日本新聞: タブレット端末に悪口自殺女児の両親「真実明らかに」

去年きょねん、東京とうきょう町田まちだ市しの小学校しょうがっこうに通かよっていた、6年生ねんせいの女の子おんなのこが同級生どうきゅうせいからいじめを受うけたとされる遺書いしょを残のこして自殺じさつしたことについて、女の子おんなのこの両親りょうしんがNHKの取材しゅざいに応おうじ「真実しんじつを明あきらかにして、娘むすめの死しをしっかり検証けんしょうしてもらいたい」と話はなしました。

「娘むすめの死し検証けんしょうがしっかりされているのか知しりたい」

去年きょねん11月つき、町田まちだ市しの小学しょうがく6年ねんの女の子おんなのこが、同級生どうきゅうせいからいじめを受うけたとされる遺書いしょを残のこして、自宅じたくで死亡しぼうしているのが見みつかりました。

19日にち、女の子おんなのこの両親りょうしんがNHKの取材しゅざいに応おうじ、両親りょうしんによりますと、複数ふくすうの同級生どうきゅうせいの話はなしで、授業じゅぎょうで使つかうために学校がっこうから1人にん1台だい配くばられたタブレット端末たんまつのチャット機能きのうを使つかい、女の子おんなのこに対にたいし「うざい」とか「きもい」などの悪口わるぐちの書き込かきこみがあったということです。

両親りょうしんは、学校がっこうや市しの教育きょういく委員いいん会かいに対にたいし、書き込かきこみの内容ないようについて、アクセスの履歴りれきなどを調査ちょうさしてほしいと要望ようぼうしていますが、当時とうじの校長こうちょうから「履歴りれきが残のこっていない」と言いわれるなど、これまでに納得なっとくのいく説明せつめいは得えられていないとしています。

また、亡なくなるおよそ2か月かげつ前まえの9月つきに学校がっこうが行おこなった、生活せいかつの悩なやみに関にかんするアンケートに、女の子おんなのこが友人ゆうじん関係かんけいの悩なやみを記述きじゅつしたことから、当事者とうじしゃどうしで話し合はなしあう場ばが設もうけられたということを、女の子おんなのこが亡なくなったあとに学校がっこう側がわから聞きいたということです。

両親りょうしんによりますと、その話し合はなしあいの10日にち後ごに女の子おんなのこが遺書いしょを書かき始はじめていることから、両親りょうしんは、学校がっこうがもっと早はやく適切てきせつな対応たいおうをしてくれていたら、娘むすめの死しを防ふせげたのではないかと悔くやんでいました。

両親りょうしんは「娘むすめが亡なくなってから9か月かげつ以上いじょうがたちますが、学校がっこうや教育きょういく委員いいん会かいなどから、誠意せいいある丁寧ていねいな対応たいおうをしてもらっているという認識にんしきは全まったくありません。同おなじような事態じたいが起おきる可能かのう性せいがあるなかで、娘むすめの死しの検証けんしょうがしっかりされているのか知しりたい」と話はなしていました。

また、学校がっこうで配付はいふされたタブレット端末たんまつに悪口わるぐちが書き込かきこまれたことについて「GIGAスクール構想こうそうで端末たんまつを推奨すいしょうするのであれば、それなりの内容ないようを構築こうちくしたうえで進すすめなければ危険きけんじゃないかと思おもう。端末たんまつを子こどもに渡わたすということは、家いえまでついてくるいじめにつながることなので、今回こんかいの件けんを知しって、大丈夫だいじょうぶなのかというところをしっかりと考かんがえてもらいたい」と訴うったえていました。

将来しょうらいの夢ゆめは“子育こそだて中ちゅうの母親ははおやが安やすらげるカフェ”

両親りょうしんによりますと、亡なくなった女の子おんなのこは、料理りょうりや動物どうぶつ好すきの優やさしい性格せいかくだったということです。

将来しょうらいの夢ゆめについて、ひんぱんに語かたり、子育こそだて中ちゅうの母親ははおやが安やすらげるカフェや食堂しょくどうを作つくりたいと、店内てんないの設計せっけい図ずやメニューまで披露ひろうし、両親りょうしんを驚おどろかせたといいます。

活発かっぱつで負けず嫌まけずぎらいな一いち面めんをのぞかせる場面ばめんもあり、女の子おんなのこが人工じんこうの壁面へきめんを登のぼる「ボルダリング」を体験たいけんした際さいには、何なん度ども失敗しっぱいを重かさねながら、決けっして諦あきらめずに挑戦ちょうせんし続つづける姿すがたが印象いんしょう的てきだったと話はなしていました。

女の子おんなのこの母親ははおやは「上うえの2人にんが男の子おとこのこの兄弟きょうだいで、強つよい希望きぼうで、やっとの思おもいでできた子こどもでした。将来しょうらいのことなど、いろいろと考かんがえることが好すきだったので、いつも夢ゆめの話はなしをキラキラした目めで語かたっていました。母ははと娘むすめ、女おんなどうしでしかできない会話かいわもいっぱいしてきました。学校がっこうであったできごとは楽たのしいことしかしゃべらず、1人にんで苦くるしんでいるとは、最後さいごまで分わからなかったです。責任せきにん感かんが強つよかったので、親おやに話はなせず、自分じぶんの中なかで解決かいけつしないといけないと苦くるしんでいたのだと思おもいます。気付きづいてあげられず、本当ほんとうにかわいそうなことをしてしまいました」と声こえを詰つまらせながら話はなしていました。

“学校がっこうによるパスワード管理かんりが不適切ふてきせつ”

両親りょうしんや代理人だいりにんの弁護士べんごしなどによりますと、女の子おんなのこが通かよっていた小学校しょうがっこうは市しが進すすめるICT教育きょういく推進すいしんのモデル校こうのひとつで、ほかの学校がっこうに先行せんこうして去年きょねん、6年生ねんせいの児童じどう1人にんにつき1台だいのタブレット端末たんまつが配付はいふされて授業じゅぎょうに活用かつようしていたということです。

今回こんかいの文部もんぶ科学かがく省しょうによる聞き取ききとりで、この学校がっこうでは当初とうしょ、すべての児童じどうが「123456789」と数字すうじを並ならべた同おなじパスワードを使つかって、タブレット端末たんまつを利用りようしていたことがわかっています。

同級生どうきゅうせいになりすましてログインして悪口わるぐちを書き込かきこんだり、ほかの子こどもたちが悪口わるぐちを閲覧えつらんしたりすることが可能かのうな状態じょうたいで、文部もんぶ科学かがく省しょうは学校がっこうによるパスワードの管理かんりが不適切ふてきせつだったと指摘してきしたほか、法律ほうりつにのっとって適切てきせつに対応たいおうするよう町田まちだ市しの教育きょういく委員いいん会かいなどを指導しどうしました。

町田まちだ市し教育きょういく委員いいん会かいによりますと、悪口わるぐちが書き込かきこまれたとされる端末たんまつのチャット機能きのうは授業じゅぎょうなどで利用りようしてはおらず、パスワードについては個別こべつのものに変更へんこうする対応たいおうをとったということです。

国くにから指導しどうを受うけたことについて、市し教育きょういく委員いいん会かいは「国くにや都との教育きょういく委員いいん会かいと連携れんけいを取とりながら遺族いぞくからの要望ようぼうについて丁寧ていねいな説明せつめいにあたりたい」とコメントしています。

一方いっぽう、町田まちだ市しの石いし阪ばん丈たけ一いち市長しちょうは22日にち、定例ていれい会見かいけんで、新あらたに弁護士べんごしや学識がくしき経験けいけん者しゃなど5人にんのメンバーで構成こうせいする調査ちょうさ委員いいん会かいを立たち上あげ、遺族いぞくの意向いこうに配慮はいりょしながら対応たいおうすることを明あきらかにしました。

石いし阪ばん市長しちょうは、「小学生しょうがくせいがみずから死しを選えらんだことについて、悲かなしく大おおきな問題もんだいだと考かんがえている。一方いっぽうでいじめと自じ死しの因果いんが関係かんけいについてはまだ明あきらかになっていないが、遺族いぞくの心情しんじょうへの配慮はいりょを第だい一いちに調査ちょうさを進すすめていきたい」と述のべました。