女子シングルスの車いす、比較的障害が重いクラスで世界ランキング1位、23歳の里見紗李奈選手は2017年から本格的に競技に取り組み始め、わずか2年余りで世界選手権の優勝を果たした日本のエースです。
東京パラリンピックの金メダル獲得を目指して世界の舞台で活躍を続けてきましたが、感染拡大で去年3月から大会が相次いで中止になり今大会が1年10か月ぶりの国際大会。
競技歴が浅い里見選手にとって失った試合勘をどう取り戻せるかが、メダル獲得への最大のポイントでした。
しかし、予選リーグで世界5位 中国の19歳の選手にストレート負けし、その不安は現実のものとなりました。
原因は里見選手の制球が乱れてのミスでした。
「相手が攻めてくるのを待っていた。それがプレーに出てしまった」こう振り返った里見選手はメダルに近づくには自分が何をすべきか、この負けた試合から答えを導き出そうとしていました。
そして、迎えた4日の準決勝は手痛い負けを喫した尹選手との再戦となりました。
そこにいたのは2日前とは別人のような里見選手でした。
みずからラリーを主導し相手を前後に揺さぶって得意のコントロールの効いたショットを次々と決めストレート勝ちしました。
大会の中で、さらに成長し自分の強さを取り戻した日本のエースはその勢いのまま決勝で世界2位のタイの選手との接戦を逆転で制し、初代女王の称号をつかみ取りました。