日本新聞: 菅首相ワクチン分配国際的枠組みに新たに8億ドル拠出を表明

菅かん首相しゅしょうワクチン分配ぶんぱい国際こくさい的てき枠組わくぐみに新あらたに8億おくドル拠出きょしゅつを表明ひょうめい

Jun 2, 2021 23:06

Furigana

新型しんがたコロナウイルス対策たいさくをめぐり、菅かん総理そうり大臣だいじんは、日本にっぽんが国際こくさい団体だんたいと共催きょうさいする首脳しゅのう級きゅう会合かいごう「ワクチンサミット」で、ワクチンを分配ぶんぱいする国際こくさい的てき枠組わくぐみに、新あらたに8億おくドルを拠出きょしゅつし、合あわせて10億おくドルの貢献こうけんを行おこなうことを表明ひょうめいしました。

「ワクチンサミット」は、ワクチンへの公平こうへいなアクセスを確保かくほするため、必要ひつような資金しきんを調達ちょうたつできるよう、日本にっぽんと途上とじょう国こくでのワクチンの普及ふきゅうに取り組とりくむ国際こくさい団体だんたい「Gaviワクチンアライアンス」が共催きょうさいし、2日にち夜よる、オンライン形式けいしきで開ひらかれました。

サミットには、菅かん総理そうり大臣だいじんやアメリカのハリス副ふく大統領だいとうりょうのほか、国連こくれんのグテーレス事務じむ総長そうちょうや、マイクロソフトの創業そうぎょう者しゃで、みずからの寄付きふをもとに設立せつりつした慈善じぜん団体だんたいを拠点きょてんに貧困ひんこん対策たいさくや難病なんびょうの撲滅ぼくめつなどに取り組とりくんでいるビル・ゲイツ氏しらが参加さんかしました。

この中なかで、菅かん総理そうり大臣だいじんは「ワクチンへのアクセスが、国くにの置おかれた状況じょうきょうや経済けいざい力りょくによって左右さゆうされることは断だんじて許ゆるされない」と述のべ、ワクチンを分配ぶんぱいする国際こくさい的てき枠組わくぐみ「COVAXファシリティ」のもとで、120を超こえる国くにと地域ちいきに、合あわせて7600万まん回分かいぶん以上いじょうのワクチンが供給きょうきゅうされていると説明せつめいしました。

そのうえで「われわれが直面ちょくめんする危機ききを乗り越のりこえていくためには、さらなる連帯れんたいとコミットメントが求もとめられる。わが国わがくには、安全あんぜんで効果こうか的てきなワクチンを公平こうへいに、より多おおくの人々ひとびとに届とどけることを全面ぜんめん的てきに支援しえんしていく。ことし中ちゅうに18億おく回分かいぶん、途上とじょう国こくの人口じんこう30％分ぶんのワクチンを確保かくほする目標もくひょうを達成たっせいするため、皆みなさんとともに力強ちからづよい一いち歩ほを踏み出ふみだしたい」と述のべました。

そして菅かん総理そうり大臣だいじんは、ワクチンを分配ぶんぱいする国際こくさい的てき枠組わくぐみに新あらたに8億おくドルを拠出きょしゅつし、すでに拠出きょしゅつした額がくと合あわせて10億おくドルの貢献こうけんを行おこなうとしたうえで「変異へんい株かぶの拡大かくだいやワクチン供給きょうきゅうの遅おくれといった厳きびしい現状げんじょうを踏ふまえ、環境かんきょうが整ととのえば、しかるべき時期じきに、わが国わがくにで製造せいぞうするワクチンを3000万まん回分かいぶんをメドとして、COVAXなどを通つうじ、各国かっこく・地域ちいきに対にたいして供給きょうきゅうを行おこなっていく考かんがえだ」と表明ひょうめいしました。

このあと、ほかの国くになどからも支援しえんが表明ひょうめいされ、菅かん総理そうり大臣だいじんは会合かいごうの締しめくくりに、途上とじょう国こくの人口じんこうの少すくなくとも30％分ぶんを確保かくほするために目標もくひょうとしていた83億おくドルを大おおきく超こえる額がくが確保かくほできたと明あきらかにしました。

菅かん総理そうり大臣だいじんは、総理そうり大臣だいじん官邸かんていで記者きしゃ団だんに対にたいし「大おおきな目標もくひょうを達成たっせいできた。引き続ひきつづき、ワクチンへの公平こうへいなアクセスが世界せかいの中なかでできるように、政府せいふとしてもしっかりと取り組とりくんでいきたい」と述のべました。

国連こくれん事務じむ総長そうちょう「接種せっしゅされたワクチンの75％は10か国かこくに」

ワクチンサミットに寄よせたビデオメッセージの中なかで、国連こくれんのグテーレス事務じむ総長そうちょうは、ワクチン格差かくさについて「接種せっしゅされた新型しんがたコロナウイルスのワクチンの75％は10か国かこくに占しめられている。貧まずしい国くにでは医療いりょう従事じゅうじ者しゃや病気びょうきを抱かかえている人々ひとびとにさえ届とどいていない」と指摘してきしました。

一方いっぽうで、ワクチンを公平こうへい分配ぶんぱいする国際こくさい的てきな枠組わくぐみ「COVAXファシリティ」は、これまでに7200万まん回分かいぶんのワクチンを125か国かこくに分配ぶんぱいしてきたと説明せつめいしました。

そのうえで「あと16億おくドルの資金しきんがあれば18億おく回分かいぶんのワクチンを中ちゅう低てい所得しょとく国こくに分配ぶんぱいできる」と述のべて、国際こくさい社会しゃかいによるさらなる資金しきん支援しえんが必要ひつようだと訴うったえました。

米べい副ふく大統領だいとうりょう「世界中せかいじゅうで接種せっしゅ進すすむよう協力きょうりょく」

ワクチンサミットで演説えんぜつしたアメリカのハリス副ふく大統領だいとうりょうは「世界せかい的てきな感染かんせん拡大かくだいで明あきらかになったのは、世界せかいが相互そうごに結むすびつき、依存いぞんし、ぜい弱ぜいじゃくだということだ。私わたしたちの将来しょうらいは、世界せかい的てきな危機ききに私わたしたちがどのように立ち向たちむかうかにかかっている」と述のべました。

そのうえで「今いまも新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが続つづき、人々ひとびとが日々ひび、命いのちの危険きけんにさらされている。だからこそ、世界中せかいじゅうの国々くにぐにでワクチン接種せっしゅができるだけ早はやく進すすむよう、協力きょうりょくしなければならない」と強調きょうちょうし、各国かっこくに世界せかい的てきなワクチンの公平こうへいな分配ぶんぱいへの協力きょうりょくを加速かそくさせるよう呼よびかけました。

世界せかいと日本にっぽんのワクチンめぐる支援しえんは

ワクチンを分配ぶんぱいする国際こくさい的てき枠組わくぐみの「COVAXファシリティ」は、ことし中ちゅうに途上とじょう国こくの人口じんこうの30％にあたる18億おく回分かいぶんのワクチンを供給きょうきゅうする目標もくひょうを掲かかげていて、必要ひつような資金しきんは83億おくドルとされています。

日本にっぽんは去年きょねん9月つき、この枠組わくぐみへの参加さんかをいち早いちはやく表明ひょうめいして、世界せかい初はつの拠出きょしゅつ国こくとなり、これまでに2億おくドルを拠出きょしゅつしています。

各国かっこくの拠出きょしゅつ額がくはことし5月つき30日にち時点じてんで、

▼最もっとも多おおいアメリカが25億おくドル、

▼2位いのドイツが9億おくドル余あまり、

▼3位いのイギリスが7億おくドル余あまりなどとなっていますが、

すべての国くにや地域ちいきを合あわせても70億おくドルと、目標もくひょうには届とどいていませんでした。

こうした中なかで、日本にっぽんが新あらたに8億おくドルを追加ついかで拠出きょしゅつすることになり、これまでと合あわせた拠出きょしゅつ額がくは10億おくドルとなります。

不足ふそくしていた分ぶんのかなりの部分ぶぶんを補おぎなえるうえ、合計ごうけいの拠出きょしゅつ額がくも世界せかい有数ゆうすうの規模きぼとなります。

ワクチンをめぐっては、中国ちゅうごくやロシアが自国じこく企業きぎょうによる開発かいはつを推進すいしんし、幅広はばひろい地域ちいきに自国じこく製せいの製品せいひんを配布はいふする独自どくじの「ワクチン外交がいこう」を展開てんかいしていますが、日本にっぽん政府せいふは今後こんごも国際こくさい的てきな枠組わくぐみを通をつうじて支援しえんを続つづけていく考かんがえです。

このほか日本にっぽんは「コールドチェーン」と呼よばれる低温ていおんでの輸送ゆそう網もうを途上とじょう国こくに整備せいびする支援しえんにも取り組とりくんでいて、東南アジアとうなんあじあやアフリカなどの国々くにぐにに合あわせて87億おく円えんを拠出きょしゅつして、ワクチンの保冷ほれい設備せつびの購入こうにゅうなどに充あててもらっています。