日本新聞: 学会で治療薬の状況報告「アビガン」などで改善例も

学会がっかいで治療ちりょう薬やくの状況じょうきょう報告ほうこく「アビガン」などで改善かいぜん例れいも

Apr 18, 2020 19:04

Furigana

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが拡大かくだいする中なか、日本にっぽん感染かんせん症しょう学会がっかいの緊急きんきゅうシンポジウムが開ひらかれ、患者かんじゃの治療ちりょうについて、インフルエンザ薬やくやぜんそく薬やくの投与とうよで改善かいぜんしたケースもあったことなどが報告ほうこくされました。今後こんごさらに、効果こうかを見極みきわめる必要ひつようがあるとしています。日本にっぽん感染かんせん症しょう学会がっかいは18日にち、感染かんせん対策たいさくのため、観覧かんらん者しゃを入いれずに講演こうえんをインターネットで配信はいしんする形かたちで、東京とうきょう都内とないでシンポジウムを開ひらき、新型しんがたコロナウイルス対策たいさくにあたる政府せいふの専門せんもん家か会議かいぎのメンバーや、治療ちりょうにあたる医師いしなどが状況じょうきょうを報告ほうこくしました。

新型しんがたコロナウイルスには特効薬とっこうやくはなく、別べつの病気びょうきの治療ちりょうに使つかわれている薬くすりの投与とうよが行おこなわれていて、藤田ふじた医科いか大学だいがくの土井どい洋平ようへい教授きょうじゅは、インフルエンザ治療ちりょう薬やくの「アビガン」を患者かんじゃに投与とうよした状況じょうきょうについて報告ほうこくしました。

それによりますと、アビガンを投与とうよされた300人にんのうち、軽症けいしょうと中等ちゅうとう症しょうの患者かんじゃではおよそ９きゅう割わり、人工じんこう呼吸こきゅう器きが必要ひつような重症じゅうしょう患者かんじゃでは６ろく割わりで２に週間しゅうかん後ごに症状しょうじょうの改善かいぜんが見みられたということで、土井どい教授きょうじゅは現在げんざい行おこなわれている治験ちけんなどでさらに効果こうかを確たしかめる必要ひつようがあるという考かんがえを示しめしました。

また、吸い込すいこむタイプのぜんそくの治療ちりょう薬やく「オルベスコ」についても報告ほうこくされ、肺炎はいえんになったあとで投与とうよされた75人にんのうち、症状しょうじょうが悪化あっかして人工じんこう呼吸こきゅう器きが必要ひつようになった患者かんじゃが少すくなくとも３さん人にん、亡なくなった患者かんじゃは２に人にんだったということで、この薬くすりを使つかわない場合ばあいに比くらべて悪化あっかする割合わりあいを下さげられる可能かのう性せいがあるとしています。

土井どい教授きょうじゅは、「既存きそん薬やくで改善かいぜんしたケースも出でてきているが、有効ゆうこう性せいを確たしかめるには、薬くすりの投与とうよがない患者かんじゃとの比較ひかくや投与とうよするタイミングなどの検証けんしょうが今後こんご必要ひつようだ」と話はなしています。

「医療いりょう崩壊ほうかい」防ふせぐうえで役割やくわりも

国くにの研究けんきゅう班はんの班長はんちょうとしてぜんそく薬やくの「オルベスコ」を患者かんじゃに投与とうよする臨床りんしょう研究けんきゅうに関かかわる愛知あいち医科いか大学だいがくの森島もりしま恒雄つねお客員きゃくいん教授きょうじゅは、「今回こんかいのデータだけではまだ断定だんていはできないが、オルベスコを投与とうよすることで、重症じゅうしょうの肺炎はいえんになって人工じんこう呼吸こきゅう器きが必要ひつようになる患者かんじゃを減へらせる可能かのう性せいがある。全国ぜんこくで感染かんせん拡大かくだいが続つづく中なか、医療いりょう機関きかんで受け入うけいれ可能かのうな患者かんじゃ数すうを超こえて患者かんじゃを助たすけられなくなる『医療いりょう崩壊ほうかい』を防ふせぐうえで、重要じゅうような役割やくわりを持もつ薬くすりと考かんがえられるので、さらに分析ぶんせきを進すすめたい」と話はなしています。