そのうえで今回のケースでは、再雇用の場合、役職に就くことも想定されていないことなどから「正社員の基本給とは異なる性質や支給の目的があるとみるべきだ」と指摘しました。
そして、こうした性質などの違いについて2審は十分に検討していないとして、名古屋高等裁判所で審理をやり直すよう命じました。
正規雇用と非正規雇用の賃金格差をめぐっては、これまでに賞与や手当に関する最高裁の判断はありますが、基本給について判断が示されたのは初めてです。
原告側の中谷雄二弁護士は「この裁判は1審から多くの企業に影響を与えたが、『正社員の60%で許される』という悪い使われ方もした。『基本給の性質や目的を明確にしなさい』と最高裁が示したことで、ほかの企業や労働者にとっても目安になると思う」と話しています。 一方、名古屋自動車学校は「担当者が不在なのでコメントを控える」としています。
また、「少子化で人手不足になり高齢者の役割が重要になる中、企業によっては定年を延ばして正社員と同じような待遇にそろえる動きも見られる。これまで再雇用はするけど賃金を大きく下げるというところも多かったが、判決が示した方向性は高齢者雇用の観点からも重要だ」と話していました。
原告側「ほかの企業や労働者にとっても目安に」
専門家「制度設計すべきだというメッセージ出した」
