ねん以上いじょう前まえから市しに改善かいぜん求もとめる

今回こんかい、事故じこが起おきた現場げんばの道路どうろについては、子こどもたちが通かよっていた小学校しょうがっこうのPTAから「道幅みちはばが狭せまい一方いっぽうで、交通こうつう量りょうが多おおく危険きけんだ」などと、登とう下校げこう時じの危険きけん性せいを指摘してきする声こえがあがっていました。

このため、このPTAでは10年ねん以上いじょう前まえから毎年まいとし、歩道ほどうの整備せいびなどを含ふくむ道路どうろの改善かいぜんを八街やまち市しに求もとめていたということです。

5年ねん前まえにも児童じどうの列れつにトラック突っ込つっこむ事故じこ

今回こんかい、児童じどう5人にんが被害ひがいにあった千葉ちば県けん八街やまち市しの朝陽あさひ小学校しょうがっこうでは、5年ねん前まえの2016年ねん11月つきにも登校とうこう中ちゅうの児童じどうの列れつにトラックが突っ込つっこみ、4人にんがけがをする事故じこがありました。

この事故じこは、今回こんかいの現場げんばから直線ちょくせん距離きょりで2.7キロほど離はなれた国道こくどう409号ごうで起おきたもので、事故じこのあと市しの教育きょういく委員いいん会かいは、登とう下校げこう時じの子こどもたちの安全あんぜん対策たいさくをまとめた「通学つうがく路ろ交通こうつう安全あんぜんプログラム」を改定かいていし、保護ほご者しゃや地域ちいきの人ひとたちによる危険きけん箇所かしょでの見守みまもり強化きょうかなどの対策たいさくを進すすめてきたということです。

一方いっぽう、市しの教育きょういく委員いいん会かいによりますと、今回こんかいの事故じこがあった現場げんばの市道しどうは歩道ほどうを確保かくほできる幅はばがなく、歩道ほどうと車道しゃどうを分わける白線はくせんも引ひかれていない状況じょうきょうが続つづいていました。

事故じこ現場げんば付近ふきんと、学校がっこうの間まの通学つうがく路ろには、以前いぜんから通行つうこう車両しゃりょうに対にたいして注意ちゅうい喚起かんきを促うながす「スクールゾーン」の表示ひょうじがされている場所ばしょがありますが、通学つうがく路ろに最高さいこう速度そくどを30キロに制限せいげんする「ゾーン30」は設られていませんでした。