歌舞伎座かぶきざが5か月かげつぶり公演こうえん再開さいかい 掛け声かけごえはなし 新型しんがたコロナ

歌舞伎座かぶきざには午前ごぜん11時じからの公演こうえんを前まえに、再開さいかいを待ち望まちのぞんだファンが訪おとずれ、ソーシャルディスタンスを保たもち、サーモグラフィーによる検温けんおんを受うけながら劇場げきじょうに入はいっていきました。

第だい1部ぶの「連れん獅子じし」に出演しゅつえんする片岡かたおか愛之助あいのすけさんが「一いち日にちも早はやい事態じたいの収束しゅうそくを願ねがい、全身ぜんしん全霊ぜんれいで舞台ぶたいを務つとめます」などとあいさつした音声おんせいが開演かいえん前まえに流ながされ、幕まくが開ひらきました。

公演こうえん再開さいかいにあたって、歌舞伎座かぶきざは座席ざせきを半分はんぶん以下いかに減へらしたほか、「4部ぶ制せい」を初はじめて採とり、客きゃくも出演しゅつえん者しゃも1時間じかんほどの演目えんもくごとに入れ替いれかえることにしています。

夫婦ふうふで訪おとずれた60代だいの男性だんせいは「毎月まいつき、歌舞伎かぶきを見みにきていたので、公演こうえんがない期間きかんは配信はいしんの映像えいぞうを見みながら再開さいかいを待ち望まちのぞんでいました。毎日まいにち、多おおくの感染かんせん者しゃが報告ほうこくされているので少すこし心配しんぱいもありましたが、しっかり対策たいさくしていると聞きき、安心あんしんして楽たのしみたいと思おもいます」と話はなしていました。

この「八月はちがつ花形はながた歌舞伎かぶき」は、今月こんげつ26日にちまで公演こうえんが続つづく予定よていです。

公演こうえんの再開さいかいにあたって歌舞伎座かぶきざは、高齢こうれい者しゃも多おおく訪おとずれることもあって、感染かんせん予防よぼう策さくを徹底てっていしたとしています。

具体ぐたい的てきには、▽入り口いりくちにはサーモグラフィーが設置せっちされ、37.5度ど以上いじょうの客きゃくは入場にゅうじょうさせない。▽座席ざせきは前後ぜんご左右さゆうを空あけ、役者やくしゃが通とおる花道かどうの近ちかくや桟敷さじき席せきには客きゃくを入いれない。▽換気かんきを十分じゅうぶんに行おこなうために開演かいえん中ちゅうも客席きゃくせきの扉とびらを開あけたままにする、といった対策たいさくを取とったということです。

歌舞伎座かぶきざの客席きゃくせきには全部ぜんぶで1808席せきありますが、使用しようするのは半分はんぶん以下いかの823席せきで、4部ぶ制せいにしたことで、1時間じかんほどで全員ぜんいんが入れ代いれかわります。また、歌舞伎かぶきのだいご味だいごみでもある掛け声かけごえなどはしないよう呼よびかけています。

さらに舞台ぶたい上じょうでも▽長唄ながうたや鳴物なりものは、黒くろい特注とくちゅうのマスクをしたり、▽観客かんきゃくとの距離きょりを空あけるため、俳優はいゆうも舞台ぶたいの奥おくで踊おどるようにするなどの対応たいおうをしているということです。

こうした対策たいさくは公演こうえん前日ぜんじつの31日にち、報道陣ほうどうじんに公開こうかいされ、劇場げきじょうのスタッフが、サーモグラフィーによる検温けんおんを促うながしたり、チケットを自分じぶんでちぎってもらったりする作業さぎょうを確認かくにんしていました。

松竹しょうちくの安孫子あびこ正ただし副ふく社長しゃちょうは「この時期じきに再開さいかいしてもいいのか葛藤かっとうはありましたが、感染かんせん症しょうの専門せんもん家かから助言じょげんをもらい、徹底てっていした対策たいさくを尽つくして再開さいかいにこぎ着こぎつけることができました。歌舞伎座かぶきざには高齢こうれいの方ほうが多おおく訪おとずれるため、3密みつをどう避さけるかに神経しんけいを集中しゅうちゅうして対応たいおうし、お客様おきゃくさまにも協力きょうりょくしてもらいながら続つづけていきたい」と話はなしていました。

松本まつもと幸四郎こうしろう「本当ほんとうの再開さいかいへのスタートライン」

第だい4部ぶに出演しゅつえんする松本まつもと幸四郎こうしろうさんは、初日しょにち前日ぜんじつに取材しゅざいに応おうじ「まずは、お芝居しばいを演えんじられる場ばを考え抜かんがえぬいていただいたことのうれしさがあります」と歌舞伎座かぶきざでの公演こうえん再開さいかいの喜よろこびを語かたりました。

また、公演こうえんが中止ちゅうしになっていた期間きかんについて「初はじめのひとつきぐらいは、何なにもできないことについてすごく無力むりょく感かんを感かんじ、どうしたらいいのだろうと考かんがえる体力たいりょくも精神せいしん力りょくもない状態じょうたいでした」と振り返ふりかえったうえで、自身じしんの発案はつあんでオンライン歌舞伎かぶきを配信はいしんし多おおくの反響はんきょうを得えたことについて「本当ほんとうにありがたいという以外いがいありません。大おおきく分わけて、劇場げきじょうで見みていただく歌舞伎かぶきと家いえで見みる歌舞伎かぶきの2つの選択肢せんたくしができたらいいなと思おもっています」と話はなしていました。

そのうえで「今いまは制限せいげんがある中なかでの再開さいかいですが、すべて再開さいかいするのが本当ほんとうの『再開さいかい』だと思おもっています。8月つきの公演こうえんは、そのためのスタートラインだと思おもっていますので、ぜひとも12か月かげつ、歌舞伎かぶきの公演こうえんが開ひらくために前進ぜんしんするひとつきにしたいと思おもいます」と意気込いきごんでいました。