トランプ新大統領は20日の就任演説で、「わたしはアメリカの労働者と家族を守るため直ちに貿易制度の見直しに着手する」と述べました。
その上で、「アメリカ国民に課税してほかの国々を潤すのではなく、国民を豊かにするために外国に関税を課して税金をかける」として、すべての関税や歳入を徴収する外国歳入庁を設置することを正式に表明しました。
アメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」はトランプ氏が20日、メキシコと中国、それにカナダなどを対象に貿易赤字や不公正な貿易慣行、通貨政策について調査するよう指示すると伝えました。
一方で、大統領の就任初日に新たな関税を課すことは見送ると報じていて、その理由について新政権の中で関税をめぐる議論が続いているためだとしています。
トランプ氏はこれまで、メキシコとカナダからのすべての輸入品に25%の関税を課すとともに、中国からの輸入品に現在の関税に加えて10%の追加関税を課す方針を明らかにしていました。
有力紙ニューヨーク・タイムズは20日、「少なくとも現時点ではトランプ氏の関税措置に対して報復関税を課すと表明している国々との対立も先延ばしになる」とする一方、「今後数週間から数か月間のうちに大統領がさまざまな理由で数多くの国々に関税を課すことができるようになり、世界的な貿易戦争が起きる可能性がある」とも伝えています。
外国為替市場 ドル売り円買い進む
20日の外国為替市場では、トランプ氏が大統領就任初日に新たな関税を課すことを見送ると報じられたことを受け、ドルを売って円を買う動きが進み、円相場は、一時、1ドル=155円台半ばまで値上がりしました。
金融市場では、トランプ氏が中国などからの輸入品に新たな関税を課すことでアメリカでインフレが再加速し、長期金利が高止まりすることが懸念されていましたが、こうした見方がひとまず後退した格好です。
今回の報道の前、円相場は1ドル=156円台半ばで推移していましたが、一時、1円程度、円高ドル安が進んだことになります。