名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ人の女性、ウィシュマ・サンダマリさん(33)が体調不良を訴えて、ことし3月に亡くなった問題で、出入国在留管理庁は10日、適切な治療を行う体制が不十分だったなどとする最終報告を公表しました。
そして、12日に、来日中のウィシュマさんの2人の妹に最終報告の内容を直接、説明しました。
説明に先立って、上川法務大臣と出入国在留管理庁の佐々木長官がそれぞれ陳謝したということです。
このあと、施設内でのウィシュマさんの様子を映した2週間分の映像を2時間ほどに編集したものが、その場での視聴だけという条件で遺族に開示されました。
遺族側が求めた弁護士の立ち会いは、認められなかったということです。
12日に遺族が視聴したのは、ことし2月下旬から亡くなる3日前の、3月3日までの映像で、ベッドから落ちたウィシュマさんが繰り返し「助けて」と訴えたのに対し、職員が「自分でやりなさい」と答える様子などが映っていたということです。
映像を見た遺族が強いショックを受けたことなどから、12日は用意された映像すべては開示されず、亡くなった3月6日に救急搬送されるまでの様子などが映った残りの映像は後日、改めて開示されるということです。
映像を見た妹のポールニマさんは「入管の職員が姉を迷惑な存在と考え、動物のように扱っているように見えた。感じたのは『職員が姉を殺した』のだということです。母親にも映像を見せたいので、すべての映像を持ち帰らせてほしい」と話していました。
遺族側は、今回の最終報告では真相の解明が不十分だとしていて、2週間分の映像すべてを開示するよう引き続き求めるとしています。