就任から2日目を迎えたトランプ政権。22日(日本時間)の動きをまとめました。
中国やEUに追加関税 検討
トランプ大統領は、中国から輸入される製品に来月1日から10%の追加関税を課すことを検討していると記者会見で明らかにしました。
トランプ大統領は21日にホワイトハウスで開いた記者会見で「中国が薬物の『フェンタニル』をメキシコやカナダへ運んでいるという事実をもとに中国に10%の関税を課すことを議論している」と述べました。
そのうえで関税を課す時期については「おそらく来月1日になる。この日はメキシコとカナダにも25%の関税を課すことを議論している」と述べ、就任初日に表明したメキシコとカナダに続き、中国から輸入される製品に来月1日から10%の追加関税を課すことを検討していると明らかにしました。
アメリカで社会問題にもなっている「フェンタニル」をめぐって中国で製造された原料が使われていると指摘される中、トランプ氏はこれまでに中国側が十分な対応を行うまで10%の追加関税を課す考えを示していました。
また記者会見では中国に加え、EU=ヨーロッパ連合から輸入される製品への追加関税を検討していることも明らかにしました。
就任から2日目を迎えたトランプ大統領は、関税を交渉のカードに各国との間で抱えるさまざまな課題に対応していく姿勢を鮮明にしています。
【外交】
ウクライナ情勢で中国 習主席に役割果たすよう求める
トランプ大統領はロシアによる軍事侵攻が続くウクライナの情勢をめぐり、中国の習近平国家主席に対し、事態の解決に向けて役割を果たすよう求めたことを明らかにしました。
トランプ大統領は21日、ロシアが侵攻を続けるウクライナの情勢をめぐって記者団の質問に答えました。
この中でロシアと関係が深い中国の習近平国家主席とやりとりをした際に「習氏には事態を解決しなければならないと伝えた。これまであまり取り組んでこなかったからだ。彼には力がある」と述べて役割を果たすよう求めたことを明らかにしました。
また記者から「ロシアが交渉に応じない場合、制裁を科すか」と問われ、トランプ大統領は「その可能性は高い」と述べ、ロシアの対応次第では追加の制裁を科す構えを示しました。
トランプ大統領としては当事者や関係国に働きかけや圧力を強めることで、停戦交渉を実現し、早期の戦闘の終結につなげたいものとみられます。
またトランプ大統領はウクライナ情勢は、アメリカよりもヨーロッパへの影響が大きいとして、NATO=北大西洋条約機構の加盟国に対し、GDPに占める国防費の割合を目標としてきた2%ではなく、5%に引き上げるべきだと改めて主張しました。
新国連大使 “国連は反ユダヤ主義的”
トランプ大統領にアメリカの新しい国連大使に指名されたステファニク下院議員が議会での公聴会にのぞみ、国連は反ユダヤ主義的だと批判したうえで、アメリカの歴代の多くの政権が支持してきたイスラエルとパレスチナの2国家共存による和平にも否定的な考えを示しました。
議会上院での公聴会でステファニク氏は、国連について「反ユダヤ主義的」だと繰り返し批判し、親イスラエルの姿勢を強調しました。
さらに議員からの質問に答えるなかで、イスラエルが占領するパレスチナのヨルダン川西岸の全域について「聖書に基づく権利がある」とするイスラエルの右派政治家の主張への支持を表明しました。
バイデン政権をはじめ歴代の多くの政権は、ヨルダン川西岸とガザ地区からなるパレスチナと、イスラエルとの2国家共存による中東和平を支持してきましたが、ステファニク氏はこれに否定的な考えを示した形です。
また、ステファニク氏は「アメリカは国連への最大の資金拠出国であり、私たちの税金はアメリカの利益に反する組織の支援に使われるべきでない」と述べ「アメリカ第1主義」の観点から国連の予算の使い道を見直していく考えを示しました。
一方で中国が国連での影響力を強めているとして、同盟国とともに対抗する姿勢も示しました。
【経済】
インフラ投資 77兆円 オープンAIなど3社
トランプ大統領は、ソフトバンクグループや生成AIの開発を手がけるオープンAIなど3社が、アメリカ国内でのAIに関するインフラ整備に今後4年間で日本円にして77兆円を超える巨額の投資を行う計画を明らかにしました。
トランプ大統領がホワイトハウスで開いた共同記者会見にはソフトバンクグループの孫正義社長に加え、アメリカのオープンAIのサム・アルトマンCEOとソフトウエア大手「オラクル」のラリー・エリソン会長が出席しました。
3社はアメリカの南部テキサス州などで大規模なデータセンターなどAIに関するインフラ整備を進めるため、「スターゲート」と呼ぶ新たな事業を立ち上げ、投資会社とともに今後4年間で5000億ドル、日本円にして77兆7000億円を超える巨額の投資を行う計画だということです。
技術面で連携する企業にはマイクロソフトや半導体大手のエヌビディア、それに、ソフトバンクグループ傘下のイギリスの半導体開発会社「Arm」などが挙げられています。
トランプ大統領は会見で「これまでにないばく大な投資を呼び込む史上最大のAIインフラ事業だ」と述べ、期待を示しました。
ソフトバンクグループの孫社長は12月にもトランプ氏と面会し、アメリカに1000億ドル、15兆円あまりの投資を行うなどと発表していました。
【人事】
“新政権の方針と一致しない政府職員ら 解任”
トランプ大統領は新政権の方針と一致しない政府職員らを解任すると明らかにし、政策の大幅な転換だけでなく人事の刷新にも着手しました。
トランプ大統領は就任初日の20日、政府機関に対し、人種や宗教、性的指向などにとらわれず、多様な人たちを積極的に採用することを求める政策を撤回するなど、幅広い分野でバイデン前政権の政策を大きく転換させています。
また20日には、連邦政府職員の説明責任を復活させる大統領令に署名しました。
これにより大統領が、政府の政策に影響を与える立場の職員を解雇できるようになります。
トランプ氏は1期目の終盤に同じ目的の大統領令を出しましたが、バイデン前大統領が政権発足後まもなく無効にしていました。
この大統領令をめぐっては、財務省やエネルギー省などの職員からなる労働組合が20日、首都ワシントンにある裁判所に差し止めを求める訴えを起こすなど、波紋が広がっています。
さらにトランプ大統領は21日、SNSに「『アメリカを再び偉大にする』というわれわれのビジョンにそぐわない前政権で任命された1000人以上を特定し排除する」と投稿し、新政権の方針と一致しない政府職員らを解任すると明らかにしました。
こうした中、CNNテレビなどは21日、沿岸警備隊のトップのフェーガン長官が人材の多様性などを促す政策を過度に進めたことなどを理由に解任されたと伝えています。
トランプ氏は選挙期間中、官僚機構が「ディープ・ステート=闇の政府」に牛耳られているとして「質の悪い官僚たちを排除するための大統領権限を取り返す」と訴えていました。