【全文ぜんぶん掲載けいさい】イチロー氏し アメリカ野球やきゅう殿堂でんどう入いりで語かたったことは

およそ1時間じかんにわたるインタビューのほぼ全文ぜんぶんです。

【会見かいけんノーカット動画どうが】

※会見かいけんノーカット動画どうが 55分ふん33秒びょう、データ放送ほうそうではご覧ごらんいただけません。

【一いち問もん一いち答とう】の内容ないよう

Q.この日ひを迎むかえてどういう気持きもちか。

イチローさん

「えっと…まずこの日ひを迎むかえるということが2001年ねん、僕ぼくが初はじめてMLBに挑戦ちょうせんした年としに、おそらく地球ちきゅう上じょうで誰だれも想像そうぞうはできなかったと思おもうんですよね。ここまでアメリカで25年ねん、現役げんえきは19年ねんですけども、振り返ふりかえるとあまりにも多おおくの出来事できごとがあって。

いいことだけではありませんでした。苦くるしいこともたくさんありましたけど、最終さいしゅう的てきにここに1歩ほずつ近ちかづいていった。

そして、きょうこの日ひを迎むかえられたことは、ことばでは言い表いいあらわせないほどの気持きもちです」

Q.ファンに対にたいしてはどんな気持きもちか。

「シアトルのファンの方々かたがたに対にたいしては、2012年ねんの途中とちゅうまで、僕ぼくは2001年ねんからプレーしてトレードでニューヨークに行いったんですけれども、その後そのご、マイアミに行いって、2018年ねんにシアトルに戻もどってきたんですけど。その時ときに迎え入むかえいれてくれた温あたたかい気持きもち。これはもう、いろいろ今回こんかい振り返ふりかえってみたんですけれども、18年ねんの開幕かいまく戦せんは僕ぼくのトップいくつでしょうかね、トップファイブに入はいるぐらいのハイライトでした。

シアトルのファンの方々かたがたの前まえで、球団きゅうだんに対にたいしても出でていった選手せんしゅをまた戻もどしてくれたその思おもいがとてもうれしかったですし、人ひとの思おもいがこんなにも刺ささるというか。自分じぶんがやったことというよりも人ひとのその気持きもちがすごくこの年としになったからなのか、経験けいけんを経へてなったのか、そこは分わからないですけど、特別とくべつな関係かんけいになりましたね、あの2018年ねんは」

Q.きょう電話でんわで連絡れんらくを受うけたときの気持きもちを教おしえてください。

「2時じ15分ふんから待機たいきをしました。これは電話でんわがかかってくることが前提ぜんていの準備じゅんびだったので、15分ふんを過すぎて電話でんわが鳴ならなかったときに、これはないんじゃないかと思おもってすごく不安ふあんになりました。

で、実際じっさいに電話でんわがかかってきて報告ほうこくを受うけて、そのときにすごくうれしかった。やったというよりもほっとしたという気持きもちのほうが強つよかったですね。おそらく喜よろこびはこれから出でてくるんじゃないでしょうか」

Q.初はじめての日本人にっぽんじん野手やしゅとして大リーグだいり-ぐに来きたときはどんなことが大変たいへんだったか。

日本人にっぽんじんとして初はじめてアメリカ野球やきゅう殿堂でんどう入いりしてどんな気持きもちか。

「2001年ねんは野手やしゅで初はじめての挑戦ちょうせんだったということもあって、僕ぼくは日本にっぽんで7年ねん続つづけて首位しゅい打者だしゃを取とってのタイミングだったので、アベレージヒッターにとっては僕ぼくが指標しひょうになるというか、僕ぼくを基準きじゅんにされるという認識にんしきがありました。日本人にっぽんじんの野手やしゅの評価ひょうかは僕ぼくの1年ねん目めで決きまるという思おもいを背負せおってプレーした記憶きおくがあります。

その後そのご、3年ねんプレーした時ときにようやく周まわりからも主おもにはアメリカの方ほうにもある程度あるていど、認みとめてもらったというか、そういう感触かんしょくがありました。

それから長ながい時間じかんを経へてきょうに至いたるわけですけど。

『日本人にっぽんじん選手せんしゅとして初はじめて』ということは、僕ぼくを表現ひょうげんする時ときに何なにかとつきまとうものなんですけど、今こん現在げんざい、現状げんじょう、きょうの気持きもちでいえば、それが何なにかにつながるとかそういうふうには現げん段階だんかいでは捉とらえられないです。おそらく時間じかんがたった時ときに、あれはこういうことだったんだと。いろいろなことがそうであるようにこれもその1つだと思おもいます。

やっぱり時間じかんがたってからでないと、人ひとというのは、今こん現在げんざい起おきていることが正ただしいか間違まちがいかとか、そういう判断はんだんが難むずかしいわけですね。これもその1つだと思おもっています」

Q.いちばん達成たっせい感かんがあったことは。

「いろいろな記録きろくが僕ぼくにまつわる数字すうじはあるんですけども、おそらく多おおくの人ひとが経験けいけんできるものではない時間じかんと捉とらえると、2018年ねん5月つきの頭あたまから選手せんしゅとしてはプレーができなくなった時間じかんですね。翌年よくねんの引退いんたいにつながる2019年ねんの3月つきにつながるわけですけど、2018年ねん5月つき頭あたまから9月つき終おわりまで、10月つき頭あたままで、練習れんしゅうだけの時間じかんを過すごした、次つぎの年としを信しんじて。この時間じかんはなかなか経験けいけんできるものではないと今いま振り返ふりかえっても、おそらくこの先さきもそう思おもう。あるプレー、ある記録きろくというものよりも、この経験けいけんが僕ぼくの支ささえになっていると言いえると思おもいます。

さらには2019年ねん引退いんたいですね、東京ドームとうきょうど-むでの引退いんたいのあの時間じかんは、僕ぼくは引退いんたいをお知おしらせしていなかったにもかかわらず、試合しあいが終おわって何なん時間じかんもたってもお客おきゃくさんが球場きゅうじょうにとどまってくれて僕ぼくを待まっていてくれた。あの瞬間しゅんかんは大おおきな僕ぼくの支ささえと、これからもなると思おもいます」

Q.これから野球やきゅうを始はじめる選手せんしゅやプロになったばかりの選手せんしゅにアドバイスをするとしたら。

「僕ぼくは18歳さいでプロ野球やきゅう選手せんしゅになったときに、まずメジャーリーグでプレーするなんてことは想像そうぞうすらできませんでした。それが日本にっぽんでプレーしていくうちに『アメリカでプレーしたい』という気持きもちが芽生めばえてくる。徐々じょじょに段階だんかいを経へて進すすんできたという感触かんしょくがすごくあるんですね。

アメリカに来きてからも何なん年ねんプレーできるかなと、全まったく分わかりませんでした。それが最終さいしゅう的てきには2019年ねんまで続つづき、今日きょうに至いたると。

才能さいのうある人ひとたちもたくさんいます。僕ぼくなんかもうとても比較ひかくにならないぐらい才能さいのうにあふれた人ひとがいっぱいいます。でもそれを生いかすも殺ころすも自分じぶん自身じしんだということです。自分じぶんの能力のうりょくを生いかす能力のうりょくはまた別べつにあるということは知しっておいてほしい。才能さいのうがあるのになかなかそれを生いかせない人ひとはいっぱいいます。けがに苦くるしむ人ひともいます。自分じぶんをどれだけ知しっているかということが結果けっかに大おおきく影響えいきょうしていることを知しっておいてマイナスはないと思おもいます」

Q.イチローさんにとって背せ番号ばんごう「51」はどんな数字すうじか。

永久えいきゅう欠番けつばんとなることをどう感かんじているか。

「サインをするときに『51』がずっと使つかえるというのはめちゃくちゃうれしいです。あとは今いままだ51歳さいなので、そのタイミングでこれはまたなかなか特別とくべつなものです（笑えみ）」

Q.元もとチームメートからは連絡れんらくはあったか。

「まだ実じつはメッセージの中身なかみは見みていないんですけど、でもその中なかの1つに、サービス元もと監督かんとくですね、スコットからあったのはすごくうれしかったですね。実じつは監督かんとくを昨年さくねんのシーズンの途中とちゅうで退しりぞかれて、どのタイミングで連絡れんらくすればいいのか分わからなくて連絡れんらくできないままでいたんですね。で、きょうスコットから、名前なまえだけなんですけど、中身なかみは見みてないんですけど、まだ、それがあったのですごくうれしかったです。

もしジュニアとマイク・スウィーニーからなかったら説教せっきょうします（笑えみ）」

Q.野球やきゅう発祥はっしょうの地ちでもあり、アメリカ野球やきゅう殿堂でんどう博物館はくぶつかんのあるクーパーズタウンはいつからイチローさんにとって特別とくべつな場所ばしょになったか。

「初はじめてクーパーズタウンに行いったのが2001年ねん。そのときはですね、その後そのごもなんですけど、いろいろな過去かこの選手せんしゅと記録きろくで交まじわることがあって。彼かれらが当時とうじ使つかっていた道具どうぐを見みてみたいなという、そういう気持きもちがすごくありました。博物館はくぶつかんに行いくといろいろツアーで見みられるんですけど、特別とくべつな昔むかしの選手せんしゅの道具どうぐが大切たいせつに保管ほかんされていて、そこに行いくのが僕ぼくは大好だいすきなんですけど。

2001年ねんは確たしかジョー・ジャクソンの記録きろく、ルーキーのヒットの数かずですね。僕ぼくは242でしたけど、そこの記録きろくと交まじわったことがあって、見みに行いきました。驚おどろいたのは、シューズがあったことです、ジョー・ジャクソンの。靴くつ履はいていないんだと思おもっていたら靴くつがあった、それにすごく驚おどろいたことと、後のちにそれは1試合しあいだけだったと知しって、人ひとの思い込おもいこみというのは怖こわいなという経験けいけんをするんですけど。

何なん度ども何なん度ども訪おとずれたのは、誰だれかの記録きろくと関かかわったとき、その選手せんしゅたちと現代げんだいに生いきる自分じぶんが、道具どうぐを触さわることによって会話かいわができるような感かんじ、話はなしができる感触かんしょくがあって、すごく気持きもちのいい、体験たいけんとして残のこっています。

もう1点てんいうと、現代げんだいに生いきていると生活せいかつしているだけでストレス、特とくに今いまはそうですよね、生いきているだけでストレスがたまる社会しゃかいになりました。そういう中なかで野球やきゅうだけの街まちがあって、自分じぶんが現役げんえきでプレーしている選手せんしゅが、過去かこの気持きもちがいい思い出おもいでがあって、またそこを再ふたたび訪おとずれて、訪たずねて、心こころが洗あらわれるというか、そういう記憶きおくもありました。

だから僕ぼくはクーパーズタウンというのは、現役げんえきを引退いんたいしてから行いく場所ばしょというよりも現役げんえき中ちゅうに行いってほしい場所ばしょなんですよね、経験けいけん上じょう。今いまの選手せんしゅたちにもぜひ、訪たずねてほしい。僕ぼくが勧すすめられる唯一ゆいいつの場所ばしょと言いっていいかもしれないですね、野球やきゅう選手せんしゅにとっては」

Q.ランディ・ジョンソンのつけていた「51」をもらったとき、どんな会話かいわをしてどんな経緯けいいで決きまったのか。

「当時とうじ『51』をつけることになるときに、特別とくべつな番号ばんごうだということは認識にんしきしていました。当然とうぜん、シアトルの街まちにとっても球団きゅうだんもちろんそうです、ファンにとっても。この番号ばんごうを汚よごしてはいけない。これが51番ばんをつけた選手せんしゅがただの普通ふつうの選手せんしゅだったら、これはランディ・ジョンソンに対にたいして申し訳もうしわけが立たたないし、そういう覚悟かくごがすごくありました。日本人にっぽんじん選手せんしゅ、野手やしゅとして初はじめてというのも大おおきな1つでしたけども、51番ばんというのは1つ、特とくにシアトルにとって特別とくべつな番号ばんごうであったこともあって、僕ぼくの中なかにもすごく重おもく存在そんざいしていた。そういう記憶きおくがあります。

だから2001年ねんのオールスターの1打席だせき目めはランディ・ジョンソンと対戦たいせんしたわけですけど、あの1打席だせきは忘わすれられないですね。オールスターの記憶きおくはたくさんある中なかで、サンフランシスコでのインサイド・ザ・パーク（2007年ねんオールスターゲームのランニングホームラン）などありますけど、ランディ・ジョンソンと対戦たいせんをしたというのは、これは実じつは深ふかく記憶きおくに残のこっているシーンです。

そこに一緒いっしょにいてくれたね、きょう、ジョン・オルルッドがここにいてくれることはすごくうれしいです。希望きぼうとしてはヘルメットをかぶっていてほしいです（笑えみ）」

（※ジョン・オルルッドさんは現役げんえき時代じだい、守備しゅびでもヘルメットを着用ちゃくようしていたことで知しられる）

《日本にっぽんメディア》

Q.きょうは夫人ふじんは。

自宅じたくにいます。

Q.着用ちゃくようしているTシャツてぃ-しゃつのデザインの意味いみは。

「これはノブの部分ぶぶんが野球やきゅうのボールになっているんですけど、それでこれから出でてくるものなんですけど、メッセージとしては、自分じぶんが好すきなことを見みつけて、夢中むちゅうになることに飛び込とびこんでいこう、そのドアを開あけてみようという、そういうようなメッセージが込こめられています。きょう、クーパーズタウンに行いってからは違ちがうなと思おもったので、シアトルでの会見かいけんはこれがいいなと着きてきました」

Q.MLBネットワークのインタビューでジーター選手せんしゅに会あいたいと話はなしていたが、その理由りゆうと、同おなじように満票まんぴょうに1つ足たりなかったことに対にたいしては。

「まずジーターに最後さいごに会あったのはマイアミの3年ねん目めが終おわったシーズンオフです。オフになって球場きゅうじょうでジーターと当時とうじのマイク・ヒルですね、マイク・ヒルとジーターが2人にんで話はなしがあるということで、球場きゅうじょうを訪たずねたんですけど、その時ときに来年らいねんの契約けいやくはないと、そこではっきりと告つげられました。それで次つぎに僕ぼくは進すすめたわけですけど、そこからジーターがマーリンズのメインのオーナーの1人にんになって、会あう機会きかいがなかったんですよね。それから、会あう機会きかいがなければ当然とうぜん、電話でんわで話はなすわけでもないですから。この機会きかいにどこかで再会さいかいしたいという思おもいはずっとあったので、もしこのタイミングで会あえたら、夏なつになりますかね。それはなかなか、当時とうじできなかった話はなしができるんじゃないかということも含ふくめて、楽たのしみにしています。

1票ひょう足たりないというのはすごくよかったと思おもいます。しかもジーターと一緒いっしょ。これも数字すうじ的てきな話はなしなんですけど…足たりないものを、これって補おぎないようがないんですけど、努力どりょくとかそういうことじゃないからね。ですけど、いろいろなことが足たりない、人ひとって。それを自分じぶんなりに自分じぶんなりの完璧かんぺきを追い求おいもとめて進すすんでいくのが人生じんせいだと思おもうんですよね。

これとそれはまた別べつな話はなしなんですけど、やっぱり不完全ふかんぜんであるというのはいいなと。生いきていくうえで不完全ふかんぜんだから進すすもうとできるわけで。そういうことを改あらためて考かんがえさせられるというか、見みつめ合あえるというか、そこに向き合むきあえるのはよかったなと思おもいます」

Q.今いま、多おおくの日本にっぽん選手せんしゅが活躍かつやくしている状況じょうきょうをどのように感かんじているか。

これに対にたいして自身じしんも大おおきな役割やくわりを担になったと思おもうが。

「僕ぼくが何なにを担になったか分わからないですけど、初はじめての野手やしゅとしての覚悟かくごを持もってプレーしたことは事実じじつです。でもその後そのごもじゃあ同おなじ思おもいを持もってプレッシャーかというと、そうではありません。日本人にっぽんじん選手せんしゅのために僕ぼくがやることで何なにかが開あけるか、そんな余裕よゆうなかったです。もう必死ひっしです、自分じぶんの結果けっかを出だすことに。結果けっか的てきにそう見みえたかもしれないですけど、それは人ひとが判断はんだんすることで、僕ぼくから述のべることではないと思おもいます。

いま、日本人にっぽんじん選手せんしゅたちの活躍かつやく、あるんですけれど。ことしで僕ぼくが初はじめて来きてから25年ねん目めとなるんですけど、感覚かんかく的てきにはまだまだ少すくないんですよね。『25年ねん後ごにこんなに少すくないの』という感触かんしょくです。だって、南米なんべい系けいの選手せんしゅ、どのチームだっているじゃないですか、何人なにびともいます。なんだったらアメリカ人じんよりも多おおいチーム、感覚かんかく的てきにね、実際じっさいの数かずは見みていないですけど、そこまで到底とうてい及およんでいないですよね。あまりにも進すすみ方かたが遅おそいというのが僕ぼくの感触かんしょくです。各かくチームに1人にん、2人にん、最低さいていいるぐらいになっているんじゃないかと期待きたいしていました。でも全まったくそこまで届とどいていないです。これが僕ぼくの感想かんそうです」

Q.現役げんえき時代じだい、ことばの持もつ力ちからをどう意識いしきしてことばを発はっする時ときに何なにを意識いしきしていたか。

「僕ぼくの中なかから出でてくることばを選えらんでいました。じゃないと伝つたわらないから。人ひとから聞きいたいいことばとかいい話ばなしとかって、いいんだけど、それってこうやって公おおやけの場ばで僕ぼくのことばじゃないことばで話はなしたとしても、聞きいている人ひとは分わかっちゃうんですよね、不思議ふしぎなことに。僕ぼくの中なかから湧わいてくることば、それを表現ひょうげんしました」

Q.それは自然しぜんに出でてくるのを待まつのか。

「降ふってくるのを待まっていることはありました。でもそれを作り上つくりあげたという感かんじじゃないんですよね。ことばって確たしかに、何なにか自分じぶんの意思いしとか気持きもちを伝つたえるのに、基本きほん的てきなことばでしか伝つたえられないことも多おおいわけで。その時ときに自分じぶんのことばじゃないことばで伝つたえたとしても、皆みなさん、話はなしを引き出ひきだすお仕事しごとですから、それって感かんじられてきたんじゃないですか。いろいろな選手せんしゅたちと、いろいろな人ひとたちと話はなしをしてみて。僕ぼくが聞きいてみたいくらいです」

Q.今いまの時代じだい、選手せんしゅ自身じしんが何なにか言いわれたりしないようにセーブして話はなしていると感かんじることはあるか。

「もちろんそうですよ、それはどの時代じだいもそうですけど、今いまはそれが極端きょくたんになっているという印象いんしょうですよね。今いま、記者きしゃさんたちは大変たいへんだなと僕ぼくは想像そうぞうするんですけど、表現ひょうげんしていることばを額面がくめんどおりに取とれないんじゃないかと。その裏側うらがわを結局けっきょく捉とらえないといけないけど、でも表現ひょうげんしていないから、それは書かけない。だけど表現ひょうげんができないというもどかしさは、それは現代げんだいの深刻しんこくな病やまいとまでは言いわないですけど。

ことばの裏側うらがわを捉とらえないといけない。だけどそれは表現ひょうげんができない。だから僕ぼくはなるべく、自分じぶんが思おもっていることを表現ひょうげんしたいと思おもっています。でもそれでも難むずかしい、現代げんだいはね。いろいろなことをカバーしようとしたら、無理むりですよ、もう話はなしなんかできない。

だから僕ぼくとしては、薄うすっぺらい会話かいわなら何なに言いったっていいんだけど、深ふかく議論ぎろんを呼よびそうな話題わだいになった時とき、その時ときは7:3のバランスでアンチがいるといいなと思おもっています。100％、10割わりね、賛同さんどうされる意見いけんなんてつまらないですよ。つまらないし、議論ぎろんにならないんで、そもそも。7:3、6:4だとちょっとね。8:2でも、8が強つよすぎるのも、問題もんだいではないんだけれど、7:3ぐらいのバランスを目指めざしているんだけどね、なかなかそれは結果けっかだから分わからない」

Q.きょうも練習れんしゅうはしたか。

「きょうはしていない、トレーニングはしているんですけど、球場きゅうじょうに来きて練習れんしゅうはさすがにきょうはできなかったです。きのうはしています」

Q.まもなくスプリングトレーニングが始はじまるが目標もくひょうは。

「まずはですね、今いま、フィジカルの状態じょうたいが100％じゃないんですね。左足ひだりあしに1か所かしょ、右みぎ上半身じょうはんしんに1か所かしょ、けががあって。動うごけないということではないんですけど、全力ぜんりょくではまだ動うごけないんです。これをどこまで上あげていけるか、回復かいふくさせられるか。

キャンプの初日しょにちの目標もくひょうというのは、現役げんえきの時ときもこれはそうですけど、最低さいてい限げん、全力ぜんりょくで走はしれること、投なげられること。これができていれば、あとは実戦じっせん感覚かんかくなので勝手かってに上あがっていくんですけど、それができていない状態じょうたいでキャンプに入はいりたくない、今いまもそうなんです。キャンプ中ちゅうがおそらく選手せんしゅと最もっとも関かかわる、時間じかん的てきにも運動うんどう量的りょうてきにも多おおいので、この状態じょうたいで入はいると不安ふあんがある状態じょうたいです、今いまは。それを100％はなかなか、これから1か月かげつぐらいしかないから難むずかしいと思おもうんですけど、そこと今いま、戦たたかっています」

Q.ことしは阪神はんしん・淡路あわじ大震災だいしんさいから30年ねん。

震災しんさいの経験けいけんが野球やきゅう人生じんせいにおいてどんな影響えいきょうをもたらしたか。

「30年ねん前まえのあの日ひを振り返ふりかえると、あの時期じきですね…。プロ野球やきゅう選手せんしゅとして、チームが結束けっそくすることってなかなかないんですよ。当然とうぜんですよね、自分じぶんの結果けっかを出ださないとクビを切きられちゃうから。春はるから秋あきまで、シーズン終了しゅうりょう、日本にっぽんシリーズが終おわるまで結束けっそくできたのは、あの年としだけだと思おもいます。そんな経験けいけんはなかなかプロ野球やきゅう選手せんしゅはしないですよ。春はるは何なんとなく希望きぼうを持もっている、みんな希望きぼうを持もっている。

だけどシーズンが始はじまると、当然とうぜん結果けっかが出でてくるわけですから、盛り上もりあがるチームもあれば勝かてないチームは早はやい段階だんかいでモチベーションが下さがっていく、なかなか結束けっそくできない。勝かっているチームも、結局けっきょく勝かっているから結束けっそくしていくという流ながれなんですよね。それは日本にっぽんでもアメリカでも同おなじです」

「96年ねん、翌年よくねんですね、阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさいの翌年よくねん、95年ねんに達成たっせいできなかった日本一にっぽんいちを目指めざしてプレーしましたけど、じゃあ春先はるさきからできたかというとそうではなかったんですよね。夏なつを越こしてようやく勝かつイメージができてくる、届とどきそうだ、それでようやく結束けっそくしていく。プロ野球やきゅうってそういうものなんですよ。

95年ねんはそういう意味いみでも特別とくべつな年としでした。プロ野球やきゅうのチームが春はるから秋あきまで結束けっそくして結果けっかを残のこす、日本にっぽんシリーズでは負まけてしまったんですけれど。それで…神戸こうべの変わり果かわりはてた町並まちなみを見みた時ときに、自分じぶんたちに何なにができるんだろうとみんな考かんがえました。じゃあ現場げんばに行いって大変たいへんな人ひとたちのお手伝おてつだいとかね。助たすけになることを現場げんばに行いってやること、それもできたと思おもいます。

でも僕ぼくたちができるのは、やっぱりプロ野球やきゅう選手せんしゅとしての使命しめいというかね、当時とうじ。優勝ゆうしょうするって、当時とうじはまだオリックス・ブルーウェーブは優勝ゆうしょうしたことがなかったですからね。優勝ゆうしょうなんて目標もくひょうを春はるの段階だんかいでは掲かかげてはいけないチームだったんですよ。それが思おもいが結束けっそくして、実際じっさいに結果けっかとして残のこった。

終おわった時ときには、神戸こうべのファンの方々かたがた、みんなから感謝かんしゃされました。当初とうしょは野球やきゅうなんかやっている場合ばあいじゃないという声こえもあったんです、僕ぼくらの中なかにもあったんですけど、プロ野球やきゅう選手せんしゅというのは、普通ふつうに生活せいかつしていたらできないことを形かたちにできる職業しょくぎょうなんだという、すごくその実感じっかんがあって。確たしかにファンの方々かたがたとの向き合むきあい方かたが大おおきく変かわった出来事できごとではありました」

Q.自分じぶん自身じしんがどこまでできるのか想像そうぞうがついているか、選手せんしゅと同おなじく毎年まいとし勝負しょうぶか。

「選手せんしゅと同おなじ気持きもちかどうかはわからないですけど、僕ぼくにはどこにゴールがあるか分わからないです。あした潰つぶれるかもしれないし、10年ねん後ごかもしれないし、その先さきかもしれないし、わからないです。今いまやっていることというのは、その日ひの限界げんかいを迎むかえること、これを繰り返くりかえしています。今いま、全力ぜんりょくでは動うごけないですけど、この状態じょうたいで全力ぜんりょくを目指めざしています、限界げんかいを目指めざしています。これを繰り返くりかえしていくことで、アスリートの体からだがどうなっていくのかという、それを見みてみたい興味きょうみがすごく強つよいんですね。

それは単たんなる1例れいでしかないんですけど、野球やきゅう選手せんしゅにとって何なにかヒントになることがあるんじゃないかということを期待きたいしながら、今いま取り組とりくんでいるということです」