日本新聞: 福島第一原発処理水風評被害対策の関係閣僚会議を新設

福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ処理しょり水すい風評ふうひょう被害ひがい対策たいさくの関係かんけい閣僚かくりょう会議かいぎを新設しんせつ

Apr 16, 2021 11:04

Furigana

東京とうきょう電力でんりょく福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょで増ふえ続つづけるトリチウムなど放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを含ふくむ処理しょり水すいを、国くにの基準きじゅんを下回したまわる濃度のうどに薄うすめて海うみに放出ほうしゅつする方針ほうしんを決きめたことを受うけて、政府せいふは、風評ふうひょう被害ひがい対策たいさくを着実ちゃくじつに実行じっこうに移うつすため、関係かんけい閣僚かくりょう会議かいぎを新あらたに設もうけました。16日にちの初はつ会合かいごうでは、対策たいさくの進捗しんちょく状況じょうきょうを随時ずいじ、把握はあくし、年内ねんないをめどに中ちゅう長期ちょうき的てきな行動こうどう計画けいかくを策定さくていすることを確認かくにんしました。

政府せいふは、処理しょり水すいの処分しょぶん方法ほうほうを決定けっていしたことを受うけて、関係かんけい閣僚かくりょうなどでつくる会議かいぎを新あらたに設もうけ、16日にち、総理そうり大臣だいじん官邸かんていで初はつ会合かいごうを開ひらきました。

会議かいぎでは、風評ふうひょう被害ひがい対策たいさくを着実ちゃくじつに実行じっこうするため、▽安全あんぜんを最さい優先ゆうせんとした処分しょぶん方法ほうほう、▽客観きゃっかん性せい・透明とうめい性せいの高たかいモニタリング、それに▽正確せいかくな情報じょうほう発信はっしんなどについて、進捗しんちょく状況じょうきょうや新あらたな課題かだいを随時ずいじ、把握はあくしていくことを確認かくにんしました。

そのために、関係かんけい省庁しょうちょうでつくるワーキンググループを設置せっちして、自治体じちたいや各かく業界ぎょうかいからヒアリングを重かさねるとしています。

そのうえで、処理しょり水すいの放出ほうしゅつを始はじめるとされるまでの2年間ねんかんだけでなくその後そのごの中なか長期ちょうき的てきな対策たいさくを盛り込もりこんだ「行動こうどう計画けいかく」を年内ねんないをめどに策定さくていすることを確認かくにんしました。

小泉こいずみ環境かんきょう相しょう「客観きゃっかん性せい・透明とうめい性せいを高たかめたモニタリングを実施じっし」

小泉こいずみ環境かんきょう大臣だいじんは閣議かくぎのあとの記者きしゃ会見かいけんで、「専門せんもん家かなどからなる新あらたな会議かいぎを立たち上あげ、客観きゃっかん性せい、透明とうめい性せいを最大限さいだいげん高たかめたモニタリングを実施じっししていく。あす、福島ふくしま県けんにうかがって内堀うちぼり知事ちじや大熊おおくま町まち、双葉ふたば町まちの町長ちょうちょうと面会めんかいする予定よていで、モニタリングのスケジュール感かんやイメージをしっかりと説明せつめいし、どのようなものが必要ひつようか話はなしをうかがって、今後こんごの対応たいおうにいかしたい」と述のべました。

内堀うちぼり知事ちじ「万全ばんぜんな対策たいさくを強つよく求もとめる」

関係かんけい閣僚かくりょう会議かいぎに出席しゅっせきした福島ふくしま県けんの内堀うちぼり知事ちじは会議かいぎの中なかで、「この10年ねん、福島ふくしま県民けんみんが必死ひっしに復興ふっこうに向むけ一丸いちがんとなって取り組とりくんできた努力どりょく、積み上つみあげてきた成果せいかが水の泡みずのあわになってしまうことが懸念けねんされる。国くにが前面ぜんめんに立たち、関係かんけい省庁しょうちょうが一体いったいとなって万全ばんぜんな対策たいさくを講こうじるよう強つよく求もとめる」と述のべました。

東電とうでん社長しゃちょう「安心あんしんしていただける状況じょうきょうをつくりたい」

関係かんけい閣僚かくりょう会議かいぎのあと、東京とうきょう電力でんりょくの小早川こばやかわ智明ともあき社長しゃちょうは記者きしゃ団だんの取材しゅざいに対にたいし、「10年間ねんかん、私わたしどもの事故じこで風評ふうひょう被害ひがいとたたかってこられた皆様みなさまに対にたいして、処理しょり水すいの処分しょぶんで、さらに被害ひがいを大おおきくすることがないようにしっかりと正確せいかくな情報じょうほう発信はっしんを心こころがけ、仮かりに風評ふうひょう被害ひがいが起おこった場合ばあい、賠償ばいしょうについても対応たいおうし、さまざまなご意見いけんを伺うかがいながら、安心あんしんしていただける状況じょうきょうをつくっていきたい」と述のべました。また、福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつで地震じしん計けいの故障こしょうを放置ほうちした問題もんだいや柏崎かしわざき刈羽かりわ原発げんぱつの侵入しんにゅう対策たいさくに不備ふびがあった問題もんだいなど、不祥事ふしょうじが相次あいついだことについては「さまざまな事案じあんを発生はっせいさせてしまい、県民けんみん、国民こくみんの皆様みなさまから信頼しんらいを失うしなう状況じょうきょうになっている。私わたしたちが主体しゅたい性せいを持もって、組織そしきを立て直たてなおし、さまざまな関係かんけい者しゃの皆様みなさまに向き合むきあい、しっかりと対策たいさくの徹底てっていに努つとめていかないといけない」と述のべました。

専門せんもん家か販路はんろ失うしなわない方策ほうさくを

風評ふうひょう問題もんだいに詳くわしい筑波つくば大学だいがくの五十嵐いがらし泰正やすまさ准じゅん教授きょうじゅは、漁協ぎょきょうの全国ぜんこく団体だんたいの全漁連ぜんぎょれんが海洋かいよう放出ほうしゅつに反対はんたいしたうえで、「安心あんしんして子々孫々ししそんそんまで漁業ぎょぎょうを継続けいぞくできる方策ほうさく」を求もとめていることに触ふれ、「賠償ばいしょうを継続けいぞくしている漁業ぎょぎょうに後ごを継つぐ世代せだいが未来みらいを見みいだし、子こや孫まごにつがせようと思おもうかどうかは難むずかしい。賠償ばいしょうを支払しはらうだけでなく、後継こうけい者しゃの育成いくせいや他た業種ぎょうしゅからの新規しんき参入さんにゅうの促進そくしんなど漁業ぎょぎょうを中核ちゅうかくとした魅力みりょく的てきな地域ちいきをどう作つくっていくかというビジョンをしっかりと示しめしていく必要ひつようがある」と述のべ、対策たいさくを進すすめるにあたり、次つぎの世代せだいが事業じぎょうを継続けいぞくできるよう対応たいおうすることが重要じゅうようだと指摘してきしています。さらに、「風評ふうひょう対策たいさくには科学かがく的てきな理解りかいの醸成じょうせいが非常ひじょうに重要じゅうようだが、二の矢にのやの対策たいさくとして、流通りゅうつうの販路はんろを決けっして失うしなわない方策ほうさくを示しめし、しっかりと売うられているから大丈夫だいじょうぶだという状況じょうきょうを作つくり続つづけていくことが大事だいじだ。また、販路はんろ拡大かくだいのために漁獲ぎょかく量りょうを増ふやし、魚さかなを安定あんていして市場しじょうに供給きょうきゅうしていくことも重要じゅうようになる」として、生産せいさん、流通りゅうつうへの丁寧ていねいな支援しえんも欠かかせないと話はなしています。