アメリカのトランプ政権でウクライナ特使を務めるケロッグ氏が19日からウクライナを訪れていて、20日、首都キーウでゼレンスキー大統領と会談しました。
会談冒頭の映像では、短く会話を交わしたあと双方がテーブルにつきました。
ただ、ウクライナメディアが大統領府の報道官の話として伝えたところによりますと、会談のあとに予定されていた共同記者会見はアメリカ側の求めによって、急きょ取りやめとなったということです。
ゼレンスキー大統領は、ケロッグ特使に対して実情を説明するなどしてウクライナが求める条件で停戦の道筋を描きたい考えで、ケロッグ特使もウクライナ側から聞き取りした上でトランプ大統領に報告する考えを示していました。
ただ、トランプ大統領は、ゼレンスキー大統領の支持率が4%だと発言したり、「選挙なき独裁者」と呼んだりして批判を強め、ゼレンスキー氏もトランプ氏はロシアの影響を強く受けていると警戒感を示しました。
共同記者会見が急きょ取りやめとなる事態となったのは、首脳間のぎくしゃくした関係が影響した可能性もあります。
ゼレンスキー大統領「実りある会談だった」SNSに投稿
ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、アメリカ・トランプ政権のケロッグ特使との会談後、SNSに「実りある会談だった」と投稿しました。
そのうえで「ウクライナは、アメリカの大統領との間で、強力かつ効果的な投資と安全保障の合意を結ぶ用意がある。われわれは結果を出すための迅速で最も建設的な方法を提案した」としています。
さらに会談では「戦地の状況や、捕虜を帰還させる方法、それに効果的な安全保障の確約についても話し合った」としたうえで、「ウクライナとアメリカの強固な関係は世界全体の利益になる」と強調しています。
米高官「トランプ大統領はゼレンスキー氏にいらだっている」
トランプ大統領は19日、自身のSNSへの投稿や演説で、ロシアによる侵攻が続くウクライナのゼレンスキー大統領について「選挙なき独裁者」と呼んで、強く批判しました。
これについてホワイトハウスで安全保障政策を担当するウォルツ大統領補佐官は20日、記者会見で「トランプ大統領は今、明らかにゼレンスキー大統領にとてもいらだっている。彼が話し合いのテーブルに着かず、われわれが提供する機会に応じないことに対してだ」と述べました。
その理由としてウクライナ国内の鉱物資源の権益をめぐる協議にゼレンスキー大統領が応じなかったことを挙げ、トランプ大統領が強い不満を持っているという認識を示しました。
そして「ウクライナにはものすごい量の資源があり、ウクライナにとっての長期的な安全の保障になるだけでなく、われわれもこれまでに費やした多額の資金を回収し、アメリカの納税者に対する義務を果たすことになる」と述べ、ウクライナ側に協議に応じるよう求めました。
トランプ政権はこれまで、ウクライナへの支援の見返りとして、レアアースなどの鉱物資源の権益を確保したい考えを示し、ベッセント財務長官がウクライナを訪問したものの、合意には至っていません。