日本にっぽん製鉄せいてつ工場こうじょうで社員しゃいん2人にん被ひばくか 年間ねんかん限度げんど量りょうの数すう十じゅう倍ばいの可能かのう性せいも

そして治療ちりょうを受うけている2人にんについては、詳くわしい被ひばく量りょうなどがわからないので現時点げんじてんではっきりとしたことは言いえないとしたうえで「染色せんしょく体たいの検査けんさや症状しょうじょうを詳細しょうさいに観察かんさつすることによって、被ひばく量りょうを推定すいていせざるをえないと思おもう。広島ひろしま大学だいがくの医師いしたちが注意深ちゅういぶかくみていると思おもうが、どのくらいの線量せんりょうを受うけたかが、被ひばくした作業さぎょう者しゃの予後よごに関係かんけいしていくだろう」と話はなし、今後こんごの容体ようだいを慎重しんちょうに見みていく必要ひつようがあるとしています。

日本にっぽん製鉄せいてつや警察けいさつ、消防しょうぼうなどによりますと、先月せんげつ29日にち午前ごぜん、兵庫ひょうご県けん姫路ひめじ市しにある瀬戸内せとうち製鉄せいてつ所しょの工場こうじょうで30代だいと50代だいの男性だんせい社員しゃいん2人にんがエックス線えっくすせんを使つかう測定そくてい装置そうちを点検てんけんしている最中さいちゅうに事故じこが発生はっせいしました。

この装置そうちはエックス線えっくすせんを照射しょうしゃして鉄板てっぱんのメッキの厚あつさを精密せいみつに測定そくていするもので、18平方メートルへいほうめ-とるほどの広ひろさの部屋へやの中なかにあり、測定そくていの際さいに人ひとは立ち入たちいらず無人むじんで行おこないます。

事故じこが起おきたのは3か月かげつに1回かいほど行いっている装置そうちの点検てんけん作業さぎょう中ちゅうで、男性だんせい社員しゃいん2人にんが部屋へやに入はいって装置そうちが正ただしく動作どうさするかチェックしていたということです。その際さい、鉄板てっぱんが運はこばれるラインは止とめた状態じょうたいだったということですが、点検てんけん作業さぎょうを行おこなっている間ま、測定そくてい装置そうちからエックス線えっくすせんが出でたままになっていた可能かのう性せいがあると厚生こうせい労働ろうどう省しょうは説明せつめいしています。

消防しょうぼうなどによりますと、男性だんせい社員しゃいん2人にんは点検てんけん作業さぎょうを行おこなった翌日よくじつ30日にちに体調たいちょう不良ふりょうを訴うったえ、市内しないの病院びょういんを受診じゅしんしたところ、エックス線えっくすせんによる被ひばくの可能かのう性せいがあるとされました。このため、その後そのご高度こうどな被ひばく医療いりょうを提供ていきょうする広島ひろしま市しにある広島ひろしま大学だいがくの施設しせつに搬送はんそうされ、現在げんざい、検査けんさや治療ちりょうを受うけているということです。

会社かいしゃは、事故じこについて30日にちに労働ろうどう基準きじゅん監督かんとく署しょや警察けいさつに連絡れんらくをしたということです。

電離でんり則そくでは、放射線ほうしゃせん業務ぎょうむに携たずさわる作業さぎょう員いんは、全身ぜんしんへの被ひばく影響えいきょうを表あらわす「実効じっこう線量せんりょう」という値ねで、被ひばく量りょうの限度げんどが5年間ねんかんの積算せきさんで100ミリシーベルト、かつ1年間ねんかんの積算せきさんで50ミリシーベルトとなり、これらを超こえないようにしなければならないとしています。

また、電離でんり則そくでは、放射線ほうしゃせんを扱あつかう区域くいきでは、被ひばく量りょうを測定そくていする線量せんりょう計けいを装着そうちゃくすることが義務ぎむづけられています。

このほか、事故じこが起おきた際さい、事業じぎょう者しゃは速すみやかに所轄しょかつの労働ろうどう基準きじゅん監督かんとく署しょの署長しょちょうに報告ほうこくすることや、事故じこが起おきたエリアにいた人ひとは速すみやかに医師いしの診察しんさつや処置しょちを受うけさせることなどが求もとめられています。

福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょの事故じこが起おきる前まえ、千葉ちば市しにある放医研ほういけん＝放射線ほうしゃせん医学いがく総合そうごう研究所けんきゅうじょが東日本ひがしにっぽんを、広島ひろしま大学だいがくが西日本にしにほんを担当たんとうし、高度こうどの被ひばく医療いりょうに関かかわる機関きかんとされてきましたが、原発げんぱつ事故じこのあとは、重じゅう篤あつしな被ひばくの長期ちょうき治療ちりょうに加くわえ、周辺しゅうへんの拠点きょてん病院びょういんなどを対象たいしょうに専門せんもん的てきな研修けんしゅうの実施じっしを行おこない、原子力げんしりょく災害さいがい時じには専門せんもんチームを派遣はけんするなどの役割やくわりも担になうことになっていました。

現在げんざい「高度こうど被ひばく医療いりょう支援しえんセンター」として指定していされているのは、広島ひろしま大学だいがくと放医研ほういけんが入はいる量子りょうし科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅう開発かいはつ機構きこうのほか、青森あおもり県けんにある弘前大学ひろさきだいがく、福島ふくしま県立けんりつ医科いか大学だいがく、それに長崎ながさき大学だいがくの全国ぜんこく5か所かしょです。

今回こんかいの事故じこは原子力げんしりょく災害さいがいに当あたらないとされていますが、関係かんけい者しゃによりますと、高度こうどな被ひばく医療いりょうが提供ていきょうできるため広島ひろしま大学だいがくで治療ちりょうが行おこなわれているということです。

この中なかでは、一般いっぱんに鋼材こうざいなどの計測けいそくに用もちいるエックス線えっくすせん装置そうちは高こう線量せんりょうのエックス線えっくすせんが照射しょうしゃされることから、照射しょうしゃされている場合ばあいは点検てんけんなどの短みじか時間じかんの作業さぎょうでも大量たいりょうの放射線ほうしゃせんに被ひばくするおそれがあるとしています。そのうえで、類似るいじの労働ろうどう災害さいがいを防止ぼうしするため、当面とうめんの措置そちとして次つぎのことに留意りゅういするよう求もとめています。

1つは、エックス線えっくすせん装置そうちの点検てんけんを行おこなう際さいに被ひばくの危険きけんのおそれがある場合ばあいは、電力でんりょく供給きょうきゅうを止とめたうえで、供給きょうきゅうのスイッチに錠じょうをかけて表示ひょうじ板ばんを取り付とりつけるなどして作業さぎょう者しゃ以外いがいが電源でんげんを入いれないようにすること。

エックス線えっくすせん装置そうちに電力でんりょくが供給きょうきゅうされていることを関係かんけい者しゃに周知しゅうちさせるための自動じどう警報けいほうの装置そうちが確実かくじつに作動さどうするよう点検てんけんをすること。

それに、点検てんけん作業さぎょうを含ふくめ、エックス線えっくすせん装置そうちを使つかうときの危険きけん性せいや有害ゆうがい性せいを評価ひょうかしてリスク低減ていげんのための措置そちを講こうじ、残のこるリスクについて関係かんけい者しゃに周知しゅうちすることなどです。

各地かくちの労働ろうどう局きょくに対にたいしても、エックス線えっくすせん装置そうちの点検てんけん作業さぎょうなどによる被ひばくの防止ぼうしの徹底てっていを図はかるため、管内かんないの関係かんけい団体だんたいや事業じぎょう者しゃに周知しゅうちを行おこなうよう求もとめています。

また、現地げんちの労働ろうどう基準きじゅん監督かんとく署しょは、安全あんぜん管理かんりに問題もんだいがなかったか事故じこの状況じょうきょうや原因げんいんについて調査ちょうさを進すすめています。