Japanese News: 日本・インド首脳会談へ幅広い分野で協力強化確認したい考え

石破いしば総理そうり大臣だいじんは29日にじゅうくにち、インドのモディ首相しゅしょうとの首脳しゅのう会談かいだんに臨のぞみます。世界せかいで最もっとも人口じんこうが多おおく、市場しじょうの拡大かくだいが見込みこまれるインドの活力かつりょくを日本にっぽんの成長せいちょうに取り込とりこみたいとして、安全あんぜん保障ほしょうや経済けいざい、人的じんてき交流こうりゅうなど幅広はばひろい分野ぶんやでの協力きょうりょく強化きょうかを確認かくにんしたい考かんがえです。

モディ首相しゅしょうの日本にっぽん訪問ほうもんはおととしのG7広島ひろしまサミット以来いらいで、首脳しゅのうどうしの相互そうご訪問ほうもんとしては7年しちねんぶりとなります。

総理そうり大臣だいじん官邸かんていで行おこなわれる首脳しゅのう会談かいだんで石破いしば総理そうり大臣だいじんは、14億じゅうよんおく人にん余あまりと世界せかいで最もっとも人口じんこうが多おおく、市場しじょうの拡大かくだいが見込みこまれるインドの活力かつりょくを日本にっぽんの成長せいちょうに取り込とりこみたいとして幅広はばひろい分野ぶんやでの協力きょうりょく強化きょうかを確認かくにんしたい考かんがえです。

具体ぐたい的てきには半導体はんどうたいや重要じゅうよう鉱物こうぶつ、AI、医薬品いやくひんといった分野ぶんやでの協力きょうりょくを強化きょうかするため「経済けいざい安全あんぜん保障ほしょう協力きょうりょくイニシアチブ」という新あらたな枠組わくぐみの創設そうせつで合意ごういする見通みとおしです。

安全あんぜん保障ほしょう分野ぶんやでは2008年にせんはちねんに署名しょめいした「共同きょうどう宣言せんげん」を改定かいていし、防衛ぼうえい協力きょうりょくの具体ぐたい策さくを盛もり込こむ方向ほうこうで調整ちょうせいしています。

経済けいざい分野ぶんやではインドに対たいし今後こんご10年じゅうねんを念頭ねんとうに10兆じゅっちょう円えんの民間みんかん投資とうしを行おこなう新あらたな目標もくひょうを打うち出だすほか、インドから日本にっぽんへの人材じんざい5万ごまん人にんを含ふくめ、今後こんご5年間ごねんかんに双方向そうほうこうで50万ごじゅうまん人にん以上いじょうの交流こうりゅうを目指めざすことでも一致いっちするものとみられます。

そして、会談かいだんの成果せいかとしての共同きょうどう声明せいめいや、環境かんきょう、医療いりょう、地方ちほう自治体じちたいの交流こうりゅうなどの分野ぶんやで今後こんご10年じゅうねんの具体ぐたい的てきな方向ほうこう性せいを示しめす「共同きょうどうビジョン」など、あわせて11じゅういちの成果せいか文書ぶんしょがとりまとめられる見通みとおしです。

インドの高速こうそく鉄道てつどう計画けいかくとは

今回こんかいのモディ首相しゅしょうの訪日ほうにちでは、日本にっぽんの協力きょうりょくのもと、インドで整備せいびが進すすむ高速こうそく鉄道てつどうについても話はなし合あわれる見通みとおしです。

経済けいざい成長せいちょうが続つづくインドのモディ政権せいけんは、インフラ整備せいびの一環いっかんとして、西部せいぶにある最大さいだいの商業しょうぎょう都市としムンバイと工業こうぎょう都市としアーメダバードの間まのおよそ500ごひゃくキロを結むすぶ国内こくない初はつの高速こうそく鉄道てつどうの整備せいびを進すすめています。

日本にっぽんが官民かんみんを挙あげて売うり込こみを行おこない、2015年にせんじゅうごねんに当時とうじの倍">安倍あべ総理そうり大臣だいじんとモディ首相しゅしょうが日本にっぽんの新幹線しんかんせん技術ぎじゅつを導入どうにゅうすることで合意ごういしました。

当初とうしょは2023年にせんにじゅうさんねんの開業かいぎょうを目指めざしていましたが、用地ようちの取得しゅとくが難航なんこうしたほか、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで計画けいかくが遅おくれ、インド政府せいふは2029年にせんにじゅうきゅうねん中ちゅうの完成かんせいを見据みすえ、現地げんちでは駅舎えきしゃや高架こうか橋きょうなどの建設けんせつが進すすんでいます。

高速こうそく鉄道てつどうが通とおる区間くかんは在来ざいらい線せんを利用りようすると5時間ごじかん以上いじょうかかりますが、新幹線しんかんせん技術ぎじゅつの導入どうにゅうでおよそ2時間にじかんに短縮たんしゅくされる見込みこみで、アーメダバードでは期待">期待きたいの声こえが聞きかれました。

これまで仕事しごとで在来ざいらい線せんを利用りようしてムンバイまで行いっていたという男性だんせいは「高速こうそく鉄道てつどうが運行うんこうされれば、時間じかんを節約せつやくできるので移動いどうが簡単かんたんになって、ビジネスの拡大かくだいにもつながる」と話はなしていました。

また、駅えきの近ちかくで飲食いんしょく店てんを経営けいえいする男性だんせいは「高速こうそく鉄道てつどうが開業かいぎょうしたあとは、客きゃくが2倍にばい以上いじょうに増ふえてほしい。

インドと日本にっぽんの関係かんけいはさらによくなるでしょう」と期待きたいをにじませていました。

高速こうそく鉄道てつどうの整備せいびでは日本にっぽんが幅広はばひろい分野ぶんやで支援しえんしていて、日本にっぽん円えんで1兆いっちょう8000億はっせんおく円えんに上のぼると見込みこまれている事業じぎょう費ひのうち、これまでに1兆いっちょう円えん余あまりを円えん借款しゃっかんで供与きょうよしています。

技術ぎじゅつ面めんや人材じんざい育成いくせいでは、日本にっぽんから専門せんもん家かを派遣はけんして施工しこうのノウハウを伝つたえるなどしているほか、日本にっぽん国内こくないでは高速こうそく鉄道てつどうの運営うんえいや運行うんこうに関かかわる人材じんざいの育成いくせいが行おこなわれています。

JICA＝国際こくさい協力きょうりょく機構きこうは3年さんねん前まえからインドの高速こうそく鉄道てつどう側がわからのべ40人よんじゅうにん余あまりの研修けんしゅう員いんを受うけ入いれ、ことしからはJR東日本ひがしにっぽんの指導しどうのもと、運転うんてん士しを育成いくせいする研修けんしゅうも行おこなっていて、月">今月こんげつには新幹線しんかんせんを運転うんてんするなどの技能ぎのう講習こうしゅうも始はじまっています。

今回こんかいのモディ首相しゅしょうの訪日ほうにちに合あわせて、JR東日本ひがしにっぽんが2030年度にせんさんじゅうねんどに導入どうにゅうを計画けいかくしている新型しんがた車両しゃりょう「E10系じゅうけい」をインドにも導入どうにゅうすることで調整ちょうせいが行おこなわれていて、両国りょうこくの協力きょうりょくがさらに深ふかまることが期待きたいされています。

インドをめぐる国際こくさい情勢じょうせいアメリカとの関係かんけいは

モディ首相しゅしょうがこの時期じきに訪日ほうにちすることはもともと決きまっていたことですが、日にち印いん関係かんけいに詳くわしいインド人じんの専門せんもん家かは、インドをめぐる国際こくさい情勢じょうせいが激変げきへんするなか、モディ首相しゅしょうにとって日本にっぽんとの首脳しゅのう外交がいこうはここにきて重要じゅうよう性せいがさらに増ましていると指摘してきしています。

というのも今いま、インドとアメリカの関係かんけいが悪化あっかし、外交がいこう上じょうの大おおきな難問なんもんに直面ちょくめんしているからです。

トランプ大統領だいとうりょうとモディ首相しゅしょうは、トランプ政権せいけんの1期いっき目めのときは良好りょうこうな関係かんけいで、2020年にせんにじゅうねんに当時とうじのトランプ大統領だいとうりょうがインドを訪問ほうもんしたときには、モディ首相しゅしょうから大だい歓迎かんげいを受うけました。

トランプ大統領だいとうりょうは、地元じもとのスタジアムに集あつまった10万じゅうまん人にんを超こえる観衆かんしゅうの前まえで演説えんぜつし、「アメリカはインドにとっていつも忠実ちゅうじつな友人ゆうじんだ」と訴うったえ、大おおきな歓声かんせいが上あがりました。

しかし今いまのトランプ政権せいけんは、インドに対たいして関税かんぜい政策せいさくで厳きびしい対応たいおうを続つづけ、インドがロシアから原油げんゆや石油せきゆ製品せいひんを購入こうにゅうしていることを理由りゆうに、インドからの輸入ゆにゅう品ひんに課かしている追加ついか関税かんぜいを今月こんげつ27日にじゅうしちにちから50ごじゅっ％に引ひき上あげました。

これによってインドは経済けいざい的てきに大おおきな影響えいきょうを受うける可能かのう性せいもあり、関税かんぜいの引ひき上あげにモディ首相しゅしょうは強つよく反発はんぱつし、対決たいけつ姿勢しせいをみせています。

こうした中なかで、インドとしてはさまざまな国くにとの関かかわりを深ふかめようとしているとみられ、経済けいざい面めんにおいて常つねにインドが最さい優先ゆうせんに考かんがえる国くにの1いちつが日本にっぽんということになります。

インドをめぐる国際こくさい情勢じょうせい中国ちゅうごくとの関係かんけいは

また、今回こんかいの訪日ほうにちのあと、次つぎに訪おとずれる国くにも注目ちゅうもくされています。

モディ首相しゅしょうは、日本にっぽんを訪おとずれたあと、中国ちゅうごく天津てんしんを訪おとずれます。

インドの首相しゅしょうが中国ちゅうごくを訪問ほうもんするのは7年しちねんぶりです。

そこで中国ちゅうごくとロシアが主導しゅどうする安全あんぜん保障ほしょうや経済けいざい協力きょうりょくの枠組わくぐみ、上海しゃんはい協力きょうりょく機構きこうの首脳しゅのう会議かいぎに出席しゅっせきすることになっています。

インドは中国ちゅうごくとの国境こっきょう問題もんだいを抱かかえ、緊張きんちょう関係かんけいが続つづいてきました。

しかし最近さいきんになって中国ちゅうごくとの関係かんけい改善かいぜんの動うごきがみられます。

今月こんげつ18日じゅうはちにちには中国ちゅうごくの王おう毅き外相がいしょうがインドを訪問ほうもんし、19日じゅうくにちにモディ首相しゅしょうと会談かいだん。

モディ首相しゅしょうは「インドと中国ちゅうごくの安定あんてい的てきで建設けんせつ的てきな関係かんけいが、地域ちいきそして世界せかいの平和へいわと繁栄はんえいに大おおきく貢献こうけんする」と述のべ、両国りょうこく関係かんけいを強化きょうかする考かんがえを強調きょうちょうしました。

対たい米べい関係かんけいが急速きゅうそくに悪化あっかする中なか、インドとしては伝統でんとう的てきな全ぜん位">方位ほうい外交がいこうを改あらためて重視じゅうしする姿勢しせいを示しめしており、中国ちゅうごくとも関係かんけい改善かいぜんを図はかろうとしているものとみられます。

「メイク・イン・インディア」インド経済けいざいと人材じんざい

今回こんかいのモディ首相しゅしょうの訪日ほうにちを機きに、日本にっぽんとしては、インドの成長せいちょう力りょくを取り込とりこむための投資とうしを促進そくしんするとともに、両国りょうこくの協力きょうりょくのすそ野のを広ひろげていきたいとしています。

インドの人口じんこうは14億じゅうよんおく以上いじょう。

中国ちゅうごくを抜ぬいて世界せかいで第だい1位いちいです。

人口じんこうは増加ぞうか傾向けいこうで、その需要じゅようの拡大かくだいに支ささえられて経済けいざい成長せいちょうが続つづき、昨年度さくねんどのGDP＝国内こくない総そう生産せいさんの伸のび率りつはプラス6。

5ろくてんご％と、高たかい水準すいじゅんを維持いじしています。

また、IMF＝国際こくさい通貨つうか基金ききんが4月しがつに公表こうひょうしたまとめでは、ことし、インドのGDPが日本にっぽんを抜ぬいて世界せかい第だい4位よんいとなると予測よそくされています。

モディ首相しゅしょうは「メイク・イン・インディア」と呼よばれる政策せいさくを掲かかげて外国がいこく資本しほんを誘致ゆうちし、製造せいぞう業ぎょうの振興しんこうや雇用こようの創出そうしゅつに取り組とりくんでいて、今後こんごも経済けいざい成長せいちょうが見込みこまれています。

インドは日本にっぽんにとって有望ゆうぼうな投資とうし先さきとみられ、これまでに1400社せんよんひゃくしゃ以上いじょうの日系にっけい企業きぎょうが進出しんしゅつしています。

日本にっぽんからの投資とうしが加速かそくしている分野ぶんやの一ひとつが、自動車じどうしゃです。

インドは、中国ちゅうごくとアメリカに次ついで世界せかい第だい3位さんいの自動車じどうしゃ市場しじょうです。

インド政府せいふは脱だつ炭素たんそ化かや深刻しんこくな大気たいき汚染おせんへの対策たいさくとして、国内こくないで販売はんばいされる乗用車じょうようしゃのうちEVの占しめる割合わりあいを現在げんざいのおよそ2に％から2030年にせんさんじゅうねんまでに30さんじゅっ％に高たかめるという計画けいかくを打うち出だしています。

こうしたことから、日本にっぽんの自動車じどうしゃメーカーは今後こんごの需要じゅようの拡大かくだいを期待きたいして投資とうしを加速かそくさせています。

なかでもインドを最大さいだいの市場しじょうとする自動車じどうしゃメーカー「スズキ」は、ことしからインドでのEVの生産せいさんに乗のり出だし、今月こんげつ26日にじゅうろくにち、EVの出荷しゅっかを始はじめました。

記念きねん式典しきてんにはモディ首相しゅしょうも駆かけつけ、「きょうからインドで製造せいぞうされたEVが世界せかい100か国ひゃっかこくに輸出ゆしゅつされることになる」と述のべ、インドと日本にっぽんとの経済けいざい的てきな連携れんけいをアピールしていました。

一方いっぽう、人口じんこうが世界せかいで最もっとも多おおいインドは、その多様たような人材じんざいにも期待きたいが集あつまっています。

日本にっぽんで暮くらしているインド人じんは5万ごまん人にん以上いじょう。

このうち働はたらいている人ひとの多おおくはIT関係かんけいに従事じゅうじしているとされますが、日本にっぽん政府せいふはさらにすそ野のをひろげ、幅広はばひろい人材じんざいを受うけ入いれたい考かんがえです。

なかでも今いま、日本にっぽん企業きぎょうが注目ちゅうもくしているのが介護かいご人材じんざいです。

日本にっぽんでは2040年度にせんよんじゅうねんど介護かいご人材じんざいがおよそおよそ57万ごじゅうななまん人にん、不足ふそくすると推計すいけいされています。

日本にっぽんの介護かいご大手おおて「SOMPOケア」は去年きょねん、インドの首都しゅとニューデリー近郊きんこうに研修けんしゅう施設しせつをオープンさせました。

今後こんご、インド人じんの介護かいご人材じんざいを年間ねんかんおよそ60人ろくじゅうにん育成いくせいする目標もくひょうをたて、介護かいご現場げんばでの日本語にほんごのやりとりや、車くるまいすやベッドなどを使つかった実践じっせん的てきなノウハウを教おしえています。

研修生けんしゅうせいたちは、「特定とくてい技能ぎのう」の試験しけんに合格ごうかくすれば最大さいだい5年間ごねんかん日本にっぽんに在留ざいりゅうできますが、介護かいご福祉ふくし士しの資格しかくを取得しゅとくすればさらに長ながく働はたらくことができ、日本にっぽんの介護かいご現場げんばを長期ちょうき的てきに支ささえる人材じんざいとして期待きたいされています。