大津おおつ 園児えんじ死亡しぼう事故じこ 裁判さいばんに参加さんかした被害ひがい女児じょじの母親ははおやの手紙てがみ 全文ぜんぶん

事故じこ当時とうじのことについて

娘むすめが保育園ほいくえんに入園にゅうえんしたのは、昨年さくねんの４月しがつ、１いち歳児さいじクラスからになります。

入園にゅうえん当初とうしょは、もうすぐ２に歳さいを迎むかえるころでしたが「パパ」「ママ」もまだはっきり言いえない程ほどだったのを覚おぼえています。

事故じこ当時とうじは５月ごがつだったので娘むすめは、３さん歳さいになったばかりでした。この１いち年ねんで保育園ほいくえんにも慣なれて、言葉ことばも沢山たくさん話はなすようになり、お友達ともだちも増ふえて毎日まいにち、保育園ほいくえんに行いくのを楽たのしみにしていました。前日ぜんじつの夜よるも、当日とうじつの朝あさも「保育園ほいくえん行いく！！」と嬉うれしそうにしていたのを覚おぼえています。

娘むすめが受うけた被害ひがいと現在げんざいの様子ようす

病院びょういんに搬送はんそうされた時ときに医師いしから受うけた説明せつめいでは、左ひだり骨盤こつばんと左ひだり大腿だいたい骨ぼねの骨折こっせつ。顎あごの擦り傷すりきずと左ひだりのおでこには、たんこぶが出来できていて、動うごかせる状態じょうたいではなかったので私わたしは確認かくにんできませんでしたが、背中せなかに打撲だぼく痕こんが何なんか所かしょかあったそうです。

骨盤こつばんの骨折こっせつをしたことで、動うごいてしまうと内うち出血しゅっけつを起おこす可能かのう性せいがあり、胸むね下かから左ひだり足首あしくびまでギプスをつけることになりました。丁度ちょうど、８はち週間しゅうかん経たった頃ころにやっとギプスが外はずれました。現在げんざいも入院にゅういんはしていますが、遊あそびの中なかでリハビリをしている状態じょうたいです。

「痛いたくないよ！」と言いいながら健気けなげに頑張がんばって歩あるいていますが、長ながい期間きかんギプスをしていた事ことにより、筋肉きんにくは痩やせてしまい、ギプスで固定こていされていた時ときの様ように左足ひだりあしは真まっすぐではなく、外側そとがわに開ひらいた様ような状態じょうたいで足あしを引ひきずって歩あるいています。

その為ため、暫しばらくするとやはり「足あしが痛いたい。抱だっこして！」と床ゆかに座り込すわりこんでしまいます。これから成長せいちょうしていく娘むすめが元もとの状態じょうたいに戻もどるのは、まだどのくらいかかるのか分わからない状態じょうたいです。

事故じこ直後ちょくごと約やく２にか月かげつ後ごの現在げんざいの様子ようす

事故じこから何なん日にちかは怖こわい夢ゆめを見みるのか数すう時間じかんおきに夜泣よなきもしました。赤あかちゃんの頃ころでも夜泣よなきはなかったので、何なん度ども飛び起とびおきました。

ただ暫しばらくは、怪我けが以外いがいは普段ふだん通どおりの娘むすめの様子ようすだったので、あまり事故じこの事ことを覚おぼえていないのか、自分じぶんの中なかで無意識むいしきに忘わすれてしまおうとしているのか…私わたしには分わかりませんでした。

時間じかんが過すぎていく中なかで、娘むすめは寝ねたきりのまま自由じゆうに動うごけない状態じょうたいや痛いたみで３さん日にちに１いち度どのペースでフラストレーションが爆発ばくはつし、ものすごい癇癪かんしゃくを起おこし、泣き叫なきさけび、大好だいすきなアンパンマンのぬいぐるみをベッドの外そとへ投げ飛なげとばしたり、ベッドを両手りょうての拳こぶしで叩たたきつけるなど今いままでに見みたことのない姿すがたを見みました。少すこしでも私わたしが離はなれると「ママ！！どこ！」と泣ないたり、私わたしの腕うでを力ちからいっぱい掴つかんで離はなれたくないという出来できる限かぎりのアピールをしていました。

自宅じたくでは一切いっさい無なかったのが、病院びょういんで少すこしでも目めを離はなすと絵本えほんやシールが貼はってある紙かみ類るいのおもちゃを破やぶって食たべてしまいました。その為ため、病室びょうしつには一切いっさい、紙かみ類るいのものは置おくことが出来できなくなり、買かったおもちゃも１いち日にちですぐに壊こわされてしまう為ため、壊こわしては買かうの繰り返くりかえしでした。

何なによりも一番いちばん辛つらかったのは、「ママ抱だっこ！」と言いわれても横抱よこだきで持ち上もちあげることしか出来できなかったことです。それでも必死ひっしにしがみついてくる娘むすめの姿すがたに何なん度ども涙なみだしました。

１いちか月かげつが経過けいかして痛いたみという部分ぶぶんは薄うすれてきた為ため、身体しんたいの傷きずにフォーカスしていたのが、今度こんどは心こころの傷きずというのが徐々じょじょに現あらわれてきていました。病院びょういんのプレイルームで数すう日にち前まえはプラレールで遊あそんでいましたが、電車でんしゃでも自分じぶんに向むかって迫せまってくるものに対にたいしての拒否きょひ反応はんのうが見みられるようになっていました。

いつもぬいぐるみを使つかったごっこ遊あそびが好すきですが、自分じぶんが持もっているぬいぐるみを全部ぜんぶうつ伏うつぶせにして、「痛いたい痛いたい！車くるまが来きたよーよ-！」「落おちるー！ママ助たすけてー」と事故じこを再現さいげんするかのように遊あそぶという兆候ちょうこうも見みられていました。

２にか月かげつが経たった今いまは、まだ「車くるまが来くる」「痛いたい」「落おちる」といったものが遊あそびの中なかには出でてきますが、「病院びょういんに行いけば治なおる」と自分じぶんの中なかで解決かいけつするようになったようです。

入院にゅういんによるストレスは今いまもあります。そして外泊がいはくを最近さいきん試こころみてみましたが、自宅じたくに帰かえると常つねに私わたしが傍はたにいないと不安ふあんになる様ようです。「ママー！どこいったの？？」とトイレに行いっても常つねに居場所いばしょを確認かくにんするために大声おおごえで呼よびます。

どちらかというとパパっこだと思おもっていましたが、今いまは「パパはいや。ママがいい。」と言いいます。

娘むすめが「保育園ほいくえんに行いきたい！」と何なん度ども言いうので、少すこし遊あそびに連つれて行いってみましたが、部屋へやに入にゅうろうとせず、「怖こわい」と言いったりしていました。

お友達ともだちを見みつけて中なかに入はいったものの、私わたしが少すこしでも立ち上たちあがると「ママ座すわって！！ダメ！」と泣ないて離はなれようとはしません。２にか月かげつが経たっても、娘むすめの中なかで恐怖きょうふはやはり消きえないのかなと思おもいます。

事故じこそのものの受け止うけとめや加害かがい者しゃへの思おもい

この２にか月かげつで証拠しょうこ品ひんやドライブレコーダー等とう、事故じこに関にかんするものを目めにしてきました。それでも正直しょうじきまだ、これが現実げんじつだと受け止うけとめきれない部分ぶぶんがあります。娘むすめが保育園ほいくえんに登とう園えんして１いち時間じかんほどの出来事できごとです。それまで当たり前あたりまえだった日常にちじょうが一変いっぺんしてしまったのです。

「よくある右みぎ直ちょく事故じこ」と言いわれても、何故なぜあの場所ばしょで、あの時間じかんで子供こども達たちや先生せんせい達たちが被害ひがいに遭あわなければならなかったのか。何なにも納得なっとく出来できる事ことなんて有ありません。

右折うせつドライバーの有り得ありえない運転うんてんでこの様ような甚大じんだいな被害ひがいを被こうむった事ことは、一生いっしょう許ゆるせないでしょう。

直進ちょくしんドライバーに関にかんしても刑事けいじ罰ばつに関にかんして不ふ起訴きそになっただけであって、気きを付つけるべき事ことが何なにもなかった訳わけではないと思おもっているので、許ゆるすことは出来できないと思おもっています。

何なによりも私わたしは、加害かがい者しゃが自分じぶんを守まもることに必死ひっしで、私わたし達たちに対にたいしての謝罪しゃざいが遅おそかったことや形式けいしき的てきなものであったことに憤いきどおりを感かんじています。絶対ぜったいに許ゆるせません。

ドライブレコーダーでの様子ようすも、子供こどもたちが下敷したじきになった状態じょうたいのまま、すぐに車くるまから出でて助たすけようともしなかったのを見みて、「どうしてよいかわからなかった」「パニックだったから」という言葉ことばで済すまさないで欲ほしいです。

あんなに皆みなが叫さけんでいるのが聞きこえなかったなんてありえないのです。あの場ばで同おなじように轢ひかれた先生せんせい方かたもすぐに足あしを引ひきずりながら必死ひっしで子供こどもたちを助たすけようとしていたんです。

子供こどもたちは、轢ひかれた衝撃しょうげきよりも圧迫あっぱくされた事ことで死傷ししょうに至いたったのなら、「直進ちょくしん車しゃは、被害ひがい者しゃの一いち人にんだ」で済すまされるのでしょうか？

右折うせつドライバーに関にかんしては、２に週間しゅうかん近ちかく経たって相手あいて側がわの弁護士べんごしから「直接ちょくせつ謝罪しゃざいをしたい」という連絡れんらくが来きました。

私わたしたちは、もっと早はやくに直接ちょくせつ謝罪しゃざいしたいと言いってくるだろうと思おもっていました。拒否きょひしましたが続つづけて言いわれたのが「実じつは謝罪しゃざいの手紙てがみを前まえから用意よういしている」ということでした。

引ひっかかったのは「前まえから用意よういしていた手紙てがみ」です。私わたし達たちが事故じこ後ご間まもなく、心身しんしんともに余裕よゆうがないと思おもわれていたのかもしれませんが、１いち週間しゅうかんも経たった辺あたりから、相手あいてから何なにも音沙汰おとさたがないことに不安ふあんを感かんじ始はじめていました。

「まだ連絡れんらくが相手方あいてがたから来きませんか？」と何なん回かい聞きかれたことでしょう。やっと連絡れんらくがきた時ときに「前まえから用意よういをしていた」などと聞きかされたら、何故なぜすぐに連絡れんらくをしてこなかったんだと腹はらが立たちました。本人ほんにんは無理むりでも、誰だれかが出来できた筈はずです。

前まえを見みていたにも拘かかわらず、ありえないタイミングで本来ほんらい通とおらなければいけないレーンよりも内側うちがわを通とおって進すすんできたなんて信しんじられない運転うんてんです。ただの漫然まんぜん運転うんてんにしか感かんじられません。あの車くるまの動うごきからして、ブレーキから足あしを離はなしたクリープ現象げんしょうではなく、アクセルを踏ふんでいる状態じょうたいだと見みえます。右折うせつ時じに前まえも見みずにアクセルを踏ふむような人間にんげんが今いままでどんな運転うんてんをしてきたんだと思おもうと本当ほんとうに恐おそろしいです。

出来できるものなら、今いま、２に歳さい３さん歳さいという小ちいさな子供こども達たちが成長せいちょうする中なかで、大おおきく変化へんかするこの大事だいじな１いち日にち、１いち日にちの時間じかんを返かえしてくれと言いいたいです。命いのちを奪うばわれた子供こども達たちが過すごすはずだった大切たいせつな時間じかんを返かえしてくれと言いいたいです。

何故なぜ、子供こども達たちが、私わたし達たちが、先生せんせい達たちがこんな思おもいをしなければいけないのか、悔くやしくてたまりません。加害かがい者しゃ２に人にんには２に度どと、ハンドルを握にぎって欲ほしくはないと思おもっています。

被害ひがい者しゃ参加さんか制度せいどで裁判さいばんに臨のぞもうと考かんがえたきっかけ

被害ひがい者しゃ参加さんか制度せいどの説明せつめいを受うける前まえから、つまり最初さいしょから私わたしは裁判さいばんには臨のぞむつもりでいました。

突然とつぜん失うしなわれた命いのちや、怪我けがを負おわされた子供こども達たちのことを考かんがえると、この事故じこの真実しんじつを知しりたいという気持きもち、裁判さいばんを最後さいごまで自分じぶんの目めで絶対ぜったいに見届みとどけ、二度にどとこのような事故じこが起おこって欲ほしくないという思おもい、そして加害かがい者しゃが厳罰げんばつに処しょされるべきだと考かんがえているからです。何なにも言いえない子供こども達たちに代かわって私わたし達たち、親おやが戦たたかうべきだと私わたしは考かんがえています。

被告ひこくに対にたいしては、真実しんじつが全すべて暴あばかれて、自分じぶんが起おこしたこの甚大じんだいな結果けっかをしっかりと受け止うけとめ、反省はんせいすべきなのだということを理解りかいしてもらいたいです。何なにを心情しんじょうに訴うったえかけてこようと、私わたしは絶対ぜったいに許ゆるすつもりはありません。

事故じこの教訓きょうくんや社会しゃかいに望のぞむこと

今回こんかいの事故じこで思おもうのはやはり、徹底的てっていてきなドライバー（特とくに今回こんかいのような高齢こうれい者しゃや高齢こうれい者しゃに近ちかい方々かたがた）の意識いしき改革かいかくです。

ガードレールやポールをいくら設置せっちしても、ドライバーが変かわらなければ事故じこは絶たえないと思おもいます。必かならず誰だれしもが通とおらざるを得えない「老おい」は、気きづかずに反応はんのうが鈍にぶってしまっていたり、自分じぶんは大丈夫だいじょうぶだという驕おごりの気持きもちから事故じこが絶たえないのが事実じじつです。

今回こんかいの事故じこも、反応はんのうの鈍にぶりや、いつも通かよっている道みちだから大丈夫だいじょうぶだと油断ゆだんしていたところもあったのではないかと思おもっています。ハンドルを握にぎるということに、強つよい自覚じかくと責任せきにんを持もって欲ほしいです。

その為ために、ドライバーの講習こうしゅう、シミュレーター等とうを使つかうなどして適性てきせい能力のうりょく検査けんさをする等ひとし、強化きょうかして欲ほしいと思おもっています。

只ただ、それだけでなく、保育園ほいくえん、学校がっこうなどスクールゾーン等とうの近ちかくには、制限せいげん速度そくどの低減ていげん、防護ぼうご柵しがらみの設置せっち、注意ちゅうい喚起かんきの看板かんばんの設置せっち、ハンプ等とうが設置せっちされればと思おもっています。

たとえどんな対策たいさくをしても、世の中よのなかから交通こうつう事故じこがなくなることはないと思おもっています。ただ、同おなじような不幸ふこうな事故じこが二度にどと起おきないよう、十分じゅうぶんな対策たいさくをして欲ほしいと考かんがえています。

罪つみのない命いのちが失うしなわれるような事故じこが起おこってしまってからでは、何なにもかも遅おそすぎます。予測よそくができない事故じこであるからこそ、できる限かぎりの想定そうていをしておくべきだと思おもいます。

想定そうてい外がいを想定そうてい内ないに変かえていく為ためには、当たり前あたりまえですが、事前じぜんに想定そうていしておくしか方法ほうほうはないと思おもっています。世の中よのなかのドライバーに対にたいして、ハンドルを握にぎる時ときには、この悲惨ひさんな事故じこを思い出おもいだして欲ほしいと願ねがっています。

今いま、必要ひつようだと思おもう社会しゃかい的てき支援しえん

今回こんかいの様ように、小ちいさな子供こどもが被害ひがいに遭あった場合ばあい、色々いろいろな事ことで悩なやむことが多おおいです。

子供こども達たちが以前いぜんの様ように保育園ほいくえんに通かよえるようになるまで、日々ひびの様子ようすを病院びょういんの様ように見みてもらえるカウンセラーが必要ひつようであったり、母親ははおやから離はなれようとしない子供こどもがいると必然ひつぜん的てきに仕事しごとに行いけず、それをどう対処たいしょすればよいのかを常つねに相談そうだん、ケア出来できる方ほうがいない事ことなどです。

ホームヘルパーや、ベビーシッターの利用りようも検討けんとうはしましたが、やはり見ず知みずしらずの他人たにんを自宅じたくに、情緒じょうちょ不安定ふあんていな子供こどもと２に人にんきりにしたままで、両親りょうしんが仕事しごとに行いくのは、いかがなものかと思おもいましたし、何なにより、心こころから安心あんしんはできないだろうという結論けつろんに至いたりました。

また、市しの被害ひがい者しゃ支援しえんセンターなども協力きょうりょく的てきではあるのですが、基本きほん的てきには、助たすけて欲ほしいこと、何なにかして欲ほしいことを聞きいてくるだけなので、こちらとしては、実際じっさいに何なにができるのかを、まずははっきりとさせた上うえで、より柔軟じゅうなんな対応たいおうを求もとめています。

状況じょうきょうは、刻こく一いち刻こくと変化へんかしていきます。感情かんじょうをうまく吐き出はきだせない子供こどもが相手あいてなので、どのような心理しんり状態じょうたいなのか、今後こんごどうなっていくのか、そして、何なにを欲ほっしているのかを断定だんていするのが難むずかしい為ため、具体ぐたい的てきに必要ひつような社会しゃかい的てき支援しえんなどは、思おもいつかずにいます。