福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ事故じこ避難ひなん者しゃ訴訟そしょう 2審しん判決はんけつも国くにの責任せきにん認みとめず東京とうきょう高裁こうさい

福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの事故じこで避難ひなん区域くいきではない地域ちいきから千葉ちば県けんに自主じしゅ的てきに避難ひなんするなどした6世帯せたい17人にんは、避難ひなん生活せいかつを余儀よぎなくされ、精神せいしん的てきな苦痛くつうを受うけたなどとして国くにと東京とうきょう電力でんりょくにおよそ2億おく5000万まん円えんの賠償ばいしょうを求もとめました。

1審しんの千葉ちば地方ちほう裁判所さいばんしょは4年ねん前まえ、東京とうきょう電力でんりょくに対にたいし原告げんこくのうち9人にんに合あわせて500万まん円えん余あまりの賠償ばいしょうを命めいじた一方いっぽうで、国くにの責任せきにんは認みとめず、原告げんこくと東京とうきょう電力でんりょくが控訴こうそしました。

22日にちの2審しんの判決はんけつで、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょの土田つちた昭彦あきひこ裁判さいばん長ちょうは「地震じしんの長期ちょうき評価ひょうかを前提ぜんていに国くにが津波つなみ対策たいさくを義務ぎむづけ、東京とうきょう電力でんりょくが対策たいさくを取とっていたとしても、津波つなみによる原発げんぱつ事故じこに至いたった可能かのう性せいが相当そうとうにある」などとして、1審しんに続つづいて国くにの責任せきにんは認みとめませんでした。

一方いっぽう、東京とうきょう電力でんりょくに対にたいしては原告げんこくのうち16人にんに避難ひなん生活せいかつに対にたいする慰謝いしゃ料りょうなどとして合あわせて440万まん円えんを賠償ばいしょうするよう命めいじました。

原発げんぱつ事故じこで避難ひなんした人ひとなどが国くにと東京とうきょう電力でんりょくを訴うったえた集団しゅうだん訴訟そしょうでは、最高さいこう裁判所さいばんしょが去年きょねん6月つき、国くにの賠償ばいしょう責任せきにんを否定ひていする判断はんだんを示しめしたあと、仙台せんだい高裁こうさいや名古屋なごや高裁こうさいで国くにの責任せきにんを認みとめない判断はんだんが続つづいています。

原告げんこく弁護べんご団だん「最高裁さいこうさい判決はんけつと全まったく同おなじ内容ないようで驚おどろきあぜん」

判決はんけつが言い渡いいわたされると原告げんこくの弁護べんご団だんのメンバーは、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょの前まえで支援しえん者しゃに向むけて「国くにの責任せきにん否定ひてい」、「最高裁さいこうさい判決はんけつに追従ついしょう」と書かかれた紙かみを掲かかげました。

判決はんけつのあとの記者きしゃ会見かいけんで、弁護べんご団だんの事務じむ局長きょくちょうを務つとめる滝沢たきざわ信しん弁護士べんごしは「最高さいこう裁判所さいばんしょの判決はんけつと全まったく同おなじ内容ないようで驚おどろきあぜんとしているばかりだ。いまだ2万まん数すう千せん人にんも避難ひなんを続つづける中なかで、これが裁判官さいばんかんの良心りょうしんだとすると驚おどろき以外いがいの何なに物ぶつでもない。弁護べんご団だんとして上告じょうこくを申し立もうしたてる意向いこうだ」と話はなしていました。

東京とうきょう電力でんりょく「判決はんけつ内容ないようを精査せいさし真摯しんしに対応たいおう」

判決はんけつを受うけて東京とうきょう電力でんりょくホールディングスは「原子力げんしりょく発電はつでん所しょの事故じこにより、今いまなお福島ふくしま県けんおよび広ひろく社会しゃかいのみなさまに多大ただいなるご心配しんぱいとご負担ふたんをおかけしていることにつきまして、心こころより深ふかくおわび申し上もうしあげます。東京とうきょう高裁こうさいにおいて言い渡いいわたされた判決はんけつについて、今後こんご判決はんけつ内容ないようを精査せいさし、真摯しんし（しんし）に対応たいおうしてまいります」とコメントしています。

原子力げんしりょく規制きせい委い「新しん規制きせい基準きじゅんへの適合てきごう性せい審査しんさ 厳格げんかくに進すすめる」

また、原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいは「東京とうきょう高裁こうさいにおいて国くにの損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうを否定ひていする判決はんけつが言い渡いいわたされたものと承知しょうちしている。いずれにせよ、原子力げんしりょく発電はつでん所しょ事故じこを踏ふまえて策定さくていされた新しん規制きせい基準きじゅんへの適合てきごう性せい審査しんさを厳格げんかくに進すすめていくことにより、適切てきせつな規制きせいをおこなってまいりたい」とコメントしています。