日本新聞: 戦争資料館入館者90％以上減戦争体験の継承に懸念の声

戦争せんそう資料しりょう館かん入館にゅうかん者しゃ90％以上いじょう減げん戦争せんそう体験たいけんの継承けいしょうに懸念けねんの声こえ

Aug 14, 2020 05:08

Furigana

終戦しゅうせんから75年ねんのことし、戦争せんそうの記憶きおくを伝つたえる各地かくちの主おもな資料しりょう館かんなどでは、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、団体だんたい予約よやくのキャンセルや延期えんきが4月つき以降いこう、少すくなくとも合あわせて700件けん以上いじょうに上のぼり、多おおくの施設しせつで、入館にゅうかん者しゃが去年きょねんと比くらべて90％以上いじょう減へったことが、ＮＨＫえぬえいちけいの調査ちょうさで分わかりました。施設しせつからは、戦争せんそう体験たいけんを継承けいしょうする機会きかいが失うしなわれることなどを懸念けねんする声こえがあがっています。

休館きゅうかん団体だんたい予約よやくのキャンセルや延期えんき 740件けんに

戦争せんそうに関にかんする展示てんじを行おこなう資料しりょう館かんなどの入館にゅうかん状況じょうきょうに新型しんがたコロナウイルスがどのような影響えいきょうを及およぼしているか調しらべるため、ＮＨＫえぬえいちけいは先月せんげつから今月こんげつにかけて、入館にゅうかん者しゃの多おおい全国ぜんこくの主おもな10の施設しせつを対象たいしょうに、アンケート調査ちょうさを行おこないました。

その結果けっか、施設しせつの休館きゅうかんや、来館らいかんの見合みあわせなどのために、団体だんたい予約よやくのキャンセルや延期えんきは、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされた4月つきから先月せんげつ末まつまでに740件けんに上のぼりました。

また、この期間きかんの入館にゅうかん者しゃは、データのある9つの施設しせつで、いずれも去年きょねんの同おなじ時期じきと比くらべて90％以上いじょう減へり、このうち広島ひろしまの原爆げんばく資料しりょう館かんと国立こくりつ広島ひろしま原爆げんばく死没しぼつ者しゃ追悼ついとう平和へいわ祈念きねん館かん、それに長崎ながさき原爆げんばく資料しりょう館かんは、95％余あまりの減少げんしょうとなりました。

それぞれの施設しせつからは、入館にゅうかん料りょうなどの収入しゅうにゅうが減へることによる運営うんえい面めんでの影響えいきょうに加くわえて、学校がっこうの課外かがい学習がくしゅうなどを通をつうじて戦争せんそう体験たいけんを継承けいしょうする機会きかいが失うしなわれることを懸念けねんする声こえがあがっています。

さまざまな方法ほうほうで伝つたえる取り組とりくみも

それぞれの施設しせつは、入館にゅうかん者しゃが大幅おおはばに減へる厳きびしい状況じょうきょうの中なかで、感染かんせん防止ぼうしの対策たいさくをとりながら、さまざまな方法ほうほうで戦争せんそうの記憶きおくを伝つたえています。

このうち、国立こくりつ長崎ながさき原爆げんばく死没しぼつ者しゃ追悼ついとう平和へいわ祈念きねん館かんでは、感染かんせん防止ぼうしのため中止ちゅうししていた、ボランティアによる被爆ひばく体験たいけん記きの朗読ろうどくを、広ひろい部屋へやにアクリル板いたを設もうけて、13日にちから再開さいかいしました。

また、東京とうきょう大だい空襲くうしゅう・戦災せんさい資料しりょうセンターでは、空襲くうしゅう体験たいけん者しゃの語かたり部ぶの活動かつどうや、リニューアルした展示てんじの内容ないようをインターネットで配信はいしんする取り組とりくみを始はじめるなど、オンラインでの発信はっしんを導入どうにゅうするところも出でてきています。

沖縄おきなわにある、ひめゆり平和へいわ祈念きねん資料しりょう館かんでも、オンラインによる講話こうわを検討けんとうしているとしていますが、「入館にゅうかん者しゃに直接ちょくせつ伝つたえることを大事だいじにしてきただけに、感染かんせん防止ぼうしのために、それができなくなっているのは非常ひじょうに残念ざんねんだ」としています。

また、東京とうきょう・千代田ちよだ区くにあるしょうけい館かんは「戦傷せんしょう病者びょうしゃの個人こじんの情報じょうほうを扱あつかうため、オンライン発信はっしんには制約せいやくも多おおい」と課題かだいを指摘してきしています。

一方いっぽう、入館にゅうかん者しゃの減少げんしょうに伴ともなう運営うんえい面めんへの影響えいきょうを懸念けねんする声こえもあり、このうち、ひめゆり平和へいわ祈念きねん資料しりょう館かんは「公的こうてき資金しきんに頼たよらず入館にゅうかん料りょう収入しゅうにゅうで運営うんえいしているため、大おおきな痛手いたでとなっている」としています。