また、どのようなことに注意して過ごせばよいのか、社会部災害担当の若林勇希記者の解説です。
(9日のおはよう日本の解説内容をまとめました)
どの程度注意すればよい?
Q.「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)を発表した気象庁は地震への備えを改めて確認するよう呼びかけている。
戸惑った人もいると思うが、どの程度注意すればよいのか?
A.「巨大地震注意」は、巨大地震が発生する可能性が「ふだんよりも」高まっていることを示す情報です。楽観することはできませんが、一方で過度に恐れる必要もありません。
日頃からの地震の備え(後述)を改めて確認することが重要です。
Q.ふだんより巨大地震が発生する可能性が相対的に高いというのは、どの程度のものなのか?
A.南海トラフの巨大地震が発生した場合に、揺れと津波による被害が想定される地域は関東から沖縄までとかなり広いです。
国は南海トラフの巨大地震が、今後30年以内に70%から80%の確率で起きると評価しています。これを1週間以内に換算すると1000回に1回ということになります。
一方で、過去の世界の大規模地震の統計データでは、マグニチュード7.0以上の地震が起きたあと隣り合った領域で1週間以内にマグニチュード8クラス以上の地震が発生する頻度が数百回に1回程度あるということがわかっています。
つまり、ふだんは1000回に1回の確率が数百回に1回になっているということです。
また、『巨大地震が特定の期間に絶対起こるというものではない』ことにも注意が必要です。
具体的にどう行動?
Q.気象庁や専門家は1週間は注意するよう呼びかけている。具体的にどう行動するのがよいのか?
A.まず、宮崎県や鹿児島県など8日のマグニチュード7.1の大地震の震源に近い地域に住む人たちは、今後1週間程度は震度6弱程度の地震に注意し、家の倒壊や土砂災害の危険があることを意識してください。
さらに、臨時情報で注意が呼びかけられている巨大地震への備えとしては、▽家具の固定▽水や食料などの備蓄の確認▽家族との安否の確認方法などが挙げられます。この機会にあらためて確認しておくことが重要です。
また沿岸部では、地震による津波のおそれがあるため、スムーズに避難できるよう、あらかじめ避難場所などを確認しておく必要があります。
Q.夏休みの時期に情報発表となったが、予定の変更などは必要か。
A.基本的には日常の生活を続けてください。ただ例えば旅行や仕事などでふだん行かない場所を訪れる際は、事前に津波や土砂災害のハザードマップを確認し災害のリスクを把握しておくことが重要です。
さらに、お年寄りや体の不自由な方、小さな子どもがいる家庭や施設では、避難に時間がかかることも考えられます。
不安に思うようであれば安全な場所に避難しておくことも選択肢の1つだと思います。
繰り返しになりますが、何も無いまま1週間過ぎたからといって、巨大地震の危険性が去ったことを意味するわけではありません。
あらためて地震の備えを進めてほしいと思います。