リビア方式は、かつて北アフリカのリビアで大量破壊兵器を放棄させたことを前例に、まず核兵器の放棄を実行するよう迫り、それに応じたあとに制裁の解除などの見返りを与える考え方です。
トランプ大統領は、ボルトン氏がこの方式を持ち出したことに北朝鮮が反発し、交渉が大きく後退したとしていて、「キム・ジョンウン(金正恩)委員長が反発したことを責めるつもりはない。そのようなことは言うべきではなかった」と述べ、ボルトン氏を批判しました。
一方、強硬派のボルトン氏の解任で注目されるイランへの経済制裁の緩和の可能性についてトランプ大統領は、「どうなるか見てみよう。取り引きができることを望んでいる」と述べ、含みを持たせました。
またボルトン氏の後任についてトランプ大統領は、「高く評価している候補が5人いる」と明らかにしたうえで、来週発表するとしています。
安全保障担当の大統領補佐官は外交・安全保障政策の要となる重要ポストで、トランプ大統領が来年の大統領選挙も見据え、外交的な成果を模索する中、後任に誰を起用するのか注目されています。
解任はイラン制裁緩和反対が引き金か
アメリカのメディア、ブルームバーグは11日、経緯に詳しい関係者の話として、ボルトン氏が解任の前日に開かれた会議で、イランへの経済制裁の緩和に強く反対したことが引き金になったという見方を伝えました。
記事によりますと、会議は9日、ホワイトハウスの大統領執務室で行われました。今月、ニューヨークで開かれる国連総会に合わせてトランプ大統領とイランのロウハニ大統領との首脳会談を実現させるため、イランへの制裁を緩和すべきか話し合いましたが、ボルトン氏はこれに強く反対したということです。
これに対して政権内では、ムニューシン財務長官が制裁の緩和に支持を表明したということです。トランプ大統領は、その日のうちにボルトン氏の解任を決めたとしています。
報道についてホワイトハウスは今のところ、公式の反応は示していませんが、ブルームバーグの記事は、交渉による取り引きを重視するトランプ大統領と、あくまでも圧力を強めることに固執するボルトン氏との間で、溝が広がったことをうかがわせています。