ちち関係かんけいおも

Easy Japanese news
N3 Oct 12, 2025 03:10 502
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わたしっている寿司屋すしやわか主人しゅじんは、くなったかれ父親ちちおやを、いまだに尊敬そんけいしている。んだ肉親にくしんのことはおおくの場合ばあい美化びかされるのが普通ふつうだから、かれ父親ちちおや追憶ついおくもそれではないかといていたが、そのうちかんがえがわってきた。高校こうこうときからかれ父親ちちおや寿司すしにぎりかた、めしのたきかた――寿司屋すしやになるすべてをならった。父親ちちおやかれめしのたきかたが下手へただとそれをひっくりかえすぐらいきびしかったが、なんといってもうでがあるから文句もんくはいえない。だがある、たまりかねて「なぜぼくだけにつらたるんだ」ときくと、「おれ子供こどもだからつらたるんだ」といかえされたとう。父親ちちおやに、一人前いちにんまえになってみせをついでみると、そのつらたられた技術ぎじゅつやくにたち、なるほど、なるほどとかれはわかったそうである。わたしはこの若主人わかしゅじんはなしくたびにうらやましいとこころそこからおもう。そこには我々われわれがある意味いみ理想りそうとする父親ちちおや子供こども関係かんけいがあるからである。子供こどもはそのとき技術ぎじゅつだけではなく父親ちちおやかたまなんでいく。自分じぶんのつくる寿司すし妥協だきょうしない父親ちちおやめしのたきかたひとつにも誠意せいいをもってやる父親ちちおやかた技術ぎじゅつ同時どうじならっていく。それが本来ほんらい父親ちちおやというものだ。わたしがこの若主人わかしゅじんうらやましいとおもったのは、わたしには、自分じぶん息子むすこにそのような技術ぎじゅつおしえられぬからだ。
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