西日本にしにほん豪雨ごううから7年ねん 愛媛えひめ 各地かくちで献花けんか 犠牲ぎせい者しゃを悼いたむ

また、川かわが氾濫はんらんし犠牲ぎせい者しゃが出でた愛媛えひめ県けん大洲おおす市しでも、市役所しやくしょに献花けんか台だいが設もうけられ、訪おとずれた人ひとたちが犠牲ぎせい者しゃを悼いたみました。

宇和島うわじま市し 災害さいがい関連かんれん死しを含ふくめ県内けんない最多さいたの13人にんが犠牲ぎせいに

宇和島うわじま市しでは、西日本にしにほん豪ごう雨うにより、市内しないの各地かくちで住宅じゅうたくの浸水しんすいやかんきつ園地えんちの被害ひがいなどが発生はっせいし、特とくに吉田よしだ町まちでは土石流どせきりゅうが発生はっせいするなどして甚大じんだいな被害ひがいが出でました。

市しでは、災害さいがい関連かんれん死しを含ふくめて県内けんないで最もっとも多おおい13人にんの犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうしようと、7日にち、豪雨ごうう被害ひがいを伝つたえる石碑せきひのある公園こうえんに献花けんか用ようの花はなを準備じゅんびしました。

公園こうえんには午前ごぜん中ちゅうから町内ちょうないの人ひとなどが次々つぎつぎと献花けんかに訪おとずれ、白しろい菊きくの花はなを供そなえて静しずかに手てを合あわせていました。

職場しょくばの同僚どうりょうだった人ひとを亡なくしたという60代だいの女性じょせいは「雨あめが降ふるたびにこの日ひのことを思い出おもいだします。

当時とうじ、近所きんじょで土砂崩どしゃくずれが起おきたという50代だいの男性だんせいは「生々なまなましく覚おぼえています。

大洲おおす市し 災害さいがい関連かんれん死しを含ふくめ5人にん亡なくなる

大洲おおす市しでは、西日本にしにほん豪雨ごううで市内しないを流ながれる1級きゅう河川かせんの肱川ひじかわが氾濫はんらんし、災害さいがい関連かんれん死しを含ふくめて5人にんが亡なくなりました。

7日にち、市役所しやくしょのホールに献花けんか台だいが設もうけられ、二宮にのみや隆久たかひさ市長しちょうや市しの職員しょくいんなどおよそ30人にんが集あつまって黙もくとうをささげました。

この中なかで二宮にのみや市長しちょうは「災害さいがいの記憶きおくを決けっして風化ふうかさせず後世こうせいに語り継かたりついでいく」と述のべ、犠牲ぎせい者しゃを悼いたみました。

その後そのご、献花けんか台だいには地元じもとの人ひとたちが次々つぎつぎと訪おとずれ、涙なみだを浮うかべながら白しろい菊きくの花はなを手向たむけて手てを合あわせる人ひとの姿すがたも見みられました。

献花けんかに訪おとずれた大洲おおす市しの40代だいの女性じょせいは「当時とうじは早朝そうちょうから自宅じたくが床上ゆかうえまで浸水しんすいし、避難ひなん生活せいかつを送おくりました。

大洲おおす市しの80代だいの夫婦ふうふは「当時とうじは道路どうろが滝たきのような洪水こうずいで、同おなじ地区ちくの人ひとが亡なくなりました。

氾濫はんらんした肱川ひじかわで当時とうじ 水防すいぼう活動かつどうの消防しょうぼう団だん員いんにアンケート調査ちょうさ

7年ねん前まえの西日本にしにほん豪雨ごううの際さいに氾濫はんらんした愛媛えひめ県けんを流ながれる肱川ひじかわで当時とうじ、水防すいぼう活動かつどうにあたった消防しょうぼう団だん員いんを対象たいしょうにNHKがアンケート調査ちょうさを行おこなったところ、半数はんすう近ちかい団員だんいんが「活動かつどう中ちゅうに身みの危険きけんを感かんじた」と回答かいとうしました。

在7年前西日本暴雨期间发生泛滥的爱媛县肱川，NHK以当时参与防洪活动的消防团员为对象进行了问卷调查，结果显示，近一半的团员回答“在活动中感受到了生命危险”。

中なかには住民じゅうみんに避難ひなんを呼よびかけている間まに危険きけんにさらされたケースもあり、団員だんいんの安全あんぜんをどう守まもるのかが課題かだいとなっています。

有些情况下，在呼吁居民疏散的过程中，团员自身也面临危险，如何保障团员的安全成为一个课题。

西日本にしにほん豪雨ごううでは、中国ちゅうごく地方ちほうや四国しこくを中心ちゅうしんに犠牲ぎせい者しゃが300人にんを超こえ、愛媛えひめ県けんでも肱川ひじかわが氾濫はんらんしたり各地かくちで土砂崩どしゃくずれが起おきたりして大おおきな被害ひがいが出でました。

在西日本暴雨中，以中国地方和四国为中心，遇难者超过300人，在爱媛县也发生了肱川泛滥和各地的山体滑坡，造成了巨大的损失。

当時とうじ、水害すいがいから地域ちいきを守まもる活動かつどうに携たずさわった人ひとにはどのような課題かだいがあったのか。

当时，参与保护地区免受水灾的人们面临了哪些课题？

NHKは、5月つきから6月つきにかけて肱川ひじかわ流域りゅういきの大洲おおす市しと西にし予市し、それに内子うちこ町まちの消防しょうぼう団だんの幹部かんぶ365人にんを対象たいしょうにアンケート調査ちょうさを行おこない、7割わり余あまりにあたる263人にんから回答かいとうを得えました。

NHK对肱川流域的大洲市、西予市以及内子町的消防团干部共365人，于5月至6月期间进行了问卷调查，并收到了占七成多的263人的回复。

団員だんいんの半数はんすう近ちかく “身みの危険きけん感かんじた”

その結果けっか、西日本にしにほん豪雨ごううで活動かつどうにあたったと回答かいとうした198人にんのうち、「活動かつどう中ちゅう、自身じしんの身みに危険きけんを感かんじた」と答こたえた人ひとは49。

在198名表示曾在西日本暴雨期间参与活动的人中，近一半的团员表示“感受到了生命危险”，其中有49人回答说“在活动中感受到了自身的危险”。

5％にあたる98人にんに上のぼりました。

相当于5%的98人。

どのような活動かつどうで危険きけんを感かんじたか複数ふくすう回答かいとうで尋たずねたところ、

▽土どのうを積つむなどの「浸水しんすい・越水こしみず対策たいさく」が63人にんと最もっとも多おおく、

▽「河川かせんの巡回じゅんかい」が61人にん、

▽「避難ひなんの呼よびかけ、避難ひなん誘導ゆうどう」が48人にん、などとなりました。

在被问及在什么样的活动中感到危险（可多选）时，选择“堆放沙袋等防止浸水、溢水对策”的有63人，为最多；选择“河流巡查”的有61人，选择“呼吁避难、引导避难”的有48人，等等。

中なかには住民じゅうみんに避難ひなんするよう呼よびかけているうちに、予想よそう以上いじょうの早はやさで浸水しんすいが進すすんだり、近ちかくで土砂どしゃ災害さいがいが起おきたりしたケースもありました。

有些情况下，在呼吁居民疏散的过程中，洪水比预想的要快得多，或者附近发生了泥石流等灾害。

団員だんいんの71。

团员的71

2％ “活動かつどう中ちゅうに情報じょうほう共有きょうゆうに課題かだい感かんじた”

また、活動かつどうにあたった団員だんいんのうち71。

2%“在活动中感受到信息共享存在问题”，此外，参加活动的团员中有71

2％にあたる141人にんが「活動かつどう中ちゅうに情報じょうほう共有きょうゆうに課題かだいを感かんじたことがある」と回答かいとうしました。

有2%（即141人）表示在活动中曾感受到信息共享存在问题。

情報じょうほう共有きょうゆうが難むずかしかった内容ないようを複数ふくすう回答かいとうで尋たずねたところ、

▽「ほかの地域ちいきの被害ひがいの状況じょうきょう」が88人にん、

▽「河川かせんの水位すいいや氾濫はんらんに関にかんする情報じょうほう」が72人にんなどとなっていて、

被害ひがいが広域こういきに及およぶ中なかでの情報じょうほう共有きょうゆうの難むずかしさが浮き彫うきぼりになりました。

当被问及哪些内容在信息共享方面存在困难时，允许多项作答，结果显示，有88人选择了“其他地区的受灾情况”，有72人选择了“河流水位及泛滥相关信息”等，凸显出在灾害影响范围广泛的情况下，信息共享的难度。

“ひざ下かまで濁流だくりゅう” 危険きけんと隣り合となりあわせの活動かつどう続つづけた団員だんいんは

アンケートに回答かいとうした消防しょうぼう団だん員いんの中なかには、避難ひなんをためらう住民じゅうみんを説得せっとくしているうちにひざ下かまで濁流だくりゅうが迫せまるなど、危険きけんと隣り合となりあわせの活動かつどうを続つづけていた人ひともいます。

大洲おおす市し消防しょうぼう団だんの岡崎おかざき浩幸ひろゆき副ふく団長だんちょう（61）は7年ねん前まえ、肱川ひじかわ沿ぞいにある白滝しらたき地区ちくの分団ぶんだん長ちょうとして、およそ70人にんの団員だんいんを指揮しきしていました。

岡崎おかざきさんたちは7月つき6日にちの夜よるから川かわの近ちかくにある詰め所つめしょに泊まり込とまりこみ、土砂崩どしゃくずれが起おきた場所ばしょで土砂どしゃを取り除とりのぞいたり、浸水しんすいの危険きけんがある建物たてもののそばに土どのうを積つんだりする対応たいおうに追おわれていました。

翌朝よくあさには詰め所つめしょで浸水しんすいが始はじまったため、岡崎おかざきさんが裏うらにある倉庫そうこから発電はつでん機きや携帯けいたいトイレなどを運び出はこびだしていたところ、岡崎おかざきさんの足元あしもとに水みずが流れ込ながれこんだということです。

瞬まばたく間まに腰こしの上うえまでつかる深ふかさになって岡崎おかざきさんは流ながれに飲み込のみこまれそうになったといいます。

その後そのごも、岡崎おかざきさんはほかの団員だんいんとともに地区ちくを回まわり住民じゅうみんに避難ひなんを呼よびかけましたが、避難ひなんをためらう高齢こうれいの女性じょせいを説得せっとくしているうちに濁流だくりゅうがひざ下かまで迫せまってきたといいます。

最後さいごには女性じょせいの手てを引ひいて避難ひなんし、岡崎おかざきさんの住すむ地区ちくで逃にげ遅おくれた人ひとはいませんでした。

危険きけんと隣り合となりあわせの活動かつどうを続つづける中なか、岡崎おかざきさんは情報じょうほう収集しゅうしゅうにも課題かだいを感かんじたといいます。

当時とうじ、岡崎おかざきさんは団員だんいんとのやりとりを携帯けいたい電話でんわで行おこなっていましたが、活動かつどうに追おわれる中なかで電話でんわに出でられないことが多おおく、雨あめの音おとで防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせんも聞きこえなかったため、地区ちく全体ぜんたいの被害ひがいやほかの団員だんいんの安否あんぴ状況じょうきょうを把握はあくするのは簡単かんたんではありませんでした。

あとになって高台たかだいの寺てらから地域ちいきを見渡みわたした際さい、被害ひがいの大おおきさを実感じっかんしたということです。

岡崎おかざきさんは「みるみるうちに水位すいいが上あがり危あぶないところだった。

団員だんいんの安全あんぜん守まもる新あらたな取り組とりくみも始はじまる

西日本にしにほん豪雨ごううでの経験けいけんを教訓きょうくんに、活動かつどう中ちゅうの団員だんいんたちの安全あんぜんを守まもるため新あらたな取り組とりくみも始はじまっています。

大洲おおす河川かせん国道こくどう事務所じむしょは、肱川ひじかわ流域りゅういきの大洲おおす市しと西にし予市し、それに内子うちこ町まちの消防しょうぼう団だんなどと合同ごうどうで、お互おたがいの位置いち情報じょうほうなどをスマートフォンで共有きょうゆうできる「デジタル水防すいぼう」という新あたらしいシステムを開発かいはつし、ことしから本格ほんかく的てきに導入どうにゅうしました。

「LINE」を使つかったこのシステムは、▽トーク画面がめんから河川かせんの水位すいいや気象きしょう警報けいほうなどの情報じょうほうをワンタッチで取得しゅとくできるほか、▽活動かつどうする団員だんいんの位置いち情報じょうほうや現場げんばで撮影さつえいした写真しゃしんなどを共有きょうゆうして、地図ちず上じょうで確認かくにんすることができます。

ことし4月つきには団員だんいんたちが参加さんかしてシステムの体験たいけん会かいが開ひらかれ、情報じょうほう共有きょうゆうをスムーズに進すすめることで団員だんいんの安全あんぜんの向上こうじょうにつながると期待きたいされています。

肱川ひじかわ流域りゅういきの消防しょうぼう団だんでは西日本にしにほん豪雨ごううのあと、土どのう積づみやロープワークなどの水防すいぼう技術ぎじゅつを学まなぶ演習えんしゅうも定期ていき的てきに行いっていて、こうした場ばでもシステムで位置いち情報じょうほうを共有きょうゆうする訓練くんれんを取り入とりいれているということです。

西日本にしにほん豪雨ごううで活動かつどうにあたった大洲おおす市し水防すいぼう団だんの矢野やの正ただし※カズ団長だんちょうは「西日本にしにほん豪雨ごううで迅速じんそくな情報じょうほう収集しゅうしゅうができていたらもっと早はやく住民じゅうみんの避難ひなんができたのではないかと感かんじています。

※「カズ」は、「祥さち」のへんが「示」

専門せんもん家か “住民じゅうみんみずから危険きけん迫せまる前まえの避難ひなん徹底てっていが最もっとも重要じゅうよう”

アンケートの結果けっかについて、愛媛えひめ大学だいがく防災ぼうさい情報じょうほう研究けんきゅうセンターの森脇もりわき亮あきら教授きょうじゅは「思おもっていた以上いじょうに危険きけんを感かんじていた団員だんいんが多おおく、犠牲ぎせい者しゃが出でていてもおかしくない災害さいがいだった」と指摘してきしています。

避難ひなんの呼よびかけ中ちゅうに危険きけんを感かんじた団員だんいんが多おおかったことについては「避難ひなん誘導ゆうどうをやり遂やりとげようとするあまり、自分じぶんの危険きけんを顧かえりみなくなってしまうこともある。

そのうえで、森脇もりわき教授きょうじゅは「住民じゅうみんが安全あんぜんな場所ばしょへ避難ひなんできていれば、団員だんいんが危険きけんな中なかで呼こびかけをしなくてもすむため、住民じゅうみんみずからが危険きけんが迫せまる前まえに避難ひなんを徹底てっていすることが最もっとも重要じゅうようだ」と話はなしています。

“立ち止たちどまって行動こうどう判断はんだんに「デジタル水防すいぼう」など役に立やくにたつ”

活動かつどう中ちゅうの情報じょうほう共有きょうゆうの課題かだいについては「ほかの地域ちいきでどんな被害ひがいが起おきているかや、これからどうなるのかという情報じょうほうが入手にゅうしゅしやすくなれば、活動かつどうの判断はんだんがしやすくなる。